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「4輪レース用レーシングスーツ」のススメ 作業ツナギやカート用との違いは?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

レーシングスーツに求められる安全性

 走行会などでサーキットを走るときの服装といえば、長ソデ&長ズボンというのが一般的な認識。しかし、あくまでも最低限の話で、本来であれば「レーシングスーツ」を使うのが望ましい。見た目がカッコいいだけじゃなく、自分自身を守ってくれる大事なアイテムなのだ。

 一般の走行会でも徐々に着用率が上がってきたとはいえ、まだまだ普及したとはいい難いレーシングスーツ。まずはナゼ推奨されているのか、その理由を改めて説明しよう。

 答えは明確で「燃えにくい」から。多くの人は、自分に限ってそんなことはないと考えているが、クルマは事故やエンジンのトラブルなどで火災を起こす可能性がある。服装がトレーナーやジーンズならば、アッという間に燃え移って大ヤケド、最悪の場合は命を落としてしまっても不思議ではない。

 その点、4輪用のレーシングスーツの多くは『ノーメックス』と呼ばれる、難燃性に優れたアラミド繊維で作られており、ドライバーを火から守ってくれる。モータースポーツでは『FIA公認』と通称される公式レースで使えるタイプと、走行会や草レースの参加者をターゲットとしたタイプがある。

 FIA公認スーツは生地の表面を火が伝達するスピードなど、いくつもの厳しい試験をクリアしたうえで製品化される。それだけに価格は高めで20万円オーバーなどというケースも珍しくない。さらにFIAの規格は一定の年数で変更され、規格が新しくなると以前の製品が使用できなくなる。それに対して「非公認」と呼ばれる一般的なレーシングスーツは、必要にして十分な性能を備えたうえで価格は抑え気味。安いモデルならば3万円くらいからとリーズナブルだ。

 また、作りの面でいえば何層構造になっているかも、レーシングスーツを選ぶ際の基準になるだろう。もっとも手ごろなのは生地が1枚のシングルレイヤー、そして2枚のダブルレイヤーや3枚のトリプルレイヤーと、生地が増えるほど重量は上がっていく。特に夏場は暑くなりやすいので、はじめは薄くて軽いシングルor ダブルレイヤーを選択するのがオススメだろう。

 

 レーシングカートやツナギの安全性は?

 では、走行会でよく見かけるツナギや、カート用スーツとはどんな違いがあるのだろう。ツナギの場合、一部には難燃性を備えたものもあるが、大半は作業のしやすさを優先した設計になっている。上下が一体でレーシングスーツっぽく感じるかもしれないが、素材でいえば普段着と大差ないことを理解しておこう。

 一方のカート用のスーツも残念ながら耐火性や難燃性はないに等しい。横転や車外に投げ出されたときのことを考え、生地の引き裂き強度を重視した作りになっているが、車両火災の危険性はほとんどないためだ。

 ちなみにカート用の公認モデルは『CIK-FIA』なので、4輪用と間違って買わないよう注意すべし。いずれにせよ昔は非公認モデルなんて存在しなかったし、当時の公認スーツは重い・蒸し暑い・動きにくいの三重苦だった。しかし今ではモータースポーツが身近になったことで、走行会用スーツが各メーカーから販売されたり、10万円を切る公認スーツも存在する時代になっているのだ。 走行会レベルでは命の危険性にまでおよぶ事故は少ないかもしれない。とはいえ万が一に備え、自分の生命を守るだけではなく家族や仲間を悲しませないためにも、サーキットを走るならレーシングスーツを着るのがマナーと心得えたいものだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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