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ホイールのダストはパッドではなく「ローターの削れカス」って本当?

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比重の重い鉄粉がホイールに付着
アルミに突き刺さり錆に変質する

ホイールにこびりつく黒い汚れ。とくにヨーロッパ車は、その汚れ方がハンパない。洗車しても、少し走れば薄らと黒い膜がホイール全体を覆っている。
この汚れの原因はブレーキパッドの摩擦材が削れたダストと思われているだろうが、じつはそのほとんどがローターが削れたカス。そう考えると、ホイールに付着したダストが錆びてなかなか取れないのも納得できるだろう。
そこでホイールを汚すダストの原因と対策を考えてみた。

dixcel

上の写真のように、ヨーロッパ車のホイールがダストで真っ黒に汚れていることは多い。最近は、国産車でも同じようにホイールが汚れているクルマを見るようになった。
おそらく多くの人は、このダストの原因はブレーキパッドの摩擦材のダスト(削りカス)が付着したと思われているはず。

ところが
パッドが削れたカスは比重が軽い為に走行中に飛散しますが、 ローターが削れたカスはいわば鉄粉。比重が重いために、回転体のホイールに付着してしまうのです」とブレーキ系パーツメーカーの「ディクセル」広報の金谷さんは言う。

ヨーロッパ車のブレーキ系の交換サイクルは、ブレーキパッドとローターは同時交換というのが一般的で、ローターを摩耗させながら制動力を発揮するとも言われている。それゆえ、ヨーロッパ車のホイールは汚れがローターの削りカスというのも納得できる。

もちろん、国産車もパッド同様にローターも摩耗しているのだが、その減り方がヨーロッパ車に比べると少ないだけなのだ。

このように、パッドのみならずローターも確実に摩耗しているので日々のチェックが必要だ。
下の写真のようにローター外周に段差が付いたり、表面にヒートスポットの跡が付いたりしたら要交換。命を守るブレーキだけにケチらないでほしい。

もし、ダストでホイールが汚れてしまったときは、専用のスポンジで擦るのもいいが、ゴム手袋の上に軍手を被せてスポンジ代わりに手洗いすると意外に作業効率は高い。ガンコな鉄粉が付着してしまったら、専用のクリーナーを使用するといいだろう。

パッドのタイプでダストの量が変化する
メタル系素材が多いとローターを削りやすい

ブレーキパッドには、ストリート用ほか、サーキット、ジムカーナ、ラリーなどモータースポーツ用がある。もちろん、ストリートとサーキットを両立するパッドもあり、ストリート用、モータースポーツ用も含め、それぞれのニーズに合った制動力特性が与えられている。DIXCEL

例えば、サーキット用のパッドは耐熱性を高めるために、パッドの摩擦材にはメタル系の素材が含まれており、種類によっては温度が一定以上に上昇しないと本来の制動力を発揮できないものもある。
その一方で、ストリート用は冷間時からブレーキは効くが、サーキット走行のようなハードなブレーキングを繰り返すとフェード(ローター表面にガスの皮膜が形成されて効きが落ちること)しやすい。
DIXCEL

しかし、ストリート用の摩擦材にはメタル系素材が使用されていないので、ローターが削れにくい。つまり、ローターの削れカスが少なくなるので、ホイールに付着するダストも低減できるのだ。
このような「ダスト低減タイプ」のブレーキパッドを使用することで、ホイールの汚れはかなり軽減できる。

「そんな低ダストタイプのブレーキパッドは効きが悪いのでは?」と不安を覚える人はいるだろう。

ブレーキパッドの摩擦材とローター表面に乗っている摩擦材が、磁石のように引きつけ合うようなイメージで制動力を発揮し、制動力を確保しています。注意したいのは、中古ローターに新品パッドを装着した場合は、古いパッドの成分を一度剥ぎ取ってから新しいパッドの摩擦材を乗せることになります。それゆえ、アタリ付けに時間が掛かったり、ジャダー等の症状が出ることがあります」と金谷さん。

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