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日本の旧車が消えていく! 90年代の国産スポーツカーが異常高騰しているワケ

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TEXT: 遠藤正賢  PHOTO: Auto Messe Web編集部,ホンダ,マツダ,

市場相場が急激に上がった国産スポーツカー

 1990年代中頃に販売されていた国産スポーツカーの中古車相場が、ここ数年で急激に上昇している。その中には当時決して人気とは言えなかった車種も少なくない。果たして理由は何なのか、改めて推測してみたい。

アメリカ「25年ルール」の影響

 第一はやはり、本誌でも度々言及されている「25年ルール」だろう。アメリカでは1988年より「輸入車安全コンプライアンス法」(Imported Vehicle Safety Compliance Act)によって原則的に、右ハンドル車の輸入を禁止しているが、その中には例外条項が規定されている。それは、「車齢25年以上の輸入車(クラシックもしくはアンティーク)はこの制限から除外する」というものだ。

 バブル経済絶頂期であり国産車の「ヴィンテージイヤー」とも呼ばれる1989〜90年に登場した、ユーノス・ロードスター、R32型日産スカイラインGT-R、Z32型日産フェアレディZ、初代ホンダ(アキュラ)NSX、アンフィニRX-7、三菱GTOなどはすでに30年選手だ。

 また、日本特異の軽自動車でも「ABCトリオ」と呼ばれる軽スポーツカーの3台、オートザムAZ-1、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノは1991〜92年デビューのため、これらも初期型は3年以上前から25年ルールの制限が外れている。

 また、バブル経済崩壊の影響が顕在化して以降も例外ではない。三菱ランサーエボリューションは1992年、A80型トヨタ・スープラとS14型日産シルビアは1993年、スバル・インプレッサWRX STiと三菱FTOは1994年にデビュー。そして、2020年が25年目となる1995年には、R33型日産スカイラインGT-R、DC2/DB8型ホンダ・インテグラタイプRが発売されており、今年から25年ルールの制限が外れてしまう。

 すなわち、これらのモデルが、世界一のスポーツカーマーケットであるアメリカでも販売できるようになったこと(特に90年代国産スポーツは人気)。市場が急拡大したことが、最大の理由と言っても過言ではないだろう。

 

日本のオリジナリティが世界中に再認知

 第二に、ゲーム「グランツーリスモ」シリーズと、ハリウッド映画「ワイルド・スピード」シリーズの功績は外せないだろう。

 ゲームと映画、ジャンルは違うが、一過性のブームではなくそれぞれ20年ほどにも渡って、シリーズとして世界のファンにスポーツカーのイメージを伝播しているのは明らかだ。両シリーズの作中に、日本でしか販売されていない車種・仕様も含めて数多くの国産スポーツカーが登場したことで、前述の日本製スポーツモデルが世界中で認知されるようになった。

「日本のスポーツカーはクール(カッコいい)」という認識が、人気のアメリカ映画でシリーズを重ねるほどに効いている。かつて日本に漫画“サーキットの狼”でスーパーカーブームがやってきたことを振り返れば、ゲーム、映画の影響力は当然で、しかもジワリジワリとしたボディブロー的なのだから一気に顕在化してもおかしくはない。

 

絶滅危惧の希少な国産スポーツカー

 そして三つ目の理由だが、単純に生産・現存台数が少ない、これに尽きるだろう。国内全体の乗用車新車販売台数も、1990年には510万台を超えていたのに対し、1995年には444万台にまで低下。そしてバブル経済崩壊後の不況下では、趣味性が強く実用性が低いスポーツカーは敬遠され、さらにその頃から始まるRV・ミニバンブームも逆風となって、軒並み販売が低迷した。 それでも輸入スポーツカーよりも安価な傾向にあった国産スポーツカーは多くのファンに支えられてきた。しかし、いまや25年もの月日の中で走行距離、事故、チューニングを重ね、徐々に廃車となったため、絶滅危惧種に近い状態なのも事実。

 言うまでもなく、ものの相場は需要と供給のバランスで決まるため、極めて少ない供給に対し、市場が世界中にあり需要も高まっている今、1990年代中頃に販売されていた国産スポーツカーの中古車相場が急上昇するのは必然と言えよう。

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