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「訃報」ニキ・ラウダ 世界王者3度の偉業を振り返る

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: フェラーリ/メルセデス・ベンツ/Auto Messe Web編集部

「不死身の男」と呼ばれた元F1レーサー

 1975年、1977年、1984年のF1ワールドチャンピオン、ニキ・ラウダ氏が5月20日に逝去したとの報が入ってきた。享年70歳。F1界を代表する頭脳派ドライバーで、メカニズムにも精通し、テストを通して戦闘力のあるマシンを仕上げ「速さ+強さ」というまさに理想的なドライバーとして活躍した。

 ニキ・ラウダ氏は、1976年のドイツグランプリ(ニュルブルクリンク)で、大クラッシュしマシンが炎上。大やけどを負い瀕死の重傷となり、一時は入院先に牧師が呼ばれるほどの容体だったが、奇跡的に回復。ラウダの大事故以降、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェ=オールドコースでは、F1は開催されていない。そしてF1も2レースのみ欠場し、6週間後のイタリアグランプリからカムバック。復帰戦で4位に入賞し、「不死鳥」、「不死身の男」と呼ばれるようになる。

 同年の最終戦は富士スピードウェイで行なわれたF1世界選手権 イン・ジャパン。決勝は豪雨で、ラウダは危険すぎると判断し、2周でピットインしてリタイア。一方ライバルのジェームス・ハントは完走し4位入賞。結果、1ポイント差でタイトルはハントの手に……。このラウダとハントのライバル関係を主題にした、映画「ラッシュ/プライドと友情」が製作され、日本でも2014年に公開された。

 氏の実家はオーストリアで製紙工場を経営する大金持ちだったが、レースに反対されて勘当となり、自力で資金集めをしてF1までの道を切り開いた。1978年には強制排気システムを持つ“ファンカー”=ブラバム・BT46Bのデビューウィンを果たすが、他のチームから「可動する空力デバイス」と抗議され、使用禁止になった伝説も。

 そして1984年にはアラン・プロストとコンビを組んだ。TAGポルシェのターボエンジンを積んだ、マクラーレンMP4/2をドライブし、年間5勝でタイトル獲得。対するプロストは7勝で、ポイント差はわずかに0.5ポイントだった。この年、ラウダは一度もポールポジションを獲得していないが、勝てないレースでも確実にポイントを重ね、3度目のチャンピオンに輝いている。

 このスタイルをプロストもラウダから学び、ドライビングスタイルをアップデート。のちにプロフェッサーと呼ばれる戦い方を身に着けたのは、ラウダの影響が大きかった。引退後は、航空会社=ラウダ航空を経営したり、フェラーリのF1チームのアドバイザーや、ジャガーF1チームのチームマネージャーなどを引き受けたあと、2012年からメルセデスAMG F1の非常勤会長に就任。

 チームとともにグランプリをまわりメルセデスAMG F1を、最強のチームにすべく精力的に活動する。そして、2018年に肺の移植手術を受けるためにF1の現場を離れ、加療中であったが帰らぬ人になってしまった。

 1970年代、スーパーカーブームのときに、漫画「サーキットの狼」、「赤いペガサス」、アニメ「グランプリの鷹」などで、ラウダの名前を覚えた人も多かったはず。技・術・略、心気力を一致させた、稀代のドライバー、ニキ・ラウダ。F1出場 171戦、ポールポジション24回、優勝25回。

 溢れる闘志と明晰な頭脳で、1971年のデビュー以来、F1界を駆け抜けてきた偉大なレジェンドに合掌。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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