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「地図が出ない、高額な請求の可能性も」海外でありがちなカーナビ・トラブル事情

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

Wi-Fiと格安SIMをうまく利用すれば
スマホとの二刀流で不安知らずな旅へ

知らない土地をドライブする際に、今や必須となったカーナビ。かつては厚くて大版のミシュラン道路地図帳を見ながら、目的地を探し当ててドライブしたものだが、それも今は昔。そういえば、初めての海外旅行で目にした、長距離トラックのダッシュボードに無造作に置かれた道路地図帳。アレに憧れたものだったなぁ。

それはさておき、国内では格安レンタカーでもカーナビは標準装備。ところが海外のレンタカーでは、レンタル料がお高いプレミアムなモデルはいざ知らず、取材経費を切り詰めて借りたチープなモデルでは、ポータブルのナビが一般的だ。基本料金に1日数100円程度を追加して申し込むケースが多い。
もっとも、自動車メーカーの広報車(メディア向けの試乗車)を借り出した場合は、当然、インダッシュの最新バージョンが装着されているのだが…。

ともかく、普段の取材ではカーナビのないドライブが続いていた。そこで数年前、イギリスの自動車博物館を歴訪した際に大手スーパーのTESCOで「GARMIN」を購入(日本円で1万円弱)。以来、海外の取材行が一層お気楽になってきている。
ところが今回、ミュンヘン空港から始まったチェコ&スロバキアのタトラとシュコダを訪ねる大冒険ツアーでは思わぬハプニングに遭遇した。

 

上写真は、運転席の左前方、ピラー脇に取り付けた「GARMIN」のカーナビ。目的地へのナビゲーションはもちろんのこと、道中の制限速度も表示し、それを超過した速度で走っていたり、オービスが近づくと警告してくれるスグレものだった。
ただしチェコに入ってしばらくすると、マップがインストールされていないためナビ不能に。写真は、FIAマスターズ・ヒストリックF1の取材で訪れたアウトドローモ・モストのプレス駐車場で撮影したもの。

 

そのハプニングを紹介する前に、もうひとつ、海外ドライブの強い味方を紹介しておこう。
それはスマートフォン、いわゆるグーグルマップ。何よりも評価が高いのは、海外でも日本語で案内してくれること。「500m先、右方向です」などとアナウンスされるから、平常心を保って運転することができるのだ。
唯一の難点は接続料が高いこと。もう30年近くdocomoを使用しているのだが、いわゆるガラ携からスマートフォンに切り替えた途端、海外でデータ通信を使用すると1日3000円近くかかってしまうのには驚かされた。海外の取材となると2〜3週間、時には1カ月近い長旅となってしまうので、それを考えると高額すぎてとてもじゃないが使用することはできない。実際、ル・マン24時間の取材で、何も気にせずにスマホを使っていると数万円の請求が来た、という友人の体験談もある。

そこでオススメなのが格安のプリペイドSIM。1か月以内だったら大抵、3000~4000円くらいで不便なく使えるから、最近では海外の空港に到着すると、先ずはSIMを手に入れるところから取材が始まるようになっている。
ただし厄介なのは、電話番号が変わること。そのためにもう1台のスマホがあればベスト。個人的にはi-Phoneに機種変更したとき以来、それまで使っていたアンドロイドのスマホを海外専用のサブ機として使用することにしているから、まさに最強コンビとなった。ところが…。

 

チェコではカーナビとスマホ(i-Phone)の二刀流が役に立った。ただしカーナビは吸盤を使った取り付けアダプターがあるが、スマホ用は用意しておらず、写真のようにダッシュボードのメーター直前において使用。
高速道路だけでなく市街地や山間のワインディングでもこの状態で使用したが、床に落ちることなくちゃんと使用できた。

 

今回、ミュンヘン空港でレンタカーのピックアップに手間取ってしまい、格安SIMを手に入れることなくクルマをスタートさせたのが、間違いの始まり。カーナビがあるから、という気持ちの安心もあった。
実際、ドイツ国内で自動車博物館をめぐった初日と2日目は、何の問題もなくスケジュールを消化。そして2日目の午後、フィフテルベルク・ドイツ自動車博物館を取材した後、ホテルに向かっている途中でカーナビに異変が起きたのだ。ドイツから国境を越えてチェコに入り、しばらく走ったところで完全にフリーズ。高速道路を走っているのに画面がホワイトアウトしたのである。

そういえば、と思い出したのが以前、ホンダの広報車を借りてブルノのWTCCを取材した時のこと。あの時もチェコに入ってしばらくすると、カーナビのモニターがホワイトアウトして驚かされたが、後で広報車を返却する時に確認したら、チェコはどんどん新しい道路ができていて、地図の改定が追いついてないとのこと。考えてみれば格安だったのは型落ちになった証拠。あの時の広報車の地図と同じものが私のカーナビにも入っているのだろう、と納得した。

それ以後はスマホのグーグルマップを使用するつもりになったのだが、先に紹介したようにこの時は格安シムを手に入れてなかったので使えない。さて、どうする!?

 

ドイツ国内を走っていた時は快調至極だったが、チェコに入ってしばらくしたところで、画面がこれでフリーズしてしまった。このカットはプラハのホテルからドレスデン交通博物館に向かって高速道路を移動中、Wi-Fiを“補給”するために立ち寄った途中のサービスエリアで撮影したもの。
ほぼこのままの状態が、約1週間も続いたから、イライラが募ったのも事実だった。

 

しかし捨てる神あれば…とはよく言ったもので、フリーのWi-Fiがあちこちで用意されていて、これが大いに役に立った。
高速道路のサービスエリアはほぼ100%Wi-Fiが完備しているし、ガソリンスタンドやホテル…格安の木賃宿に近いところでもほぼ接続可能。さらに、訪ねた多くの博物館でもWi-Fiが飛んでいたから、用意していたスケジュール表で次の目的地を検索してスタート。目的地に着いたら、さらに次の目的地を検索する。まるで渡り鳥が島伝いに渡ってくるように、2週間、約6000kmの行程でフリーWi-Fi×グーグルマップでお気楽旅を続けることができたのだ。
いやぁ、技術の進歩って素晴らしいな、と改めて痛感させられた2週間だった。ここまで読み返して、随分最先端な内容を、さも知った風に書いている自分に呆れてしまった。実際にはi-Phoneの設定も自分一人ではまともにできず、娘の手を煩わせている迷惑親父なのに……。

 

高速道路のサービスエリアでは、ほぼ100%、フリーWi-Fiが完備され、大いに助かった。上写真はプラハのホテルからドレスデンの博物館に向かう際、高速道路で最初に立ち寄ったサービスエリアのレストラン。ホテルを出発する際にドタバタして、ホテルのWi-Fiでグーグルマップの検索をし忘れていたために立ち寄ったのだ。
レストランの入り口には「フリーWi-Fiが完備されている」と表示が出されているのが分かる。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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