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進化する福祉車両、介護者の負担を減らすための取り組みとは

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TEXT: 諸星陽一  PHOTO: Auto Messe Web編集部

福祉車両として架装することを前提に開発

 下肢に障がいがある人が使いやすいクルマとして生まれた「福祉車両」。さまざまな方式のものが世の中に登場してきました。そうしたなかでさまざまな変化と進化を遂げているのもまた事実です。今回のテーマは、福祉車両の進化について紹介しましょう。

 初期の福祉車両は、既存のクルマを改造することで福祉車両としての要件を満たしてきました。今も基本的に方式は変わっていないのですが、開発の初期から福祉車両に架装することを考えて設計されることが多くなっています。

 たとえば、トヨタの「シエンタ」やホンダの「N-BOX」などは、福祉車両として架装しやすいことも考えて設計。福祉車両として改造しやすいということは、車中泊モデルにも架装しやすいという傾向があります。ユニバーサルデザインという考え方で、どこかに偏った設計ではなく「あらゆる人が使いやすい」という思想が組み込まれたクルマということですね。

 例えば、車いすをスロープで車内に載せる「スロープタイプ」は、その進化の過程でいくつかの変化点があります。スロープは角度が急になると車いすでスロープを上ることが大変になるため、スロープ角度を少しでもゆるくしたいもの。スロープを長くすれば角度はゆるくなりますが、必要となるスペースも広くなり実用性は悪くなります。

 そこで考え出されたのが「ニールダウン」という機構。仕組みは、リヤのサスペションを縮めて車高を下げてスロープ角度をゆるくしようというもの。トヨタのスロープ式ではエアサスの技術を使って「ニールダウン」を実現しています。

 このニールダウン装置はコストが掛かるので、それ以外の方式も生み出されています。車いすを手動で押し上げている際に、力尽きてしまい車いすが後退してしまうと危険。これを避ける装備として「後退防止装置」という構造が考案されました。ズルズルと下がることを防止するほか、下がるときはゆっくりと下がることができます。

 また、車いす後退防止装置よりもさらに省力化できるのが「車いす用ウインチ」。電動モーターの力で車いすを引き上げる仕組みで、車いすを乗車させるときに余計な力は必要ありません。

 

リフトアップ仕様も使いやすく進化を果たす

 車いすごとリフトで持ち上げて車内にエントリーするタイプの場合は、リフトの故障などを減らしたり、万が一の故障時も簡単に復帰できるための進化が行なわれてきました。リフト車は個人で使うよりも施設で使われることが多く、高齢化社会の現在は使用頻度も高くなっています。

 なかでも耐久性は大きく向上。ゴミや砂利などが可動部に噛み込まないようにしたり、駆動時に配線が切れないような工夫が施されてきました。また、リフトが途中で止まってしまうと、クルマを動かすことができなくなるため、そうした場合には簡単に手動で動かせるようにするエマージェンシーモードなども考えられています。

 また、シートが回転して車外に出る「回転リフトアップシート」は、シートの動きにも工夫がされるようになりました。初期のものは上昇下降するだけだったものが、シートそのものが電動車いすに変わる「脱着シート」が登場。シートのリフトアップ&ダウン時のスピードをアップできる仕様もあります。

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