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日本の車検システムが厳しくなる!? アメリカ式からヨーロッパ式への移行で変わることとは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

増加する公認車検取得の背景

 クルマを所有している人には、切っても切れない「車検」の話。ノーマルで何もかもディーラー任せならいざ知らず、カスタマイズ好きならば”合法”と”非合法”のラインは気になるはず。とくに近年は、そのラインに変化が起きているようだ。そこで1年で約1000台の公認車検を手がけるという、文字どおり車検のプロである「TIC」に話を聞いた。

 公認車検の申請に携わって27年。一般ユーザーや有名プロショップの依頼を受けて公認車検を取得したり、オリジナルパーツや特殊車両の試験業務を手がけているのがTICだ。2月に開催された「大阪オートメッセ2020」では、フル公認でどこへでも自走して行けるデモカーを展示すると同時に、ブースを訪れるギャラリーの質問や相談にも熱心に応じていた。

 愛車の車検を自ら行なっている人(ユーザー車検)は、以前フリーパスだった項目がチェックされるようになったり、パーツの性能や安全性を証明する書類が必要になるなど、昔に比べて「面倒になった」と感じていないだろうか。そのあたりの事情をTIC代表の越川さんに尋ねてみた。

 聞けば、日本の車検システムはちょうど過渡期で、アメリカ式からヨーロッパ式に変わっている最中とのこと。アメリカには車検は存在しないと誤解している人も多いが、正確にいえば州によって基準が異なるものの、定期的な検査があるにはある。ただし、日本に比べて相当に緩いというかチェック項目が少なく、カリフォルニア州であれば2年に1度の排ガス検査のみ。他はいわゆる自己責任でありユーザーの判断と責任に委ねられている。

 以前の日本といえばアメリカほど緩くはないものの、より厳格なヨーロッパ式へと平成15(2003)年ごろから変わってきたそうだ。いわゆるEU協定に基づいての変更で、現在は欧米のミックスといえる状況とか。TICを始めとする公認車検のプロフェッショナルたちは、年式により異なる適用項目や新たな規制および緩和を知り尽くし、ユーザーが安心して愛車に乗るためのサポートをしているワケだ。

 さて、気になる今後の規制強化については、アフターパーツ業界やエンドユーザーの行動も影響するという。車検制度の元締めは当然ながら”国”であり、合法と非合法の線引きは胸先三寸で決まるといっても過言ではない。万が一「コレは合法です」と認めたパーツが原因で大きな事故が起これば、国が責任を追及されるのは火を見るより明らか。そういった面倒に巻き込まれるのはできる限り避けたい。極端な話をすれば「改造なんか全部ダメにしちゃえ」となりかねず、そんな未来はクルマ好きのひとりとして絶対に避けたいと越川さんは話す。

「そのためには法の抜け穴を利用するようなパーツは作らない、車検のときだけノーマルに戻すといったことをやめる、合法車両であっても一般道での暴走行為をしないといった、我々のマナーやモラルがカギを握っているといえます」と越川さん。

 大阪オートメッセのようなカスタムカーの祭典も、”クルマの改造”という文化がすべて禁止されたら当然ながら成り立たない。チューニングやドレスアップを大人の趣味として続けるためにも、節度と法を守りつつ楽しむことが大切なのである。

 

取材協力:TIC

デモカーはL型フルチューンのエンジンを搭載した日産グロリア(Y34型)。ミッションもATから5速MTに載せ替え、ブレーキや足まわりのアームを含めフル公認済み。軽自動車からスポーツカー、輸入車まで、ありとあらゆるカテゴリーを手がけており、いったん公認を受けた車両ならば継続車検もスムーズにクリアできるとか。合法か非合法か判断できないパーツや、車検で悩んでいる人は相談してみるといいだろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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