オンザレールなハンドリングを実現する
フロント2モーターのスポーツハイブリッドSH-AWD

すでに海外のショーでお披露目され、スーパーGTレースではコンセプトGTと称して2014年から参戦しているホンダ新型「NSX」が、いよいよ日本市場に登場した。
受注開始は8月25日。車両本体価格は2370万円と量産モデルとしては、ホンダにとって最高額となる（特別仕様車を除く）。

2代目となる新型NSXは、2012年の北米モーターショーでコンセプトモデルを発表。その後、何度ものモディファイを繰り返しながらも、コンセプトモデル当時の基本フォルムは継承されている。

新型NSXも初代モデル同様、運転席後方にエンジンを搭載するミッドシップレイアウトを採用する2シータースポーツカーだ。
しかし、初代モデルと大きく異なるのは、フロントに2個、エンジンと同軸上に1個の計3個のモーターを搭載する4WDハイブリッドカーであること。ちなみに、このパワートレーンは「スポーツハイブリッドSH-AWD」と名付けられ、すでにレジェンドにも搭載され（レジェンドはモーターがフロント1個、リヤ2個）、NSXの場合はフロント2個のモーターそれぞれで最適な駆動力を発揮（トルクベクタリング）。アンダーステアを抑制し、まさにオンザレールのハンドリングを実現するという。

搭載エンジンは、3.5リットルV6ツインターボ。左右3気筒ずつに1個のタービンを配する。
最高出力は373kW（503ps）／6500〜7500rpm、最大トルク550Nm（56.1kg-m）／2000〜6000rpm。これに、フロントモーターの35kW（37ps）／4000rpm×2基、リヤモーター35kw（48ps）／0〜2000rpmがプラスされるわけだ。ハイブリッド車の場合、単純にエンジンとモーターの出力を足した数値が最大出力とはならないが、システム出力は550ps以上にはなるだろう。これは日産GT-Rの570ps（GT-Rニスモは600ps）に近しい数値。車重もほぼ同じ1770kg（GT-Rニスモは1740kg）、駆動方式も4WDとスペック上では新型NSXのライバルとなるのは必須だ。

NSXのエンジンのバンク角は75度。日産GT-RのVR38型エンジンなど一般的なV型エンジンの60度より広角にすることで低重心化を実現する。
さらに、エンジンオイルの潤滑にレーシングカーなどが採用するドライサンプ式を採用。一般的なエンジンにあるクランクシャフト下のオイルパンを持たないため、搭載位置を60mm下げることができたそうだ。
エンジンの搭載方向は、開発当初は横置きだったが、市販モデルでは縦置きに変更している。
横置きエンジンの場合、エンジン下にトランスミッションが組み合わされるため、1.5階建て構造になり重心高は高くなる。
縦置きにするメリットは、エンジンのクランク軸とトランスミッションをストレートレイアウトが可能となり、結果的に重心を下げることができるわけだ。

トランスミッションは、新開発の世界初9速DCT（デュアルクラッチトランスミッション）を搭載する。
今やスポーツカーとはいえ、2ペダルのセミオートマは世界的にも一般化。通常のマニュアルトランスミッションより素早く最適なシフトチェンジを可能とする。

ギヤ比は、1速が発進加速を最大限に発揮できるレシオとし、2〜8速が車速に合わせて常にパワーバンドをキープできるクロスレシオ、9速が快適なクルージングと燃費性能を高めるようにセッティング。100km/h時のエンジン回転数は1700prmとなるようだ。

NSX主要諸元表

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