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異常気象で想定されるトラブル「クルマに雷が落ちたらどうなるの」

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: mbj、妻谷裕二

屋外よりも車内の方が安全性は高い

 7月から9月にかけて全国各地で雷が多く発生するシーズンです。一般的には「車の中」は屋外での落電に対して安全な場所のひとつ。たとえ雷の直撃を受けたとしても、金属性のボディが強烈な電磁場から乗員を守り、電流を地上へと受け流してくれるからです。

 しかし、表面のほとんどが布や合成樹脂で覆われたソフトトップ・カブリオレには通用しません(オープンの場合は言うまでもなく)。もし空を遮るものがない田舎道をメルセデス・ベンツのカブリオレで走っている時、突然激しい雷に襲われたら、ドライバーはすぐに車から降りて大木の下に逃げなければならないのでしょうか。しかし、木の下は一見安全そうですが、逆にかなり危険だとされています。つまり、木の葉の部分は水分も多く、導体と見なせますが、木の幹はほとんどコルクなので不導体。つまり、鉄筋コンクリートの丈夫な建物に避難するのが有効な対策と言われているのです。

 メルセデス・ベンツは昔から新型モデルを登場させ、最後にソフトトップ・カブリオレを設定し、うまくモデルラインアップをまとめています。それにしても、メルセデス・ベンツが以前からどうしてカブリオレ造りにこだわるのか? その理由は「ひなたぼっこ」にあると言えます。メルセデス・ベンツの故郷ドイツのシュツットガルトは北海道より北にあり、冬は日照時間が短い。じつは、ドイツでは日光欲が長生きの秘訣。セダンでもスライディングルーフ付きが多くみられます。

 一年中オープン&クロ-ズを楽しめるというテーマはドイツの自動車メーカーにとって永年来の課題。つまり、カブリオレこそクルマ造りの王道。戦前戦後からカブリオレは秘蔵っ子モデルで、メルセデス・ベンツも必ず専用カタログを製作してきました。

 さて、話を落電に戻しましょう。結論から言えば、手元にある2003年のメルセデス・ベンツ資料では「実験で立証されており大丈夫」と記されています。周到に設計されたCLKカブリオレの金属性ソフトトップ・フレームはメタルトップと同等のシールド性能を発揮し、雷の影響を全く寄せ付けない事が立証されています。

 2003年、CLKカブリオレ(A209)の発表に際し、ベルリン工科大学の協力を得て、高電圧実験を実施。直列につないだ何本ものキャパシターで発生させた140万ボルトの高電圧が稲妻となってソフトトップの金属フレームからボディへと流れ、さらにタイヤを通じて地表に放出されました。もちろん、運転席のダミー人形に電流が伝わることはなく、車載のエレクトロニクス機器にも全く影響はなかったのです。

 じつは、運転中の落電で注意すべき事は運転者が驚き、パニックを起こしてしまうこと。ハンドルやアクセルの操作を誤ると事故の原因になり、雷が通電した熱でタイヤがバーストする可能性があるのです。激しい雷や豪雨の時は車を安全な場所に停め、待機するのが安全でしょう。そして、ボディの金属部分には触れないようにするといいでしょう。

 同じ実験が日本でもJAF(日本自動車連盟)が以前、車の落電実験を日本工業大学の超高圧放電研究センターで行なっています(JAFホームページご当地情報静岡支部;2019年5月11日掲載)。記事によれば、人工雷の電圧は140万ボルトに設定し、車に落ちた雷はボディ等の金属部を通り、タイヤを伝い地面に流れます。金属の枠の中には電気は入り込まないので、人に対しては車内では落電の影響はない、というもの。

 興味深いのは車の横に人形を立たせて人工雷を落とすと、マネキンの頭部を直撃するということ。つまり、雷は電気を通し易いところよりも高い所に落ちる。すなわち、雷が鳴っていたら車内で待機しているのが安全なわけです。

 また、屋根が鉄ではないサンルーフや窓の部分からは、電気が入る危険性があるとされていますが、現実には雷が発生する時はほとんど雨が降っており、ガラスに付いた水が鉄と同じ様に電気を通し易くするため、乗員に影響を与える危険性は低いとのこと。

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