公道を使ったレースだから事故の危険度も高い
アメリカ・コロラド州にある標高4302mのパイクスピークを舞台に6月30日(日)に97回目の大会が開催されたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)。観光道路を使用したヒルクライムレースで、さまざまな4輪、2輪のマシンによって競われるのだが、7月26日(金)にバイク(2輪)部門の一旦休止が発表された。
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、標高2862mのスタート地点から頂上まで、全長20km、コーナー数156のコースを、いかに速く駆け上がるかを競うレース。スタート地点も標高が高いため、走っていくにつれ酸素は薄くなり、頂上のゴール付近では、内燃機関エンジンの出力は約30%低下するともいわれている。
もともとダート(未舗装)の登山道だったが、2012年にコースは全域で完全に舗装された。それに伴い、2輪参戦モデルは、それまでのダート系から近年はロードモデルが大半を占めるようになっている。
ところが、2019年の大会では、予選トップで通過し、2輪部門の優勝候補といわれていたカーリン・ダン選手(#5 2019年式 ドゥカティ・ストリートファイターV4 Prototype)が、チェッカー直前の最終コーナーでコースアウトして死亡。他にも、2014年は決勝レースで、ボビー・グーディン選手がゴール直後、2015年は練習走行中にカール・ソレンセン選手が転倒し、両名が亡くなる事故が起きている。
このような事態を重く見たパイクスピークの実行委員は、すでに2輪部門参加のエントラントへ参戦者側の立場での意見集約をすすめており、2019年のイベントの内容を精査しているところ。そして、今後の継続的な2輪部門の開催の可能性を検討することを視野に入れつつ、2020年は2輪部門の開催をいったん見合わせることとした。
このような2輪部門の競技を一旦不開催とすることで、その影響などを計るということだ。継続開催の可否については、98回大会開催後となる2020年後半に決定されるという。
パイクスピークでの2輪部門は、開催初年度から存在してはいる。しかし、97回の大会中に41回の開催と毎年行われてはいないのだ。また、以前は全2輪部門参戦者が一斉にスタートする方式が取られていたり(現在は1台ずつの出走)、その時々に応じて競技の形態も変化してきてはいる。