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「アウト・イン・アウト」に「インベタ」が勝る!? 一筋縄じゃいかないサーキットの「ライン取り」の不思議

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

セオリーを理解すれば怖いものなし!

 サーキット初心者の誰もが頭を悩ませるのが走行中のライン取り。ドラテク本には「コース幅を目いっぱい使おう」と書いてあり、アウト・イン・アウトという言葉もよく聞く。その意味を理解し実践すればタイムアップすること確実だ。

 最初に一度は聞いたことがあるはずの、アウト・イン・アウトの意味から説明をしよう。コーナーのアウト側から進入し、クリップ(コーナーの頂点)はギリギリまでインに入り、立ち上がりはアウト目がけて脱出していく。コーナーの角度に沿ってそのままトレースするのではなく、極力スピードを落とさず大きなラインを使う、要するに「コース幅を目いっぱい使う」方法だ。画像のAラインがアウト・イン・アウト、Bがスローイン・ファースト・アウトとなっている

 小回りしたラインより走る距離は長くなるものの、コーナリング中と立ち上がるときのスピードが高く、脱出してからの直線では最高速も伸びてトータルでタイムアップ、という考えに基づいている。ただし電子デバイスの有無やエンジンの特性、駆動方式やチューニングの方向性によっては、ある程度まで車速を落として短距離を走ったほうが速い場合もあり、アウト・イン・アウトが唯一無二の正解じゃないことを知っておこう。筑波サーキットで1コーナーを駆け抜けていくスーパーカー

 またローパワーなクルマで角度の大きいコーナーを走るときは、大まわりせず最短距離を走る『インベタ』が速いこともある。アクセルを全開のままステアリングも小さい舵角でクリアできるなら、走る距離は短ければ短いほうが速いのが当たり前。馬力のないクルマであればインベタで攻めていった方がタイムが出ることがある

基本的には立ち上がり重視で走るのがセオリー

 とはいっても双方とも根底にある考え方は『立ち上がり重視』だ。先に書いた小まわりするラインも結局は、素早く向きを変えアクセルを全開できる姿勢を早く作り、続くストレートの加速を有利にすることが目的。ストレートでの加速を有利にするため、最短のラインで通ることが目的

 ギリギリまでブレーキングを遅らせる『突っ込み重視』は、精神的なスリリングさも手伝って速く走れると錯覚しがちだが、ごく稀に例外はあれど大半は立ち上がり重視に及ばないし、減速し切れずスピンやコースアウトを喫するリスクも伴う。ギリギリまでブレーキングを遅らせる『突っ込み重視』はコースアウトやスピンに繋がることもある

 レースで前の車両を抜くときなどを除いて、立ち上がり重視で走るのがセオリーと考えていい。これは単独のコーナーだろうが複合コーナーだろうが一緒で、脱出後に長いストレートが待ち受けているようなコーナーは、特に立ち上がり加速を重視したラインを考えたい。ストレートが手前のコーナーであれば、立ち上がりを優先にしたライン取りを行いたい

 なおウエット路面になると話はまた変わる。ほとんどのコーナーには『カント』と呼ばれる傾斜があり、雨が降れば水は低いほうに流れていく。そんな状況で頑なにアウト・イン・アウトを貫くのは、自分からわざわざ水溜りに突っ込んでいくようなモノ。ウェット路面なら水たまりを避けたところを選んで走るのが正解だ

 ドライ路面のラインに固執しすぎず、水の少ないところを探して走るほうが安全で速い。以上のようなセオリーを理解していれば、複合コーナーでもS字でもヘアピンでも考え方は一緒だし、初めてのコースでも「どこを走ったらいいか分からない」とはならないはずだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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