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スカイライン、クレスタ、BMW…… 教習車の昭和後期から平成までを振り返る

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: マツダ/日産/オーテック/トヨタ/BMW/Auto Messe Web編集部

マツダが新型教習車の販売スタート

 令和となったこの5月、今月はどんな新車がデビューするのだろうと新車カレンダーを見てみると、5月27日に「新型マツダ教習車発売」という文字が……。ベースがデミオなのに車名が「マツダ教習車」というのはインパクトがあるが、教習車の条件は道路交通法施行規則で定められていて、普通車の場合、乗車定員5人以上、全長4400mm以上、全幅1690mm以上、ホイールベース2500mm以上及びトレッド1300mm以上という決まりがある。とくにセダンである必要はなく、ミニバンでもオープンカーでも構わないが、5人乗りという時点で、2シーターのクーペやオープンはNGとなる。

 一般的には、この教習車こそ、はじめてハンドルを握ったクルマになる可能性が高いので、いい思い出(?)、悪い思い出(?)といろいろ記憶に残っている人も多いのではなかろうか。というわけで、昭和後期から平成までの各社の主な教習車を振り返ってみることにしよう。

・トヨタ

 トヨタは歴代クラウンの教習車が多かったが、1995年以降は小型タクシー用に開発されたコンフォートがメインだった。カローラアクシオにも教習車仕様が用意されている。クルマ好きの人が多い、50歳前後の人たちだと、角型4灯ヘッドライトが印象的な、ハイソカー時代の主役、2代目クレスタ(X70系)の教習車で免許を取った人も多いのではないだろうか。

 当時、大人気の一台だったが、クレスタの教習車に乗りやすかったという印象を持っている人はあまり知らない。免許取得後に70クレスタに乗った人も少なくなかったが、彼らが購入したのは、教習車のようにMTではなくAT車!

 教習車のミッションやクラッチのコンディションが悪かったから、AT車に流れたということはなかっただろうが(AT限定免許は1991年以降)叶うことなら、当時の教習車にいまのスキルで乗ってみて、クルマの状態を正しくジャッジしてみたいものだ。

・日産

 日産は、セドリック、グロリア、ローレルなどのイメージが強い。バブル直前の80年代後半に教習所に通っていた人なら、Y30セドリックで教習を受けたという人も多かったはず。 日産の教習車で興味深いのは、オーテックジャパンが製造していた、R32スカイラインの教習車! その名も「スカイライン教習車」。車両型式はE-FR32改。搭載エンジンは1.8リッター直列4気筒OHC(CA18i)91馬力。スペック的にはかなりしょっぱいが、どうせなら、こういうクルマで教習を受けたかった……。

 その後は、クルー、ブルーバードシルフィ、ブルーバードなどの教習車が登場し、どんどん日産の教習車はカッコ悪くトホホなクルマになっていく。

 とどめは、2008年に登場したティーダラティオの教習車(オーテック製)。数年前までよく路上教習のクルマを見かけたが、2012年に日産は教習車から撤退。はじめてハンドルを握るクルマはセダンとはいえ、ある程度カッコいいクルマであった欲しいと思うのは、筆者だけだろうか?

・マツダ

 ここ10年、教習車のシェアナンバーワンといえば、マツダのアクセラ! かつてはルーチェ、ファミリア、カペラなどの教習車も見かけた。冒頭に紹介した、新型「マツダ教習車」は、タイの工場で生産している「マツダ2 セダン」(デミオがベースだが、デミオのセダンは国内にない)。

 5ナンバー枠のコンパクトなボディにすることで、教習生が運転操作に早く慣れ、安全運転に求められる技量を早く修得できるクルマを目指して開発されたとのこと。再び教習車=マツダの時代が続くかどうか、興味深いところだ。

・ホンダ

 ホンダは教習車の中でかつてはかなりマイナーな存在だった。一応、アコード、シビックフェリオ、ドマーニなどがあったが……。

 しかし、日産などが教習車作りから撤退する中、2015年にグレイスの教習車仕様を新たに投入。5ナンバーのコンパクトセダンなので、需要はあるかもしれない。

・スバル

 スバルも教習車では新興勢力(?)。インプレッサG4の教習車がカタログにあり、4WDモデルが雪国の教習所で需要がある。運転席からの死角の少なさもウリにしていて、運転しやすさも特徴にしているので、4WDだけでなくFFも教習車として広がっていくかもしれない。

・その他

 三菱は現在教習車から撤退しているが、むかしはギャランやランサーの教習車もあった。いすゞはアスカの教習車があったはずだが見たことはない……。約50年前には、フローリアンの教習車もあった。

 その他、バブル時代はメルセデス・ベンツの190やBMWの3シリーズを教習車にして、それを大々的に宣伝している教習所があったことを覚えている人もいるだろう。いまでもBMW 3シリーズや、アウディ A3などの輸入車を教習所にしているところをポチポチ見かける。

 またSUVやミニバン、プリウスなどのハイブリッド車、リーフなどのEVの教習車もじょじょに増えてきているとのこと。教習車も多様化の時代に入りつつあるのかもしれないが、何事も初めが肝心。クルマに対していい印象を持って、安全運転のための基礎知識を身に着けやすく、しかも街の景観のためにも、魅力的な教習車が増えてほしいものだ。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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