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最初はシステムの名前じゃなく車名だった! 「ラリー=4WD」の常識を作ったアウディの「クワトロ」とは

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TEXT: 山本晋也  PHOTO: Audi Japan

車名の「Quattro」から現在の「quattro」に変わるまで

 アウディといえばフルタイム4WDの「quattro(クワトロ)」システムと刷り込まれているクルマ好きは多いだろう。実際アウディという現在の社名が復活したのが1965年で、それまでは「Auto Union(アウトウニオン)」というグループに属した後、ダイムラー・ベンツやフォルクスワーゲンの傘下に入るなどしていた。そうした後、1980年に同社として最初の「Quattro」が誕生する。

 この「Quattro」、当初アタマの「Q」が大文字だったのはクワトロというのがシステム名ではなく車種名だったから。そのアウディ・クワトロ(車種)に搭載された2.2L 直列5気筒ターボエンジンとフルタイム4WDというパワートレインは、当時としては斬新すぎるもので、1981年のWRCに参戦するやいなや、それまでの2WDモデルを圧倒するパフォーマンスを見せた。

 この年にはミシェル・ムートン選手が女性ドライバーとしてWRCで初優勝を遂げるが、その愛機もアウディ・クワトロだった。

 アウディのWRC活動は1986年に終了するが、ラリー=4WDという図式を生み出したのが、アウディ・クワトロであるという事実は揺るがない。まさしくモータースポーツ史に、その存在を刻む名車であった。

 時間が前後するが、1983年にはアウディのモータースポーツやハイパフォーマンスモデルの生産を担当する子会社として「quattro Gmbh」が誕生している。「quattro」という名前は当初こそ車種名であったが、アウディにとっては単に4WDを示すにとどまらず、“高性能スポーツカー”を意味しているのだ。

 ラリーシーンでフルタイム4WDを当たり前のメカニズムにしたように、またストリートを舞台にするスーパースポーツの世界においても4WDであることはスタンダードになっているが、それもまたアウディの切り開いたトレンドなのである。

現在はアウディ全モデルにクワトロを設定

 現在のアウディ市販ラインナップにおいては、全モデルにクワトロ(フルタイム4WD)を設定しているが、その4WDシステム自体は同じというわけではない。大きく分けて、エンジンが縦置きか横置きかのプラットフォームごとに異なるメカニズムを採用している。あくまでもアウディのフルタイム4WDシステムであれば「quattro」と名乗れるという訳だ。

 とはいえ、前後駆動トルク配分を積極的に行なうことで、トラクションとハンドリング(さらに最近では省燃費性も考慮している)をバランスさせるというのも、またアウディ「クワトロ」の特徴だ。

 システムとしては通常走行時はフロント50:リヤ50(モデルによっては前40:後60)でトルクが配分されるが、車両の走行状況や路面コンディションが変化すると、瞬時(1000分の数秒以内)にグリップ力が高いほうへより大きなトルクを配分。濡れた路面や雪上などでも安定して走ることができ、そのような状況に慣れていないドライバーにも大きな安心感となってくれるだろう。

 ちなみにアウディの子会社としてハイパフォーマンスモデルを担当していたquattro Gmbhは、2016年12月にAudi Sport Gmbと名称変更をしている。これにより、アウディ各モデルに用意される「RS」シリーズの開発は、より加速したという。

 というわけで、アウディにとって「クワトロ」というのはWRCで圧勝したマシンの名前であり、ハイパフォーマンスモデル開発会社の名前にも使われた名称だ。単に市販車のフルタイム4WDシステムの呼称にとどまらず、モータースポーツにおける実績をも受け継いだアウディの伝統を示すパワーワードなのである。

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