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【SUPER GT Rd.7 SUGO GT300km】GT-R勢が雨の激戦を1-3フィニッシュ、若きヒーローは優勝逃す

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 成瀬陽介、遠藤樹弥

CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの初勝利

 前回のシリーズ第6戦・オートポリスGT300kmに続いて今回のシリーズ第7戦「SUGO GT300km」も荒れた天候によってタフなコンディションとなる1戦だった。ただし“魔物が棲む”と言われるスポーツランドSUGOだが、今回の“魔物”は、例えばトップを快走していたマシンに何かハプニングが起きる、というような悪戯をした訳ではなく、結果的に何人ものヒーローを誕生させることになった。

 公式サイトやモータースポーツ専門サイトで報じられているように、GT500クラスは「No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R」の平手晃平/フレデリック・マコヴィッキィ組が、GT300では「No.55 ARTA NSX GT3」の高木真一/福住仁嶺組が、ともに今季初優勝を飾った。

 詳しく結果を見ると、GT500は2位に入った「No.64 Modulo Epson NSX-GT」のナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組も今季初、チームにとっては17年の鈴鹿1000kmでの優勝以来となる久々の表彰台だったのである。

 3位には「No.23 MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリ組が入り、NISSAN GT-R勢にとっては見事な1-3フィニッシュとなり、ファンにとっては嬉しい1戦となった。

 

レクサスLC500勢は最終戦前に有終の美

 一方、第2戦から前回の第6戦まで5連勝を飾ってきたLEXUS LC500勢にとっては今季初めて表彰台を逃す1戦となった。もっとも、シリーズランキングのトップ2=「No.6 WAKO’S 4CR LC500」の大嶋和也/山下健太組と「No.37 KeePer TOM’S LC500」の平川亮/ニック・キャシディ組が、燃料リストリクターでパワーを絞られながらも6位と4位に入賞したのだから、表彰台を逃したことは大きな痛手とはならなかった、はずだ。

 ちなみにタイトル争いは、6号車と37号車となり、今季で最後となるLEXUS LS500が有終の美を
飾ることも確定している。

 一方のGT300クラスでは「No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG」の谷口信輝/片岡龍也組が2位、「No.96 K-tunes RC F GT3」の新田守男/阪口晴南組が3位に入り、FIA-GT3勢が今季初優勝&今季初めて表彰台を独占。若いスピードボーイの活躍が目立つ最近のSUPER GTでは珍しくなったベテランコンビによる“技”を見せてきた4号車にとっては、これが今季初の表彰台となったのである。

 雨に翻弄されたレースで、らしさを発揮したものの、タイトル争いでは一歩及ばず脱落。結果的には優勝した55号車と、3位の96号車による2強の争いになってしまった。

「先ず一勝」が達成されたCRAFTSPORTS MOTUL GT-R

 今回のレースはタフなコンディションに翻弄されるなか、GT500でもGT300でも今季初の優勝者を誕生させることになった。もちろん彼らには彼らのドラマがあった訳で、特にGT500の3号車に関しては、平手をLEXUS/TOYOTA陣営からヘッドハンティングすると同時に、ポルシェのワークスドライバーであり、ミシュラン・タイヤのスペシャリストでもあるマコヴィッキィを招聘するなど今季体制を一新。

 新たに就任した田中利和監督の「先ず一勝」の掛け声の下で速さを見せながらも不運に泣くレースが多かっただけに、その喜びもひとしおだったに違いない。平手の第二の故郷である菅生での今季初優勝に、運命的なものが感じられたのも事実だった。

 

ヤングヒーロー牧野と坂口の活躍

 しかし今回のレースにおけるヒーローは、やはりレース後半の猛プッシュで観客を魅了したであろう2人のスピードボーイを挙げておきたい。ひとりは、GT500で2位入賞した64号車の牧野だ。

 もう一人はGT300で3位入賞した96号車の阪口。ともにフォーミュラ育ちでカート時代から速さに定評があった逸材だが、ヘビーウェットのタフなコンディションの中、他を圧倒するスピードでライバルを次々パスして、自らの速さをアピールした。

 2016年に全日本F3を戦った牧野はHondaの育成枠として17年にはヨーロッパF3、18年にはFIA-F2を戦い、FIA-F2では1勝を挙げたものの今季は国内に戻ってSUPER GT & スーパーフォーミュラ(SF)に参戦。SFではデビューとなった開幕戦で見事ポールを奪ってスポットライトを浴びている。

 一方の阪口も18年まで全日本F3を戦った後、今季はHondaの育成枠から外れたもののLEXUS陣営の96号車でシートを確保。デビューとなった開幕戦の岡山では、公式予選でいきなりQ2を任され、コースレコードを更新してフロントローを確保。結果的にこのレースで96号車は優勝したものの阪口自身は決勝で走っていなかったが第3戦の鈴鹿では、公式予選でQ2を任されてフロントローを確保すると、決勝でも素晴らしい走りでチームに2勝目をもたらしている。


 マシンやバトルのレベルが高度化するに従って、ツーリングカー、いわゆる“ハコ車”のSUPER GTにおいてもフォーミュラでスキルを磨いたスピードボーイが求められるようになった。今回のSUGOでは、図らずもタフなコンディションが、そのことを改めて証明することになったのである。

 次回の最終戦では、牧野や阪口がどんなドラマを演じるのか? そしてまた今度はどんなヒーローが登場するのか? 最終戦がますます楽しみになってきた。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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