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SUPER GT 2019公式テスト「GT500クラスのトップは? 開幕前の激戦レポート 」

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

開幕戦を占う岡山での2日間

 開幕まで残り4週間を切った「2019 AUTOBACS SUPER GTシリーズ」。3月16~17日、岡山国際サーキットでは、本年第1回目となる公式テストが行われた。前日の15日には雪が降り、初日はタイムスケジュールが30分間繰り延べとなり、2日目の午後には冷雨に交じって霰も降るなどが、生憎の天候となった。しかし、シリーズに参戦する全44台が顔を揃え、開幕戦に向けてのテストに余念がなかった。この日は岡山国際サーキットのファン感謝デーも併催、多くの人々が開幕戦に期待を繋ぎながらGTマシンの走りに見入った。

 

IMPUL GT-Rを筆頭にNISSAN勢が好調をみせる

 初日に見事なパフォーマンスを見せつけたのは「No.12 カルソニック IMPUL GT-R」。若き佐々木大樹をパートナーに、今季はベテランのジェームス・ロシターを招聘。佐々木の速さをロシターの経験がサポートする新コンビは、オフのプライベートテストから各地のサーキットで好タイムをマークしていたが、この公式テストでも快足ぶりをみせる。

 午前のセッションではドライに変わっていった段階で、佐々木は1分18秒6=から1分17秒852へとトップタイムを更新。自己ベストとコースレコードを更新すると同時に、2番手以下に1秒以上の大差をつけるスーパーラップだった。

 これに続いたのがNISSAN陣営のエースたる「No.23 MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリ。さらに「No.24 TBA」の高星明誠/ヤン・マーデンボローも午前の5番手につけた。No.12はブリヂストン、No.23(とNo.3)はミシュラン、そしてNo.24はヨコハマと装着タイヤの異なるGT-R全車が上位につけていたことで、彼らの見事なパフォーマンスが明らかになっていった。

 ただし、陣営の統括指揮を執る松村基宏総監督は「昨年の(GT-R勢の)パフォーマンスに対しては目標通りの向上が確認できていますが、ライバルとの力関係に関しては分かりません。(LEXUS・Honda両陣営は)まだまだ本気で走ってない、というのが正直な感想です」とコメント。

 なお、今シーズンから陣営入りし、「No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R」をドライブする平手晃平は、パートナーのフレデリック・マコヴィッキィがパスとなったために2日間/4セッションの計8時間を1人でドライブ。「1年ぶりのGT500なので、体力的に心配していましたが、ウェットコンディションでペースが遅くなる時間帯も多く、雨に助けられた格好で問題もなかった。1人で走る分、初めてドライブするGT-R、初めて履くミシュラン・タイヤを習熟するいい機会と捉えています」とポジティブなコメント。2日目午後のセッションでは、エースのNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rに先んじてトップタイムをマークした。

 

2日目はLC500勢が好調。NSX-GTは爪を隠す!?

 初日はGT-R勢が快調さをアピールしたのに対し、2日目はLEXUS LC500勢が上位を独占、反撃に出る格好となった。ウェットスタート直後に赤旗中断となるなど、タフな展開となった午前のセッションは結局最後までウェットコンディション。午後のセッションもスタート練習を終えてテスト本番となったタイミングで霰交じりの冷雨が降り、ここでも赤旗中断となるなど、『晴れの国・岡山』らしからぬ天候となったが、セッション再開後は天候が回復する。

 ここでも先ずはカルソニック IMPUL GT-Rの佐々木やMOTUL AUTECH GT-Rのクインタレッリが好タイム。その直後にトップタイムを刻んだのは、山下健太がドライブする「No.6 WAKO’S 4CR LC500」だった。さらに、「No.38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)」や「No.39 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)」らLEXUS LC500勢がタイミングモニターの最上位をキープ。最後にWAKO’S 4CR LC500の山下が唯一の1分17秒台に入れ、午後の最速タイムとなると同時に、2日目総合結果でも最速をマークする。続いて、ZENT CERUMO LC500とDENSO KOBELCO SARD LC500が18秒2を叩き出し、前日に優位をアピールしたGT-R勢に反撃の狼煙を上げる格好となった。

 TRDで車両開発を統括する湯浅和基・車両開発部部長も「オフの開発は全方位に渡って進めてきました。初日には(GT-Rに)差をつけられましたが、開幕戦では僅差の勝負になると思うので、テストで好データを蓄積していきます」と力強いコメント。

 そして、ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨むHonda勢だ。ブリヂストンタイヤを装着する「No.1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)」と「No.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)」、「No.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)」の3台が陣営をけん引する格好となったが、タイム的には初日にKEIHINがトップから1.2秒差の7番手、2日目はARTAがトップからコンマ7秒差の4番手に留まった。

 開発を担当する本田技術研究所の佐伯昌浩・NSX-GTプロジェクトリーダー(PL)は「決して(ライバルには)負けてないと思っています」とコメント。ライバルからも「Hondaはまだまだ爪を隠している」と分析されている。さらに「予選の時には一気にタイムを上げてくるだけに、やはり怖い存在」とも恐れられていた。

 3月30〜31日には富士スピードウェイで2回目となる公式テストが開催され、更にその2週間後にはいよいよシーズン開幕となるSUPER GT。3メーカーのどこかが圧勝することはなく、激しい三つ巴バトルとなることは間違いないだろう。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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