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手間や苦労も多いのに……海外でも人気沸騰中のスーパーカーを所有するワケ

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)

自己表現やコミュニケーションのツールと捉えている

少子高齢化で、若者のクルマ離れが叫ばれて久しい。レンタカーやカーシェアリングを気軽に利用でき、選択肢や価値観が多様化しその要因は様々。
しかし、ひと昔前と比較すると、とにかくクルマが好きで、最近ではクラシックカーに人気が増えてきていると言える。一方、スーパーカーブームの特徴は子育てが一段落して住宅ローンが終わった団塊の世代が少年時代の夢を今こそと、新車・中古車を手に入れるケースも増えていると言える。そしてクラシックカーやスーパーカーの集いは今や花盛り……。
そこで、この両極端に異なるクルマを所有する理由と魅力を探ってみた。 

 

クラシックカーを所有する魅力とは

先日、某クラシックカー・ツーリングの集いへ参加。その際、若者から年配までのオーナーに「クラシックカーを所有する理由と魅力」を訪ねてみた。

・父親の影響や少年時代に一目惚れしたクラシックカーを所有したかった

・一度、クラシックカーに乗ればその魅力から離れなくなり、自分にとってモチベーションが上がる

・クラシックカーの愛好家同士との出会いがあり、情報交換や部品を譲り受けたりする機会を与えてくれる。夢を追いかけさせてくれる相棒でもある

・所々の部品が、くたびれるのは当たり前、手を掛ければ応えてくれから愛着が湧く

・自分で操作した通りに動き、その動作がダイレクトに返ってきて運転する楽しさがある

・自分の個性を引き出す自己表現ができ、遊びの幅や視野が広がる

・他人と拘らなく、個性的なデザインが魅力、同世代で同趣味の人を見つけると嬉しい

・今のクルマには無い操る高揚感があり、古めかしのに格好良く洗練されたデザインが魅力

・運転した時の楽しさ、アクセルを踏んだ時のレスポンスに落ち着きがあり優雅な気持ちになれる

特に父親の影響と少年時代から憧れの存在が手に入れる動機付になっている傾向が強いと言える。楽しかった思い出をもう一度体験したい、小さい頃の夢を実現したい魅力も大きく関係している。更に、クラシックカーを自己表現やコミュニケーションのツールと捉えているのが特徴だ。

自分の夢を具現化した存在であり、同趣味を持つ仲間との出会いのきっかけとしてクラシックカーが重要な役割を果たしている、と言えるだろう。

快適で燃費のいい現代のようなクルマではなく、あえて手間のかかるクラシックカーを所有するオーナー達の拘り。見えないところまで徹底的に仕上げてあり、そういう意味のオーバーエンジニアリングだとかオーバークオリティに惚れ込んでいると言える。

以前では旧い車を直して大切に乗ることは当たり前の時代であった。

クラシッカーを所有す事は時代の流れに左右されない、普遍の価値を得られる安心感であると言える。
ちなみに日本ではワンオーナーのメルセデス・ベンツが130万キロを走破した実績があり、依然として現役で活躍している(1978年式300D/W123)。

スーパーカーの魅力とは

スーパーカーと言えば、すぐ思いつく事はカッコいい美しいデザイン、一度見たら忘れられない、スピードやパワーが凄いなど、特に団塊の世代の男なら、誰もが一度は憧れた存在。1970年代の第1次ブーム、1980年代後半のバブル景気を背景に札束が乱舞した第2次ブーム、そして今、第3次ブームの渦中にある。

スーパーカーを所有するという事は、合理性とか経済性とは関係なく、直感を刺激し感性を最大限まで引き出す個人のライフスタイルや情熱そのものだと言える。しかも最近では新車以外に中古車にも人気が集中している。
カーマニアの間では、スーパーカーは希少価値があり市場価格が下がりにくいため、後に転売する事を見込んでの購入。つまり、一種の安定資産として、後々プレミアが付く投機と言えるだろう。

スーパーカーの始まりは1960年代後半に登場したランボルギーニ・ミウラ。レーシングカーの様なボディにV型12気筒ミッドシップエンジンを搭載し、車高が低く、幅の広い、夢の様にエキゾチックなデザインのランボルギーニは人々を魅了し、その美しさは表現する言葉が見当たらない。
このミウラの登場と共に、スーパーカーが誕生した。以来、フェラーリ、マセラティ、ポルシェなど数多くのスーパーカーに憧れた人は多いだろう。歴代スーパーカーのスピードとデザインとテクノロジーが融合し、凄いパワーと美しいデザインを体験できたエンスージアストが多いのも事実だ。

現在、スーパーカーの新御三家と呼ばれているのがランボルギーニ・フェラーリ・マクラーレン。

本物のスーパーカーは、今も昔も変わらず夢の存在だ。エキゾチックな名前や斬新なデザイン、エアロダイナミクスなボディ、多くのシリンダーを備えたパワフルなエンジン。その馬力はすさまじく、最高スピードは語るに多くは要さない。

現代に至る苦難の歴史は物語っている。1970年代初頭以降、スーパーカーの時代は終わったと言われた。オイルショック当時、スーパーカーは絶滅の危機に立たされていたのである。
最近では、排出ガス規制の強化や、道路渋滞などの事情で、この様な超高性能のスーパーカーは時代にマッチしない様に思われている。

しかし、実際にはスーパーカーの人気は今も一向に衰える気配はない。エンジニアやエアロダイナミクスのマイスター、カーデザイナー達は以前よりも革新技術で凄いクルマを造り出し、我々を魅了している。より先鋭化したデザイン、よりパワフルな性能とハイスピード、その勢いは止まりそうも無い……。

最近のスーパーカーは、素材革命によって以前よりも軽量で高性能化し、しかも安全で環境にまで配慮されている。ポルシェ918スパイダーやマクラーレンP1、フェラーリのラフェラーリは高回転のガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせて、よりパワフルに、排気ガスの排出量を抑制しているのだ。 

クラシックカーとスーパーカーを得意とする専門修理工場を訪問

この両車のお客様のニーズを的確に捉え、世界の名車のカーライフを総合的なサービスをしているユニークな専門修理工場が国際都市・神戸にある。専門修理工場を営む「株式会社STAR CRAFT(スタークラフト)」だ。
工場内では1台1台の状態に合わせ、熟練のマイスター達が即座に診断し、長年培った手の感触を頼りに「匠の技」と「各種テスター」を完備し的確にメンテナンス及びレストア作業をしている。

どんなに旧いクラシックカーや夢のスーパーカーも自社工場でレストア/メンテナンスを引き受けているそうだ。また、お客様の都合により、大切なクルマを厳重に保管。特筆は昨年の2017年に、生産が終了した車種のスペアパーツ製造に3Dプリント技術を活用する新たなプロジェクトに着手したこと。同年8月に3Dプリンタ・ストラタシスF370及び切削加工用マシニングMDX540を導入した。

生産終了に伴い部品在庫の無いクラシックカーの場合、従来の製造プロセスではスペアパーツ製造は、ほぼ不可能に近く問題であった。この問題に対処する為、独自のリバースエンジニア技術で3Dスキャンや3Dプリンタを用いた単品(または小ロット)部品の製造・販売をいち早く実用化。無い部品を作ってまで、元の状態まで戻す。そんな夢工房がこのスタークラフトだ。

この会社を訪問して痛感した事はやっぱり、クルマって飾っておく物じゃないって事。
特にバブル以降、実際「楽しく走ろう」と云うお客様が多くなったのは事実。クラシックカーやスーパーカーを日常に使える様にレストア/メンテナンスを行うスタークラフトの評判を聞きつけて入庫数が増えている現実を目の当たりにした。
いずれのクルマも貴重であり、高価なものだが使ってこそ生きる、そして万一壊れるような事になったら修理すればいいだけの事というクルマの接し方に「自動車道」ともいうべきものを感じた。

『今後、スタークラフトでは受け継がれるべき世界的に価値ある車に気軽に触れて頂きたく若者を含め全ての方々へと、自社で手掛けた所謂デモカーによるライドシェアやシェアカーを準備中。お客様の思い入れの一台を所有するきっかけと車本来の楽しさが伝われば幸い』と代表は語る。

取材協力&工場写真提供:株式会社STAR CRAFT(スタークラフト)

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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