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「ウインチ」に「カンガルーバー」! かつての4WD車の王道装備が消えた理由とは

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: 三菱自動車、日産自動車、トヨタ自動車、メルセデス・ベンツ

安全性の観点から徐々に採用されなくなっていった

 一方これらの装備は、人がほとんど行き来しないような荒野で必要なものであり、都会でRVに乗る場合には、交通事故の際に歩行者などをより重症化させる危険が高まる。カンガルーバーは、大きなカンガルーの場合で体格のよい人ほどの大きさがあり、それと衝突してもクルマを保護するのが目的で、カンガルーの命を守るものではない。ウィンチもワイヤーを巻き取ったり、フックを備えたりする部分はたとえカバーをしていても硬いため、人がぶつかれば怪我を重症化させる恐れがある。

 たとえば、1998年に軽自動車規格が改められ今日の車体寸法へ大型化されたが、これは90年代にクルマの衝突安全が飛躍的に向上した時期と重なり、同時に「コンパティビリティ」といって、クルマに乗る人だけでなく、衝突した相手の乗員や歩行者などほかの道路利用者の保護性能も求める動きが強まった。そしてカンガルーバーやウィンチの装備が自動車メーカーの自主的な規制によって姿を消していった。

 RVの次に来たSUV時代になると、RV以上に乗用車的な性能が特徴になり、たとえばハリアーは4ドアセダンのカムリを基に、車体をRV風にして誕生している。これら今日に通じるSUVは、外観上もカンガルーバーやウィンチが似合わない造形となった。

 またランドクルーザーなどあくまで悪路走破性を重視する車種も、歩行者保護の観点から国内においてはカンガルーバーやウィンチなどは一般的に装備されなくなっている。しかもランドクルーザーでさえ、より高速での走行安定性が求められ、ほぼ同じクルマといえるレクサスLXでは高級さを求める車種にもなり、商品性の要求順序が変化してきている。

 SUVより未舗装路走行を重視したRVやクロカン四駆と呼ばれる車種においても、電子制御で4輪駆動が制御されることにより、よほど未開の地へ踏み入れる以外は、ウィンチを使わなくてもかなりの悪路を走行できるようにもなった。そしてカンガルーバーやウィンチは、多くの消費者に忘れられた装備となったのである。

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