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新車販売も見据えた「トコット」の4WDターボ仕様、統廃合で消えゆく母校の思い出を乗せて

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

車両を持ち込んでのカスタムにも対応

 関西最大級のカスタマイズカーショー「大阪オートメッセ2020」で注目を集めた、赤黒ツートンの「ダイハツ・トコット」。ターボ&5MT化しコンプリート販売といった車両だけじゃなく、地元の小学生たちとコラボしたという秘話にも触れつつ紹介したい。

 正式な車両名は『ミラトコットTR-XXアバンツァートR with 利神小R21』。ネーミング前半はかつてのミラ(TR-XXアバンツァートR)が採用した”赤黒ツートン”のボディでピンとくるが、後半は何だか分からない人が多いはず。”利神小”とは兵庫県佐用郡佐用町に位置し、統廃合により今年度を以っての廃校となってしまう小学校だ。

 車両を製作した『プロバイル』の竹田さんは、その前身となる長谷小学校の出身。”利神小”は名前こそ変われど母校であることに変わりない。廃校は時代の流れでもあり仕方ないが、消える母校に対して何かできることはないかと考え、トコットのエンブレムを社会科の授業「自動車工業」の一環として、生徒たちにデザインしてもらったそうだ。会場には携わった生徒や校長先生らも訪れ、車両の前後で美しく輝くエンブレムを嬉しそうに眺めていたのが印象的だった。

 続いて車両について。プロバイル代表の竹田さんがトコットを見て、頭に浮かんだのはL500系のミラ。自身が初めて同型のターボに乗ったときの強烈な加速がよみがえり、「トコットでかつてのミラ・ターボを再現したい」との気持ちが湧き上がったという。

 エンジンはNA(自然吸気)の”KF”からターボ仕様のKFに換装し、合わせてミッションをCVTから5MTに載せ替え。エンジン自体のスワップは同型式なこともありスムーズに作業できたが、制御系が大きな壁となる。

 現行型のコペンやハイゼットの純正パーツで何とかなると思いきや、トコットにはさらに新しい制御系が使われており、その世代にはMT車も存在しないため苦労も多かったとのこと。現在の完成度は8割強ながら速さもノーマルとは別モノ。そのため、”アバンツァートR”を名乗るからにはエンジンの性能をフルに引き出す必要があるわけだ。公認車検を取得して通勤に使っているにも関わらず、完成と謳わないのはダイハツのファンとして、さらにチューナーとしてのコダワリでもあるだろう。

 プロバイルといえば公認車検を取得し公道を走行できる、FRや4WD仕様のコペンの製作でも知られる。当然、このトコットも競技専用にするつもりはなく、公認車両としてのコンプリート販売が目標だ。そしてKFターボだけにとどまらず、4気筒ターボやNA1.3リッターエンジンのラインアップ、駆動方式も2WDと4WDから選べるようにしたいと話す。また、車両持ち込みのカスタムにも対応するそうだ。

 大阪オートメッセ2020ではダイハツの奥平社長ら首脳陣がブースを訪問し、往年の名車を彷彿させる赤黒ツートンのトコットに大きな興味を抱いてくれたという。生徒たちの思いも込められた『ミラトコットTR-XXアバンツァートR with 利神小R21』が、ホットハッチ復活の起爆剤になる可能性があるかもしれない。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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