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激速ワゴンの存在を確立した立役者! 初代レガシィは「歴史」も「中古価格」も強烈だった

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TEXT: 井元貴幸  PHOTO: Auto Messe Web編集部,SUBARU

新たな世界へと飛翔していったレガシィ

 初代レガシィはSUBARUのフラッグシップモデルとして1989年に登場。セダンとワゴンの2つのボディ形状を設定し、それまでの主力車種であったレオーネの後継でありながら、オンロード性能に磨きをかけたスポーツモデルとしても人気を博した。

初代レガシィ 進展こもごも

 初代レガシィは1989年から1993年まで4年間にわたり製造され、その間SUBARU車としては恒例の年次改良と呼ばれる小規模な改良を2回、大規模な改良となるマイナーチェンジを1回実施している。初代スバル・レガシィの走行シーン

 登場時、セダンにはスポーツフラッグシップとなるRSを筆頭にすえ、完全新設計となるEJ型エンジンを搭載した。2.0L DOHCと1.8L SOHCが設定され、EJ20ターボは当時クラス最高の 220ps/6400rpm 27.5kg-m/4000rpm を発揮。

 NAエンジンは2.0Lモデルが、140ps/6500rpm 18.0kg・m/5000rpm、1.8Lモデルが110ps/6000rpm 15.2kg-m/3200rpmというスペックとなっていた。また、92年に追加された2.2L SOHCモデルのブライトン220は135ps(99kW)/5500rpm、19.0kg・m(186.3N・m)/4000rpmとゆったりしたトルク特性を発揮していた。駆動方式には、AWDとFFが設定された。

 ツーリングワゴンは96年にブライトンFFが追加されるまでAWDのみの設定で、Miの5MT車のみパートタイムAWDとなっていた。AT車はアクティブトルクスプリット方式フルタイム4WDを、MT車にはビスカスLSD付センターデフ方式フルタイム4WDを採用。それまでの4駆は曲がらないというイメージを払拭している。スバル・レガシィ・セダン

 スポーツモデルのセダンRSにはリアにもビスカスLSDを装備していた。また、サスペンションは基本4輪ストラットであるが、一部グレードにはエアサスペンション仕様も設定されていた。エクステリアは初代アルシオーネを想起させるくさび形をモチーフとし、ブリスターフェンダーとすることで、先進的で走りの力強さをイメージさせる。

 グラスエリアは各ピラーを黒で同一することで、戦闘機のキャノピーを連想させる。セダンではリヤドアウィンドウとクオーターウインドウの下端を段付けし、クオーターウインドウ下には車名エンブレムを装備。(マイナーチェンジ後には消滅)サイドビューのデザイン上のアクセントとした。初代スバル・レガシィ・ツーリングワゴン

 ツーリングワゴンには、レオーネからの伝統である2段ルーフを採用しているが、輸出仕様は、2段ルーフを採用していないモデルもある。

 1989年10月には2.0LターボにATを組み合わせたGTとRSのサスペンションを強化したRStypeRが追加。GTはワゴンにも設定された。

 このGTはセダンRS用のエンジンをベースにカムプロファイルとタービンを変更し、200ps仕様とすることでATでも対応可能としている。また同年11月には本格的モータースポーツベースモデルRS Type RAがデビュー。RS Type Rをベースに更に足回りを強化し、エンジンはSTi (スバルテクニカインターナショナル)により一台一台組み上げられ、その際ポート研磨や各部バランス取り、強化コンロッドや強化メタル、鍛造製ピストンなどが組み付けられている。レガシィ RS type RA

 1990年5月に最初の改良が実施。いわゆるB型へと進化するが、変更点はごくわずか。スポーツフラッグシップであるRS Type RAにクロスミッションが搭載されたほか、ATの改良、ワゴンTZ AWDにエアサス仕様が追加された。エクステリアではワゴンのテールゲートに装備されていたメッキのモールが省略された。また、いすゞ自動車へもレガシィセダンをアスカCXとしてOEM供給を始めたのもこのB型からである。

 1年後の1991年5月にマイナーチェンジを実施。エクステリアではフロントフェンダーからバンパーに至るまでのフロントセクションが大きく変更され、より精悍なデザインになった。ドアハンドルも従来のメッキタイプからボディ同色となったほか、リアガーニッシュとリアコンビランプの意匠も変更されている。リアに装備されていた六連星オーナメントとセダンのクオーターウインドウ下にあった車名プレートが廃止。

 メカニズム面ではECUが 8bit から 16bit に進化し演算性能を大きく向上させているほか、エンジン特性の見直しなども同時に実施している。グレード体系も見直され、セダン VZ Type R、セダンとワゴンに2リッターSOHC EJ20 搭載の新グレード Brighton が新登場。特別仕様車であったTi typeS がカタログモデルに昇格し、代わりに TZ、セダン Ei、Vi、RS type R が廃止された。3ナンバーとなるレガシィBrighton 220

 1992年6月、最後の改良が実施されD型となる。エクステリアではGT系のホイールが前期型のデザインに戻されたほか、NAエンジン搭載のVZ系フロントバンパーがターボ系と同デザインのプロジェクターフォグランプ付きに変更された。追加グレードとして輸出仕様に設定されていた 2.2リッターSOHC EJ22 を搭載した Brighton 220 が登場。レガシィシリーズ初の3ナンバーとなり、 エクステリアでは専用フロントグリルなどを装備した。

 また、AWDのみだったツーリングワゴンに初のFFモデルであるBrightonFFが追加された。さらにGT系の特別仕様車としてGT Type S2が登場。15インチBBS鍛造アルミホイールや専用ハードサスペンションを装備していた。ほかにもツーリングワゴンGTのAT車をベースとしたSTiバージョンが200台限定で発売された。レガシィ・ツーリングワゴンGT STiバージョン

 STiによるコンピューターチューニングによりセダンRSと同じ220psが与えられ、ATのプログラムも220ps対応に変更された。フロントリップスポイラーや専用フロントグリル、ストラットタワーバーなどが標準装備されていた。ちなみに初のSTiの名を冠したコンプリートカーの元祖ともいえるモデルだ。

開発者のこぼれ話

 レオーネの設計を一新して開発されたレガシィ。85年のプラザ合意により起こった急激な円高の状況下、エンジン、ボディ、シャーシすべてをゼロから開発する英断が下される。栃木県に新しいテストコースも完成し、赤字覚悟でレガシィは開発された。プラットフォームはスバル1000以来となる全面新設計で、サスペンションは4輪ストラットが奢られた。

 エンジンもレオーネと同じ水平対向ながら、完全新設計の「EJ」を開発。トップモデルのRSには220psを発生するターボエンジンも設定された。また、開発手法も新たな手法が取り入れられ、これまでの縦割り&技術主導からプロジェクトチーム制へと変更された。それまでのEAエンジンと決別し、DOHCを主力としたEJでは基本コンセプトを「寸法の増大を極小にして、1.8リッターから2.3リッターをカバーするエンジン」だったという。レガシィの水平対向EJ型エンジン

 ラインアップはストローク量を共通の77mmとし、ボアを87mm(1783cc)、92mm(1994cc)、97mm(2216cc)、100mm(2316cc)の4種類を設定。このとき6気筒化もすでに織り込まれて設計されていたとのこと。高剛性化やメンテナンスのしやすさを考え、目標とされたエンジン構成はオープンデッキ化や、ヘッドボルトの6本化、エンジンの全長を抑えるためのタイミングベルトの1本化、オイルポンプのクランク直結化など。そのために用いられたのが、CAD設計。のちにトヨタと共同開発する際に、ソフトのバージョンを検証したところ、スバルのほうのバージョンが進んでいたという逸話もあったそうだ。

スバルファンに残る深い印象と思い

 初代レガシィは。発売直前にFIA公認10万km世界速度新記録を樹立し、その高性能さを世界中に知らしめた。FIA公認10万km世界速度新記録を樹立した初代レガシィの実車

 また、開発当初からラリーや耐久レースをはじめとしたモータースポーツへの参戦を想定しており、「勝つためのクルマ」としてうまれたインプレッサWRXシリーズの祖先ともいえるレガシィ RS type RAは今でも伝説の1台として語り継がれている。1993年ニュージーランドでWRC初優勝のレガシィ

 10万キロ速度記録やWRCへの参戦、優勝と輝かしい歴史を刻んだモデルとしてリスペクトされているほか、「速いワゴン」として一世を風靡したレガシィツーリングワゴンGTは今でもそのスピリッツはレヴォーグへと受け継がれている。走りのWRXとレヴォーグの始祖である初代レガシィは現代のSUBARU車を語るうえで外せない、偉大なモデルとしてリスペクトされている。

レガシィのドライブ・インプレッション

 当時は速くて曲がる4WDという印象が強かったレガシィ。30年を経た現在、改めて乗ってみても気持ちの良いコーナリングやパワフルな加速は健在だ。井元ドライブインプレッションのレガシィ

 衝突安全を重視した現代のクルマと比べると、取り回しの良い5ナンバーサイズは扱いやすく、軽さを感じるボディは200psというスペック以上の軽快な走りが光る。とはいえ、ボディ剛性はより発達した現代のクルマにはかなわない、ワインディングなどではボディがしなっていることを感じる程度ではあるが。

 デザイン上、航空機のキャノピーを意識したという大きなグラスエリアは視界が良い分、高速道路などでは「見えすぎ」ることでちょっとした不安も感じる。とはいえ、現代でも通用するスペックや時代を先取りした先進的なAWDシステムにより走りに物足りなさを感じることはない。

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