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SUPER GT 岡山テスト「GT300クラスに英国の刺客襲来、迎え撃つドイツ&日本勢」

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

マクラーレンとアストン・マーチンの可能性

 4週間後に始まる2019年シーズンも、GT500クラスでは3大メーカーによる三つ巴のバトルに期待が高まるSUPER GTシリーズ。そして国産・輸入を含め、マシンバラエティに富んだFIA-GT3車両とマザーシャシー(MC)も含めたJAF-GT車両によるGT300クラスもますます面白くなりそうだ。今回は、先週末に行われた第1回公式テストで、ニューカマーの登場にも関心の高まるGT300に注目してみたい。

 GT300クラスにおける今シーズンのビッグニュースのひとつが、マクラーレンとアストン・マーチンの登場だろう。いずれも、SUPER GTやその前身である全日本GT選手権(JGTC)に参戦していた経緯があり、国内のファンにはお馴染みの存在。特にマクラーレンに関しては、JGTCがまだ黎明期だった1996年にフル参戦、ライバルを蹴散らす格好で6戦5勝と圧倒し、チャンピオンを獲得したことは記憶に新しい。

 今年、フル参戦するのは新世代のFIA-GT3車両「720S GT3」。車名の720は最高出力を表すというが、FIA-GT3車両は”BoP”と呼ばれる性能調整が課せられるため、実馬力とはならないだろうが、カーボンモノコックとともに、気になるポイントではある。

 先月下旬、ツインリンクもてぎにて初テストを行ったが、これはマクラーレンのテストカー。本戦用のシェイクダウンは公式テストの直前、鈴鹿サーキットで実施されたメーカーテストまで待たなければならなかった。すなわち、岡山の公式テストは実走行2回目だったのである。

 今回のテストでは、ル・マン24時間レースでの優勝経験を持つベテランの荒聖治と、昨年の全日本F3で頭角を現したルーキーのアレックス・パロウのコンビが周回を重ねた。不順な天候でドライコンディションでは充分な走り込みができなかったのは痛いところだが、終始ウェットコンディションだった2日目午前のセッションではクラス4番手のタイムをマーク。その秘めたポテンシャルの一端をアピールしていた。

 荒いわく「ベース車両がカーボンモノコックで、素性がいい。高速のコーナリングでもクルマが安定している」と、愛機となる720Sに高い評価を下している。ただ、BoPがどうなるかは気になるところで「今のパッケージで“ある中”から引き出すしかないですね」ともコメントしていた。

 一方のアストン・マーチンは、昨年までのポルシェからコンバートしての参戦。ドライバーは藤井誠暢とGT500から鞍替えしてきたジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの新コンビだ。開発に携わりスーパー耐久では長年乗ってきたニッサンGT-R NISMO GT3を手始めに様々なFIA-GT3車両を乗り継いできた藤井は、現時点で暫定的に課されているBoPに関して「期待していたものには程遠いけれど、心配していたほど酷くはなかった」と微妙な評価。しかし「FRだけれど前後の重量バランスが良く、フィーリングも素晴らしい。4リッターターボエンジンもいい感触です。ただ今後、BoPがどうなるかは気になりますが」とコメントする。

 また、新コンビのデ・オリベイラについては「JP(デ・オリベイラの愛称)が速いことも十分わかっているし、彼のキャラクターも理解していて、開幕が楽しみ」とポジティブにコメント。こちらは初日、2日目ともにクラス6番手につけ、マクラーレンに比べて熟成が早めであることをアピールしていた。

 

継続メンバー&マシンも迎撃態勢は整う

 今シーズンのGT300は、マクラーレンやアストン・マーチンだけでなくFIA-GT3勢のラインナップが強化されたことが大きな特徴だ。なかでもHondaとNISSAN、LEXUSの国内3メーカーは、それぞれ3台、6台、3台で、HondaとNISSAN は昨年に比べて台数が増加。さらにHondaはNSX-GT3にアップデートキットを組み込んだEvo仕様へと進化し、GT500で活躍したビッグネームをドライバーに起用するなどヤル気が窺われる。

 また、GT500に参戦する「KONDO RACING」が、GT-R NISMO GT3で新規参戦。こちらは昨年までスーパー耐久を戦っていたチームがステップアップを果たした格好だ。そして、昨年と同様のラインナップとなるLEXUS勢では、LM corsaがタイヤをダンロップにコンバート。結果的にブリヂストンとヨコハマに加えてGT300クラスにタイヤ供給する3メーカーが名を連ねることになった。

 この中では昨年同様のパッケージながら、GT300クラス最多勝記録保持者の新田守男のパートナーに、ルーキーの坂口晴南を抜擢したLEXUS RC F GT3のK-tunes Racingが好調で、2日間の最速タイムをマークしている。

 さらに、2台のランボルギーニ・ウラカンで参戦するJLOCでは、Hondaのエースとして知られる小暮卓史が公式テストに参加したことでも注目を集めた。雨のセッションでは持ち味となるキレた走りを披露してクラス3番手まで進出したが、若手の元嶋祐弥がさらにタイムを短縮するなど“小暮効果”は明らか。則武功雄監督も「小暮君は速いだけでなく、ベテランで総てが分かっているから、安心してみてられる」と絶賛、「体制発表は富士のテストを終えてから」と言いつつ「でも、もう皆さん分かっているでしょ」と苦笑していた。

 トップタイムをマークしたのは「K-tunes Racing」の新田だったが、今回は2日間/4セッション、計8時間を黒沢治樹が1人でドライブしたディフェンディングチャンピオンの「K2 R&D LEON RACING」と、17年のチャンピオンである谷口信輝/片岡龍也のコンビがドライブする「GOODSMILE RACING & TeamUKYO」らのメルセデスAMG GT3勢も好調。トップタイムをマークしたセッションもあった。

 一方、FIA-GT3勢に押され気味だったがJAF-GT勢も「つちやエンジニアリング」のTOYOTA 86 MCや全国のSUBARUファンが熱い応援を続けてきた「R&D SPORTのスバルBRZ」が元気なところを見せていた。

 やはり今シーズンもSUPER GTのGT300クラスは、仁義なき戦いが繰り広げられるのは間違いない。改めて、4月13~14日の岡山開幕戦が楽しみになってきた。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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