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成功と失敗は紙一重! FRからFFになり人気の命運を分けた80年代の国産車5選

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TEXT: 渡辺陽一郎  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe web編集部

時代の流れで成功した3車種と失敗した2車種

 本格派のオフロードSUVを除くと、今では乗用車の多くがFF(前輪駆動)を採用する。FFは空間効率が優れ、駆動輪が重いエンジンの下にあるから、駆動力の伝達効率も高い。今ではVW(フォルクスワーゲン)のように、FR(後輪駆動)を手掛けないブランドも増えている。

 しかし、かつての乗用車はFRが主流だった。FFは前輪が駆動と操舵を兼任するため、メカニズムが複雑になるからだ。それが技術進歩に伴い、1970年代から1990年頃に掛けて、FRからFFに切り替わる車種が増加。この駆動方式の変更で成功した車種もあれば、その裏側で大苦戦した車種が存在したのも事実である。

 

“成功”の秘訣は機能とデザインの両立だった

【マツダ・ファミリア(1980年 5代目)】

 駆動方式がFRからFFに変更されると、車両コンセプトも影響を受ける。特にFF車のエンジンが横置きの場合、車内が広くなって実用性が高まる代わりに、ボンネットは短くなってスポーティなスタイル感も薄れる。

 このバランスを上手に取って成功したのが、1980年に登場した5代目ファミリア。従来のFRも運転感覚が素直で、クルマ好きには支持されたが、内外装がイマイチ地味だった。5代目になってFF化したことで、当時販売されていたVW初代ゴルフのような直線基調で存在感の伴う外観になり、スポーティ感覚も身に付けた。

 乗り心地は少し硬めだったが走りは良く、運転して楽しいクルマ。FFだから後席も広いという商品特徴が若年層にも受けて、1か月の登録台数が1万3000台を超えることもあった。

 

【いすゞ・ジェミニ(1985年 2代目)】

 初代ジェミニはFRのコンパクトカーで、1.8LのDOHC(ツインカム)エンジンを用意するなどスポーツ性が高かった。1985年には2代目にフルモデルチェンジされ、FFになって後席の居住性を向上。欧州車風の素直な運転感覚も備わり、クルマ好きの間で人気を高めていった。

 特に1988年に追加されたハンドリング・バイ・ロータスは、1.6LのDOHCエンジンを搭載して、サスペンションとタイヤ(ブリヂストン・ポテンザRE88)を専用開発。走行安定性と操舵感が優れ、一体感のある走りを味わえる上質な小型車だったのである。

 

【トヨタ・スターレット(1984年 3代目)】

 2代目スターレットは、車両重量が700kg前後と軽く、FRの併用で運転感覚が軽快なコンパクトカーだった。そして、1984年には3代目になってFFへと刷新し、居住性を向上させている。

 全幅を65mm広げて、外観も洗練。加えて、FFならではの優れた走行安定性や、走りの軽快感も伴ったためヒット商品になった。このようにFF化に伴って成功した車種は、機能の向上も重要ながら、デザインを洗練させたことが人気を高めた要因だったようだ。

 

“失敗”の要因はフォルムや乗り味の変化

【トヨタ・セリカ(1985年 4代目)】

 FRで最終型になる3代目は、1.8LのDOHCターボも設定しており、価格が比較的求めやすいスポーティカーとして若年層の支持も高かった。運転感覚が楽しく、外観も直線基調で、少々硬派なスポーツモデルとしてセリカは支持された。

 ところが4代目はFFに変更され、外観は丸みのある形状へ。駆動方式の変更よりも、クルマの性格がスポーツ指向からスペシャルティカー感覚に一変して戸惑いを感じさせた。

 それでも後に、2LのDOHCターボと4WDを組み合わせたGT-FOURを設定。本来のスポーツ性を蘇らせている。

 

【日産・ブルーバード(1983年 7代目)】

 ブルーバードはFRの時代に3代目の510型で人気を高め、6代目の910型も再び注目された。直線基調のシンプルな外観と走りの良さが人気の理由だった。

 そして7代目は、6代目に似た外観でFFに変更。運転感覚は素直で良いクルマだったが、当時はFRからFFに切り替わるセダンが急増した時代だった。

 その中でブルーバードは、FRによるバランスの良い走りが特徴だったから、FF化はファンを少なからず落胆させることになる。今にして振り返ると、FF化するタイミングも重要で、それが結果的に成否を分けたのだ。

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