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HONDA、軽トラ事業から撤退! ハイメカだらけだった「ホンダの軽トラック」を振り返る

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TEXT: 小鮒康一(KOBUNA Koichi)  PHOTO: ホンダ/Auto Messe Web編集部

1963年から続く、58年の歴史に幕

 2021年6月をもって生産終了がアナウンスされたホンダの「アクティトラック」。1977年の登場から数えれば実に44年の歴史に幕を閉じることとなり、マニアとしてはファイナルモデルを購入しようかどうか迷っている人も多いのではないだろうか。

 そもそも二輪車メーカーとして名を馳せたホンダが、初めて四輪車に進出したのが1963年のこと。軽トラックの「T360」であり、ある意味ホンダの四輪車の原点が軽トラックだったのである。そこで今回は、ホンダが生んだ軽トラックの歴史を振り返ってみたい。

T360(1963~67年)

 トラックの”T”と排気量を表す”360″がそのまま車名となった「T360」。じつはホンダ初の市販4輪自動車であり、創業者である本田宗一郎氏がすべてに関与したと言われるモデルでもある。

 短いボンネットを備えたセミキャブオーバー風のルックス以外は、特筆すべき点のない軽トラックに思えるかもしれないが、実は心臓部にとんでもないものを搭載していた。それが日本初のDOHCエンジンだった。

 さらに各気筒にキャブレターを4連装し、最高出力は8500回転で30馬力を発生する超高回転&高出力エンジン。じつは、幻のスポーツカーである「S360」に搭載される予定だったものと同一なのだから納得である。一部では“S360に搭載予定だったものを流用した“と言われているが、開発当初から両方のモデルに搭載できるように考えられていたそうだ。

 

TN360系(1967~77年)

 T360の反省(?)を活かし、N360に搭載されていた直列2気筒SOHCエンジンを搭載した「TN360」。しかし、N360と同様に横置きレイアウトのままフロア下に搭載する方法を取ったために、一般的な軽トラックのようなレイアウトを取ることができず、結果的にミッドシップレイアウトとなってしまった。

 また、リアの足回りも「ド・ディオンアクスル方式」を採用(フロントはストラット式)するという、やはり軽トラックとしては特異なメカニズムを持つモデルとなった。なお、前/ストラット、後/ド・ディオンアクスルという足回りは現行モデルの「アクティ」まで継続して採用されており、ホンダの軽トラックの伝統となっている。

 ちなみに、TN360系はマイナーチェンジ毎に車名が変わったことも特徴。1970~72年は”TN III”、72~75年は”TN-V”、75~77年は”NT-7″となっていた。

 

アクティ(1977~2021年)

 TN360に続いて登場したのが、現在まで続く「アクティ」(デビュー当初はNTアクティ)。1975年に軽自動車の規格が変更されたことを受け、排気量は550ccとなったが、基本的なレイアウトや足回りの形状は従来型を踏襲している。

 79年には商用バンである「アクティバン」を追加。81年にはアクティバンの乗用モデルであるアクティストリートが追加され一気にバリエーションを増やした。

 1983年には4WDモデルも追加。ミッドシップレイアウトの4WD車として4輪均等に駆動力が働くバランスのよい走りが高い評価を集める。なお、この4WD車には軽商用車として初めてフロントディスクブレーキを採用している。

 そして何より驚くのが、4WD車のみエンジンの搭載方法が縦置きとなっている点だろう。これも現行モデルまで続くアクティの伝統であるが、やはりホンダらしさが見え隠れしているモデルと言えそうだ。その後、1988年には2代目に、1999年には3代目へとフルモデルチェンジを果たし、2009年からは現行モデルが販売されている。

 残念ながら現行型も2021年6月をもって販売終了をアナウンス。後継車種の話も聞こえてこないことから、ホンダの軽トラックの歴史に一旦終止符が打たれることになりそうだ。

 現在は、特別仕様車としてT360をイメージした「ベイブルー×ホワイト」、Hondaパワープロダクツをイメージした「フレームレッド×ブラック」の2つのカラースタイルを設定した「スピリットカラースタイル」が販売されており、有終の美を飾る段階となりつつある。

 ホンダの原点でもある軽トラックが新車で手に入れられるのもあとわずか。気になる人はディーラーへ急いだ方がよさそうだ。

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