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2020年から自動ブレーキの新車装着を義務化!高齢ドライバーの事故率は減少するのか

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TEXT: 山本晋也  PHOTO: Auto Messe Web編集部

高齢ドライバーの追突事故減少している

 いまだに、ついつい「自動ブレーキ」と呼んでしまうこともあるが、自動車業界的には「衝突被害軽減ブレーキ」というのが正しい呼び方。国土交通省では「AEBS(Advanced Emergency Braking Systemの略称)」として、その認定制度も始めている。

 というわけで、これから耳にすることが増えるであろう「AEBS」という呼び名で統一するが、この機能はセンサーで前方を監視して、障害物があって、なおかつドライバーが反応していないときに緊急ブレーキをかけるというもの。それによって衝突を回避できることもあれば、速度を落とすことで被害を軽減できることも期待できるという安全装備だ。

自動ブレーキこと「AEBS」の義務化は近い

 その「AEBS」が義務化されるという話はご存知だろうか。2019年2月、国連欧州経済委員会において2020年初めから新車にAEBSを義務化する規制案に、日本を含めた40か国が合意した。もっとも、日本においてはすでに新車の半数以上(7割以上という声もある)にAEBSが搭載されている状態であり、非現実的な話ではない。むしろ、現状からすると自然に受け入れられる義務化といえる。

 さらにいえば、大型のバス・トラックにおいては2017年9月以降のすべての新車(継続生産車含む)にAEBSが義務付けられている。単純に、それが乗用車や小型商用車まで拡大するというだけの話だ。とはいえ、正式な発表はされていないので、どのような順番で義務化が拡大するのかは未定といえる。おそらく新型車から義務化となって、時間をおいて継続生産車も対応を求めるといった流れになるだろう。

 義務化されるAEBSの基準については、すでに国土交通省が認定制度で示しているように「静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しない又は衝突時の速度が20km/h以下となること」、「20km/hで走行する前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しないこと」、「衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8秒前に、運転者に衝突回避操作を促すための警報が作動すること」の3要件を満たすことが求められることになるだろう。

歩行者を検知できる機能が求められる

 ただし、上記の条件を見てもわかるように国土交通省のAEBS認定制度で対象としているのは前方車両だけとなっている。実際には、歩行者や自転車を検知することが求められようになる。もっとも、現実的には国産車の多くが歩行者を検知できるカメラ単体、もしくはカメラとレーザーを併用するシステムを採用していることが多く、車両以外を認識する能力を有していることは、実質的にはスタンダードになりつつある。軽トラックのダイハツ・ハイゼットにも歩行者を検知するステレオカメラを使ったAEBSが用意されているくらいだ。

 AEBSの義務化によって、数年後にはすべての市販車に搭載されることになるのだろうが、その際に歩行者を検知できることが最低条件になるようなルールづくりを期待したいし、ユーザーからも声を上げるようにしていきたいものだ。

 さて、こうしたAEBS義務化の流れは、それが交通事故の減少に大いに役立つと実証されているからである。以前、イタルダ(交通事故総合分析センター)が発表したレポートによると、AEBSの有無により追突事故は半減しているというから、その効果は明確だ。そのレポートでは普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車にわけて10万台当たりの追突死傷事故について低減効果を算出している。参考までに逓減率を引用すると、普通乗用車で51.3%、小型乗用車で62.1%、軽乗用車では47.3%となっている。

高齢ドライバーには効果が証明されている

 軽乗用車がもっとも低減効果が少ない理由はいくつか考えられるが、高齢ドライバーが運転しているケースが多いからと予想するのは間違いだ。少なくとも軽乗用車においては29歳以下のドライバーが追突事故を起こしている割合が多い。その比率は約40%と圧倒的だ。

 これは若年ドライバーのほうが速度を出す傾向にあることが理由として考えられるという。つまり、高齢ドライバーの多くはスピードをさほど出さないのでAEBSで停止できるが、若年層は速度を出す傾向にあるのでAEBSが作動しても停止まではいたらずに事故になってしまうというわけだ。AEBSは車両が持っている以上の制動力を出すことはできないからだ。

 こうしたデータからもわかるように、すでにAEBSの効果は高齢ドライバーの追突事故減少という結果につながっている。義務化によってAEBSの普及率が上がれば追突事故のさらなる現象が期待できる。一方で、AEBSが衝突被害軽減ブレーキである限り、速度超過の状態では停止までカバーできない。

 ドライバーの属性やAEBSの有無にかかわらず、大幅な速度超過や極端に短い車間距離といった危険度の高い運転をすることは交通事故の減少につながらないことを、しっかりと肝に銘じて運転してほしい。

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