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ヘルメットや4点式シートベルトは違反? サーキット走行の安全装備は公道で使用してもいいのか

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TEXT: 深田昌之  PHOTO: Auto Messe Web編集部

上半身を動かせないと公道では使用不可

 モータースポーツやサーキット走行を趣味としている人のクルマには、競技用のフルハーネスタイプの4点式シートベルトが装着されていることが多い。そしてヘルメット着用も一般的だ。いずれもサーキット走行では、万が一のトラブルからドライバーを保護する物だが、一般道で使用するのはどうなのだろうか。 

 競技用シートベルトは、純正シートベルトより身体をがっちりと固定できるイメージがある。純正ベルトの代わりになると思うところだが、クルマのシートベルトには”JIS”の規格があり、合致していないと保安基準においての座席ベルトとはみなされない。

 JISにおけるシートベルトの基準にはベルトの材質はもちろん、耐摩耗性、耐寒性、耐熱性、耐候性、耐水性など細かい検査項目があるし、ベルトを取り付けるボルト類やベルトのバックル機能やバックルに使われている樹脂パーツにも決まりあるのだ。

 競技用フルハーネスベルトも乗員保護のためにちゃんと作られているものだと思うが、他の競技用パーツ同様、主な目的が量産車用パーツとは異なるので、販売時に純正シートベルト向けのJISの検査を受ける必要がない。そのため、純正シートベルトの代替えである証明は出来ないのだ。だからいくら性能を満たしていても、公道で競技用フルハーネスベルトをどんなにしっかり装着しようと「シートベルト着用」とは言えないということになってしまう。

 とはいえ、ひょっとするとJIS規格を通っている競技用フルハーネスベルトもあるかもしれないが、それでもやはり公道ではNGだろう。

 その理由だが、競技用フルハーネスベルトの装着状態は保安基準で言うところの「座席ベルト(一般的にシートベルトと呼ぶもの」の定義を満たしていないところが挙げられる。

 運転席や助手席に装着するシートベルトの決まりは「通常の運行において当該座席ベルトを装着した者がその腰部及び上半身を容易に動かし得る構造のものであること」となっている。

 これは周辺が見えにくい状況などで身体をひねっての状況確認が困難であってはダメ、と言うようなこと指しているのだろうが、ベルトを締め上げてシートに身体を固定する競技用フルハーネスベルトではこの動作をすることは困難だ。それゆえに「腰部及び上半身を容易に動かし得る構造のものである」に当てはまらないと判断するのが妥当だろう。

 では、身体が多少動くよう緩めていたらどうかというと、それは本末転倒で衝突時にシートベルトの役目を果たさなくなるので絶対にやめること。

 なお、競技用フルハーネスベルトをした上で純正シートベルトをすれば大丈夫か? というちょっと変わった疑問が湧くこともあるかもしれない。装着した姿を想像してみるとかなりガッチリと抑えてくれそうだが、それはあくまでもぶつかったときだけ「いい感じ」なだけで、通常の運転時ではいくら純正ベルトをしていても「腰部及び上半身を容易に動かし得る構造のものである」と言う部分がダメ。例えば、周辺が見えにくい状況で身体をひねっての左右確認などが困難になるので、これはナシ考えたほうがシンプルだ。

 さらにいまのクルマはシートベルト未着用のまま発進したときに警報が鳴るようになっているが、このシステムに絡んでいない競技用フルハーネスベルトを締めてもこの警報が止まらないので、機能の面からも競技用フルハーネスベルトは乗用車用のシートベルトではないと言えるのだ。

視覚を狭くして周囲の音が聞こえにくい

 つぎに同じく競技で使われる乗員保護用の道具であるヘルメットについてだ。これを公道走行時に被ると違反になるのか? という疑問を持つ人もいるが「ヘルメット装着は違反」というように、そのものズバリを指す決まりはないようだ。

 ただし、市販の4輪用ヘルメットはフルフェイス型とジェット型の2種類があるが、ともに「耳」の部分もしっかりとカバーされるので周辺の音が聞き取りにくくなる。ミラーの死角にいたバイクや緊急自動車のサイレンなど、道路を走る際に「聞こえたほうがいい」音が聞きにくくなる弊害を生んでしまう。

 また、ヘルメットを被ったことのある人ならわかると思うが、とくにフルフェイス型は着用すると視界が狭くなるし、前が大きく開いているジェット型でも多少制限されるので、公道でヘルメットを被るのは単純に「視界を狭くする」ことにもなるのだ。そんなデメリットを考えると、法令に明記されていなくても是か非かの判断は付くのではないだろうか。

 余談だが、ヘルメットを着用して運転したときに事故を起こしたとする。そしてそこでの補償や過失割合などの話し合い時に、相手から事故の要因として音が聴きにくかった、視界が狭かったと言う部分を挙げられた場合は立場が不利になることも考えられる。民事訴訟になったときも同様だろう。

 そんなところから公道でのヘルメット着用にはあまりメリットがないとも言えるので、あえて被る必要はないかもしれない。

 ちなみに競技車やスポーツ走行時のヘルメット着用は、クラッシュしたときなど、乗員の頭の側を通っているロールバーから頭を保護する意味もある。ここはちょっと想像するとわかることだが、クラッシュなどで身体が勢いよく大きく動いた際に、鉄パイプであるロールバーに顔や頭部を打ち付けたらどれだけのダメージを受けるか?ということだ。

 チューニングカーやサーキット走行仕様車だとロールバーを組んでいることもあるが、事故はいつどんな状況で起こるかわからない。ロールバーでキャビンが守られても、車内で乗員がバーに衝突してケガを負っていては意味がないので、もし頭部の側に通るバーにパッドを巻いていない場合は、早めにしっかりしたパッドを巻くことを強く勧める。

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