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付いてなきゃ走れない? サーキットの必須装備「LSD」のわかってるようで難しい「効果」と「仕組み」

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部、キャロッセ(CUSCO)

コーナー脱出時の駆動力がアップし安心感も向上

 モータースポーツが好きな人なら、誰でも一度は「LSD」という言葉を聞いたことがあるハズ。サーキット走行の必需品って話もあるけど、果たしてどんな仕組みで何が変わるのだろう。工賃を含めるとそれなりの金額になるので購入前にシッカリ勉強しておきたい。

タイヤの左右回転差を止めるアイテム

 まずは基本中の基本として名称から。LSDとは「リミテッド・スリップ・デファレンシャル」の略称だ。日本語で表現すると「差動制限装置」となり、左右のタイヤで発生した回転差を調整する役割を果たす。もともとクルマには左右のタイヤで発生する回転差をなくす、「デファレンシャル」というパーツが組み込まれているが、タイヤが滑ったときや強い横Gをともなうコーナリング時には、駆動輪の左右どちらかにしかトラクションがかからず、クルマが前に進もうとする力が弱くなってしまう。そんな純正デファレンシャルのウイークポイントを解消し、スポーツ走行に特化させたのがLSDというワケ。

 サーキットでLSDが有効なシーンはコーナーからの立ち上がりで、駆動輪の片方がインリフト気味になった状態でもトラクションがかかり、エンジンのパワーをロスなく路面へ伝達し加速させてくれる。縁石に乗ったときや滑りやすいウエット路面で有効なのは当然として、スライドしながら前に進ませるドリフトでは必須といって差し支えないだろう。

 種類としては多板クラッチを内蔵した機械式に加え、ヘリカル式やトルセン式と,いったトルク感応型があり、作動方式もアクセルを踏んだときに効く「1way」、常に効いている「2way」やアクセルオフで効きが弱くなる「1.5way」があり、ドライバーの好みや駆動方式でチョイスするのが一般的だ。

 なおLSDのパイオニアともいうべきクスコでは、FFと4WDのフロントやストリート仕様のFRなら1way、FRと4WDのリヤには1.5way、ドリフト仕様のFRや4WDのリヤには2wayを推奨している。

「LSD」装着車両のデメリットは?

 以上のような恩恵を受けられるLSDだが、逆に走りに関してデメリットはあるのだろうか? よく言われるのはアンダーステアが強くなること。特に2wayはLSDがアクセルオフでも作動するため、コーナー進入時のラインが膨らむ傾向がある。

 またローパワー車ではLSDの作動が抵抗となり、俗にいう「パワーが食われた」状態になってしまう場合も。軽自動車やコンパクトカーのレースではLSDを組むときストレートでの加速を優先し、効きを弱くするのが定番のセッティングになっている。

 また効きが強いほど『バキバキ』という作動音も大きくなり、街乗りで交差点を曲がる時や車庫入れをする時などに音が発生する。車内にも振動とともに伝わるので、クルマに詳しくない同乗者は驚くかもしれない。

定期的なオイル交換が必要

 最後にメンテナンスの話。オイル交換は純正よりも短いサイクルで行なったほうが良い。街乗りが大半ならエンジンオイル交換2回につき1回、サーキットがメインであれば走るたびに交換するのが目安だろう。ちなみに使うオイルの粘度でも効きの強さは変わり、駆動方式や走るコース、エンジンパワーまで考慮したうえで選びたい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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