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物流や災害支援に活用か? 日米の実物大「空飛ぶクルマ」が幕張で共演

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TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: Auto Messe web編集部

最先端技術が投入された「空飛ぶクルマ」

 次世代の乗り物として世界中で注目を集めているのが「空飛ぶクルマ」。都市部の渋滞緩和や公共交通機関が減少する過疎地域での新たな生活の足、物流や災害支援、救急から観光向けまで様々な用途が期待されているなか、日本とアメリカで作られた実物大の実機がエレクトロニクス展示会「CEATEC2019」(10月15日〜10月18日・幕張メッセ)に登場。どんな乗り物なのか紹介したい。

時速185キロで飛行可能な1人乗り機

 まずは、アメリカから。自動車や航空機、産業用の電子部品や電源コネクタなどを製造する世界企業TE CONNECTIVITY(ティーイー・コネクティビティ)社の日本法人「タイコエレクトロニクス・ジャパン」のブースに展示してたのは、一人乗り用の「空飛ぶクルマ」。
 「rFlight(アールフライト)」という研究チームが、アメリカ航空機メーカーのボーイング社が主催する”Go Fly(ゴーフライ)”という国際コンテストに出展したモデルの実物大模型だ。


 動力は内燃機関で、ループ状の機体後部に2つの同軸プロペラを搭載することで垂直離着陸が可能。燃料補給やバッテリー充電なしで32キロ以上を飛行でき、最高速度は時速185km/hを誇るというから驚きだ。

 展示会では、実際に来場者を募り、実際の飛行を疑似体験できる体験試乗会も行われた。
 ドライバー(パイロット)が乗り込む際は機体は起きた状態で、人も立ったまま乗車。そのままの姿勢で浮上し一定高度に達したあとは、機体が地面に対し水平になり飛行体勢に入るといったと感じだ。


 運転は、コンピュータ制御による半自律制御手段、つまり自動運転だ。また、こういった飛行制御の実現のために、TE社製の圧力センサーや接近センサー、高度件、加速度計が搭載されているという。

 今回のデモを体験した人は、VRゴーグルをかけて空を飛ぶ雰囲気を視覚的に疑似体験したが、実際の飛行でもドライバーはVRゴーグルを装着する想定。これにより、目的地や立ち寄り地といったフライトプラン選択など、様々なユーザーインターフェースが可能になるという。


 なお、このモデルは、2020年2月にカルフォルニアで開催される前述のGo Fly飛行実験にも参加予定。製作したrFlightは、将来的に地震など自然災害時に大型陸上車両やヘリコプターなどが行けない被災地などへ飛び、被災者の応急措置や捜索救助、被害状況の確認などへの活用を目指しているという。

空飛ぶクルマの運行管理を目指すNEC

 一方の日本勢は「NEC」が製作した実験機。4枚のプロペラを電動モーターで回転させるeVTOL(イーブイトール)とよばれるタイプで、サイズは全長約3.9m・幅3.7m・高さ約1.3m。基本的に無人飛行を前提としていて、操縦は陸上からプロポを使って行なう。

 また、空を飛ぶ際に必要になる、自律飛行や機体位置情報把握(GPS)を含む飛行制御ソフトウェア、推進装置であるモータドライバなどを新たに開発して搭載。2019年8月に実施されたNEC我孫子事業場での実験では、地上から約3メートルの高さまで浮上。今後は水平飛行などに向けた開発が進められる。

 ただし、同社開発担当者によると、この機体はあくまで「空飛ぶクルマに必要な様々な要素を知るために製作したもので、実際に機体を作り販売することは考えていない」と話す。

 では、なぜ作るのか? これに対し、担当者は「将来的に空飛ぶクルマが実用化された際に、安全な飛行やフライト管理をするためのシステム構築」を目指しているという。


 陸上交通の場合、クルマや歩行者などは、あらかじめ周知されている交通ルールに則って信号機などを確認しながら通行する。だが、空の場合、民間の旅客機や軍事用の航空機などが飛び交い、事故などで家屋などに墜落すれば大惨事になる可能性が高いだけに、より複雑な管理が必要となる。

 この点に関し、同社では従来から「はやぶさ2」など航空・宇宙分野における航空管制システム・衛星運用システムを運用している実績を持つ。「空飛ぶクルマ」の管理システムに関しても、それらで培った技術や経験を活用すれば、十分に構築は可能だとみている。

 「空飛ぶクルマ」については、特に都市部での運用について反対の声も多い。住宅や建物が密集しているため、その上空を飛ぶことは、騒音問題はもちろん、前述の通り墜落による家屋や建造物の破損や火災、人命を危険にさらすなど様々な危険性をはらんでいるためだ。

 開発担当者は「まずは、家屋が密集していない地方の過疎地域で、物流などへの活用が最初ではないか」という。そして、その後に「法整備も含めた諸問題が解決されれば、渋滞緩和策などとして都市部でも運用されるのでは」との見方をしている。


 さて、実際に「空飛ぶクルマ」は実現するのか、またどう実現するのか? いろいろと興味は尽きない。

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