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福祉車両が福祉車両と呼ばれないことが理想! 「5G」と「カーシェア」がもたらす革命とは

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部,NISSAN,TOYOTA,BMW

5G普及がクルマ社会にもたらすもの

 5Gの通信環境が、今年から国内でも順次はじまっている。5Gとは第5世代の移動通信規格。5Gの普及により暮らしやクルマなどが様変わりする可能性がある。

 現在広く行き渡っている移動通信規格は4Gだ。移動通信規格とは、通信速度/同時接続/遅延に関わる無線通信のシステム。5Gに変わることによりそれぞれのやりとりは格段に進化してくるが、何が期待されているのだろう。

身近な一般道での情報が自動運転化へ活用

 通信速度が高速化されれば、4Kや8Kといった高解像度の動画配信を滑らかに行える。現行のデジタルテレビは2K(約2000画素=2キロ画素)で、これでもアナログテレビ時代に比べれば相当に画質がよくなった。4Kになると画素数が約4倍、8Kでは約16倍になり、より細部まで画像が鮮明になる。

 同時接続できるものの数が増えると、家庭電化製品を含めあらゆるもの同士を通信でつなぎ、関係性を持たせることができる。インターネットを活用した利便性が向上し管理をしやすくなる。

 遅延については、これまでデータのダウンロードなどに時間を要していたところが高速化でき、クルマの自動運転などで役立つものとなる。

 4Gと5Gを比べ、どれくらい進歩するかというと、通信速度は最大で20倍、同時接続数は10倍、遅延速度は1/10といわれている。たとえば、4Gで30秒かかったダウンロードは、5Gなら3秒で終わるということだ。

 クルマでは、スカイラインのプロパイロット2.0が高速道路上の同一車線内でのハンズフリー走行を可能にしているが、これは高速道路というクルマ専用道路内で情報量が限られた環境だから実現できたといわれる。

 高速道路から一般道へ降りれば、クルマ以外に歩行者や自転車などが走り、横断歩道のない場所での歩行者の飛び出しや、右側通行をする自転車など、法規上からは想定外の出来事も起こる可能性が高まる。クルマ同士でも、ウィンカーを出さずに進路変更する運転者もいる。

 自動車メーカーの人たちも、そうした不確定要素を含め情報量の多さに圧倒されるほどだ。それでも、完全自動運転を目指すには、人間並みか、それ以上の情報の取捨選択と状況判断が求められる。ここに、5Gが必要とされるのだ。

ますます効率のいい走行に

 また、一台のクルマの完全自動運転化を実現するだけでなく、交通のなかでより効率よく移動を実現するには、道筋での工事や事故、あるいは自然渋滞などの情報を入手しながら、最適な道を選択し最短時間で目的地へ到着することが求められる。

 それを自車で情報収集と管理、取捨選択をするより、クラウドから入手したほうが車載機器を簡素化できる。つまり原価を下げ、自動運転を多くの車種へ普及させられるようになる。そこで5Gのような超高速通信が不可欠になる。たとえば渋滞を回避したいと思っても、情報の入手や状況判断が遅れれば、分岐点となる道を通り過ぎてしまうかもしれない。

 完全自動運転に近づき、普及が進めば、クルマを所有することから利用する道具へと変わっていく可能性が高まる。いずれにしても所有から利用へ変わらなければ、道路上にクルマが溢れ、渋滞などの解消につながらない。

 所有ではなく利用が当たり前になれば、クルマを使う人の経済的負担も軽減され、暮らしやすくなる。クルマに掛かっていた税金がなくなるし、損害保険料も必要ない、当然、燃料代や駐車場代も不要だ。すべてが含まれた利用料金を支払うだけになる。

 そういう時代に、クルマはどのような姿になるだろうか。様々な利用者が簡便に扱えるものでなければならないとすれば、高齢者でも乗り降りしやすく、障害を持つ人も介護者なしで利用できなければならない。

 室内の座席は、体格の違いや、あるいは車椅子でも乗車しやすい折り畳み機構などが必要になるだろう。音声入力や、スイッチ操作などもわかりやすくなるべきだ。つまり、バリアフリーであり、ユニバーサルデザインのクルマという姿が目に浮かんでくる。

 それでなければ、スマートフォンなどのアプリケーションで簡単に呼び寄せても、来たクルマが乗り降りしにくかったり、車椅子で乗れなかったりしたのでは、意味がなくなる。

 完全自動運転と、クルマの共同利用の時代が5Gによって実現したとき、標準車とか福祉車両といった区別のないクルマの姿になっていかなければならない。5Gを活かすための要素技術の構築と、利用者に便利なサービス事業の展開だけでなく、クルマの成り立ちそのものから新しく創造していくことが求められることになる。

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