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オリンピックイヤーを前に燃料電池バス「SORA」にドライバーサポート機能を追加

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TEXT: 石田 徹  PHOTO: TOYOTA

水素タンクはトヨタMIRAIの5倍

 トヨタ自動車は8月6日、ITS機能の活用などによって燃料電池バスの「SORA」の安全性や輸送力、さらに速達・定時性やバリアフリー対応能力を向上した改良型モデルを導入すると発表した。

 昨年3月に型式認証を受けて販売を開始した燃料電池バス「SORA」。もちろん国内初の燃料電池バスで、東京を中心に路線バスとして100台以上の活用を予定する。来年の東京オリンピック・パラリンピックで、象徴的な公共交通機関として、燃料電池車の先進性を世界にアピールする狙いが込められていることは周知の事実だ。

 この「SORA」、ベースとなっているのは日野自動車の最新のバス。ルーフ前方に10本の水素タンク、同じく後方に燃料電池スタックを搭載。駆動モーターや駆動用のバッテリーは通常のバスと同様車体後方の下部に置かれている。ざっくりいうと、実用化された燃料電池車の先輩にあたる「MIRAI」のパワーユニットをダブルで搭載し、水素タンクは5倍(MIRAIは2本)という仕様だ。

 路線バスとして開発された「SORA」に常に求められるのは、まず高い安全性。路側装置と車両の通信で取得した対向車や歩行者の情報、信号情報などを活用し、ドライバーに注意喚起を促すITS Connect路車間通信システムのDSSS(ドライビング・セーフティ・サポート・システムズ)を採用した。

 たとえば交差点で右折する際、対向直進車や右折先の歩行者を見落としている可能性がある場合に写真のように注意喚起。前方の交差点が、赤信号なのに見落としている可能性があれば同様に注意喚起し、赤信号になりそうなら早めの減速を推奨。また信号待ちの際に、発進の遅れを回避できるよう、赤信号の待ち時間目安を表示する発進準備案内もある。

 衝突警報の機能も追加された。車両前方に装着したミリ波レーダーで先行車や障害物との衝突の危険性を検出すると、ドライバーに警報ブザーとモニター画面で警告する。立っている乗客やシートベルトを締めていない乗客もいる路線バスだけに、ドライバーの運転操作による衝突回避を支援する。

 安全性でもうひとつ注目したいのが、ドライバー異常時対応システムのEDSS(エマージェンシー・ドライビング・ストップ・システム)だ。ドライバーに急病などの異常が発生した際、本人あるいは乗客が非常ブレーキスイッチを押すことで減速して停止する。もちろん立っている乗客と着席中の乗客の双方の安全性に配慮した制御だ。減速開始と同時に、赤色フラッシャーランプと音声アナウンスで車内の乗客には非常事態を伝え、車外や周囲にはホーンとストップランプ、ハザードランプの点滅で異常を知らせる。

 公共交通機関として、安全と並んで重要なのは、輸送力。ITS Connect車群情報提供サービスを活用する。何台かが連なっている場合に、バス同士の通信やミリ波レーダーを使って、何台のバスがどんな順、どんな長さの車群になっているかをドライバーに通知する「車群認識機能」を搭載。同じ車群のバス同士で、乗客の乗降状況を把握し、バス停からの同時発車を支援する「バス停発車可能情報」も使って、輸送力を高めると同時に、より速く、時間通りの輸送をめざす。

 速く、時間通りに運行するためには、ITS Connect電波型PTPS(パブリック・トランスポーテーション・プライオリティ・システム=公共交通優先システム)が威力を発揮する。これはITS専用無線で青信号の延長や赤信号の短縮を路側装置に要求できるもの。車群走行時に最後尾車両から青延長の要求を発信することで、赤信号により車群が分断されるリスクを低減する。また、ITS Connect通信利用型レーダークルーズコントロールで、先行車と通信しながら、その加減速情報に素早く反応することで、スムーズな追従が可能になる。とくにバス専用道を車群で走る場合は車間距離の保持や後続車の速度安定に役立つ。

 最後にバリアフリー対応能力をさらに向上した「自動正着制御」を今回オプションで設定した。これは路面の誘導線をカメラが検知し、自動操舵と自動減速により、乗降場の所定位置にバス停から隙間を開けずに停車させる仕組み。車イスやベビーカーを利用する乗客の乗降性をさらに向上させる、優れたアイディアの実用化だ。

「SORA」は法人向けのリース販売専用車のため、車両本体価格などは公表されていない。しかしながら、1台およそ1億円と言われている燃料電池バスがどこまで普及していくかは、世界も注目しているに違いない。ちなみに乗用車の「MIRAI」は727万4880円だ。

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