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日産GT-R NISMO 筑波サーキットで最速タイムを記録! 1分切りの舞台裏に迫る

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TEXT: 山本シンヤ  PHOTO: 小林 健

量産車のコースレコード「59秒712」樹立

 令和元年12月5日、「GT-Rマガジン」が主催する筑波サーキット・コース2000(以下、筑波)のタイムアタック企画において、2020年モデルの「日産GT-R NISMO」がラップタイム”59秒712″を記録。姉妹誌「CARトップ」が37年間行なってきた量産車(総テスト台数1200台超)のタイムアタックテストと照らし合わせても、もっとも速い記録である。今回はその速報をお伝えしよう。

 筑波サーキット・コース2000でのテストは1982年から自動車情報の総合誌「CARトップ」が定点観測するようになり、そこでのタイムは自動車メーカーの開発指標のひとつとなった。しかし、クルマが年々進化するにつれ、筑波では見えてこない性能も出てくるようになったのも事実。そこで自動車メーカーが辿りついたのが、ドイツにあるニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(以下、ニュル)だった。こちらもクルマの総合性能を示す指標としてタイムアタックが注目された。

 そんななか、こんな話も出てきた。「ニュルで速いクルマは、必ずしも筑波で速いとは限らない」ということ。筑波は1周約2kmで最終コーナー以外はストップ&ゴーのコーナーが続くコースレイアウトに対し、ニュルは1周20.8kmで高速〜超高速コーナーが多い。「いいクルマは走る道を選ばない」と言われるが、筑波とニュルではクルマに求められる性能は異なるということだ。

 そんな相反するサーキットでの速さを両立させたモデルが、R35GT-Rである。ニュルではデビューイヤーの2007年に7分38秒を記録以降、進化・熟成に伴いタイムを短縮。2013年には2014モデルの「GT-R NISMO Nアタックパッケージ」が当時の量産車最速となる7分8秒679を記録した。

 一方、筑波では2007年に1分2秒143を記録して以降、2017年に2018モデルの「GT-R NISMO」が1分00秒293を記録している。

 そして2019年、R35の集大成とも言える”2020モデル”が登場。2020モデルはGT-R NISMOの改良がメインだが、主な内容は「エンジンパワーは600馬力をひとつの区切りとし、ほかのバランスを引き上げる」であった。実現すべく車両全体に渡るフルモデルチェンジ級の変更が行なわれているが、その進化を確かめる場として選ばれたのは筑波サーキットだった。

 12月5日の早朝、雲ひとつない晴天で、気温は6度あまり。絶好のタイムアタック日和だ。用意されたGT-R NISMOは、サイドにチェッカーフラッグを模したステッカーが貼られているが、タイヤ空気圧とアライメントのみ、一般ユーザーが変更可能な箇所の調整を行なっただけのフルノーマル。ドライバーはモータージャーナリストの五味康隆さんだ。

 2時間の占有枠を使ってのタイムアタックは、当初から1分0秒台を連発するも、そこからの壁は厚かった。しかし、五味さんは短時間でクルマのクセを見抜き、それに合わせたドライビングに調整。さらに「走っていくうちに速さに目が慣れてきた」と徐々にタイムアップをしていくのだが、なかなか1周を上手くまとめることができない。

 そして、タイムアタック終盤、フレッシュタイヤを履いての記録は「59秒909」と、まずは1分切りを達成。しかし、テストに同席したGT-Rのチーフプロダクトスペシャリスト田村宏志さんの「まだイケる!! 最後にもう1回」の号令に、メカニックは大慌てで準備を行なう。その甲斐あって、時間ギリギリという状況のなか最後のアタックで叩き出した記録が「59秒712」。

「ふだんの筑波テストも真剣ですが、今回は特別」と語る姿は、まさにアタッカーの五味康隆選手といった感じだった。

 筑波テストを開始して以来、歴代トップとなるタイム。ズバリ、筑波最速の量産車となったのだ。

 五味さんは記録達成後に「今回のアタックでは一度もヒヤッとするシーンはありませんでした。かなりクルマを滑らせて走っていますが、すべてコントロール下にありました。これは、2020モデルのトータルバランスの成せる技だと思っています」と語ってくれた。

 一方、前述の田村さんは記録達成の歓びと共に、重圧から解き放たれたようでホッとした表情が印象的だった。

「今回の記録は色々なピースがかみ合った結果です。ただ、ツルシのクルマ、誰でも可能な調整のみで、一般ドライバー代表の五味さんが記録を出したことに意味があると思います。R35 GT-Rの開発コンセプトは『究極のドライビングプレジャーの追及』ですが、五味さんの走行後のコメントを聞いてホッとしました。クルマの楽しみ方は人それぞれですが、このタイムがR35 GT-Rのひとつのベンチマークになるだろうなと思います」。

 じつはこのテストにはここで終わりではなかった。NISMOフェスティバル後、同じ車両を使ってスーパーGTドライバーの松田次生選手がタイムアタックを行なう予定だ。

 五味さんはいわば「一般ドライバー代表」としてのタイムアタックだったが、最速のGT-R使いであり、普段からGT-R NISMOにも乗る松田選手はどのようなタイムを記録するのか? こちらも非常に楽しみである。

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