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大阪オートメッセに「自衛隊車両」出現! “機関砲”を装備した特装車の正体とは

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TEXT: 武田真吾  PHOTO: 武田真吾

公道も走れちゃう偵察警戒車

 一般道で見かける自衛隊のクルマといえば、幌を張ったトラックやメガクルーザーのような隊員を乗せて移動する人員輸送タイプが多い。大阪オートメッセ2020の自衛隊ブースには、戦闘地で偵察や警戒任務に使用する「特殊車両87式偵察警戒車(RCV)」を展示。戦車のように長い機関砲や、ゴツイ6輪タイヤを装備するヘビーデューティな特装車を取材できたので紹介しよう。

 一般人なら戦車かと思ってしまうほど大きな機関砲が付いた自衛隊車両は、”87式偵察警戒車”と呼ばれる偵察戦闘車。いわば、戦地での偵察や警戒を任務とする車両だ。略称は「RCV(Reconnaissance Combat Vehicle)」となり、陸上自衛隊の各師団や旅団の偵察隊などに配備されているそうだ。

 今回の展示車両は千僧駐屯地(兵庫県伊丹市)の第3師団、第3偵察隊に配備されている1台。稀にイベントに車両展示を行なう自衛隊だが、”RCV”のような火器を装備した車両展示は極めて珍しいケースという。ちなみに大阪オートメッセ2020の期間中は、千僧駐屯地からインテックス大阪までの往復を自走(毎日)したそうだ。

 そんな”RCV”の車両製作は「小松製作所」が担当。全長6.4m/全幅は2.5mと車体サイズは大きく、その車重はなんと約15トンだそうだ。また、1987年に制式化されたため「87式」とも呼ばれている。心臓部は水冷式の10気筒ディーゼルエンジン。最高出力は305馬力となり、駆動は6輪駆動(3軸)で4輪駆動と6輪駆動を切り替えることが可能。通常はリア4輪駆動、悪路には6輪駆動といった感じで路面状況にあわせて選択しているという(デフロックも可能)。なお、フロント4輪が操舵し、最小旋回半径は約10mと意外なほど小回りが利くことも驚かされた。

 こんな巨体にも関わらず、最高速度は約100km/h。燃料タンクは200リッター+40リッターの携行缶を装備し、満タンにすれば約500kmの走行が可能だそうだ。

 では、演習などで遠方に移動する場合「給油」はどうしているのだろう。車両説明をしていただいた第3偵察隊の前川さんによれば「演習地までの間にある駐屯地(専用の給油所がある)に立ち寄って給油しながら移動している」とのことだった。

 

圧延防弾鋼板で小銃弾を防ぐ強靭ボディ

 RCVは戦地で偵察&警戒任務に使用する車両のため、敵と遭遇する可能性の高い危険な任務につくことが多い。敵と遭遇した際や避難するといった万が一の時は、戦車の大砲のように見える25mm機関砲と、7.62mm機関銃を使う。

 また、車両の左右に各4個、発煙弾発射筒を装備。敵に見つかった時、煙幕を張って退避する場合に使用するそうだ。さらに”防御”装備としては、小銃弾の攻撃から守る「圧延防弾鋼板」による装甲車体や、ある程度被弾しても走行を続けられる「コンバットタイヤ」(サイドウォール強化型ランフラットタイヤ)を装備。

「展示車のタイヤは雪道に対応していません。スタッドレスタイヤもないので、積雪路や凍結路ではチェーンを巻いて走行します(第3偵察隊・前川さん)」。

 ちなみに乗車定員は5名。車長、砲手、操縦士、前部偵察員、後部偵察員で編成され、車両への出入りは上部と左サイド、後方の各ハッチから行なう。右サイドのハッチは銃弾や装備の補給などに使用しているそうだ。また、前方の視界(フロントウインドウ)は、写真では戦闘時に使用する小さな窓(ペリスコープ)となっているが、通常の走行時には視界の広いフードに交換して対応している。

 ただし「側方視界や後方視界が悪いので、車線変更やバックする際は偵察員の指示に従って運転する(第3偵察隊・前川さん)」とのこと。

 クーラーなどの快適装備はなく、ヒーターはエンジンの温風を引き込む装備があるようだが効きが悪いため、夏は暑く、冬は寒い厳しい車内環境。快適性よりも機能優先の究極のカタチがこのRCVには見てとれた。

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