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「日本一速い男」が激白! 「ホシノインパル」の誕生と苦境からの逆転劇

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TEXT: 平塚直樹(HIRATSUKA Naoki)  PHOTO: 平塚直樹、HOSHINO IMPUL,青島文化教材社,

VIPセダンにも波及するほどの人気ブランドへ

 当時を振り返り、「レースによるプロモーション効果の重要性を感じた」という星野氏。1983年には自らのレーシングチーム「ホシノレーシング」も設立した。D-01シルエットの成功、レースとビジネスの両立などが功を奏し、インパルはアフターパーツ業界における知名度が一気に上がる。以降、エアロやサスペンションなど様々なヒット商品を生み出していく。

 特に、エアロパーツは、スポーツカーはもちろん、コンパクトカーやセダン、軽自動車や商用車まで、日産車の様々な車種に対応した製品をリリース。時代のニーズに合致したこともあり、大きなセールスとなる。

 中でも、初期型シーマ(Y31型・1988年発売)用に製作したオリジナルのエアロやホイールなどを装着した「インパル731S」は、当時大流行したVIPカーのユーザーにも大きな支持を受ける。いわゆる「シーマ現象」の火付け役となったのだ。レースやスポーツ車のイメージが強いインパルだが、セダンなどのドレスアップ系カスタムでも大きな影響力を及ぼした。初期型シーマY31型にオリジナルのエアロやホイールなどを装着した「インパル731S」のプラモデル

 1990年代に入ると、車検の規制緩和なども後押しし、オリジナルのコンプリートカーも人気を博した。例えば、2代目マーチ(K11型・1992年発売)をベースにしたコンプリートカーは、米メージャーリーグで活躍したイチロー選手も乗ったことで、大きなトピックスとなる。イチローも乗っていたK11マーチ

 なお、マーチのコンプリートカーは、その後もK12型、K13型とモデルチェンジの度に新作が発表され、今でも根強い人気を誇っている。K12型インパルマーチ

インパルのこだわりとは? 

 星野氏が、今でもインパル製品にこだわっているのは質感と品質だ。

「インパルらしいスポーティさを出しながらも、ベース車のフォルムにマッチしたデザインを心掛けている。例えば、製品に光りが当たった時、純正ボディの面と違和感が出ないようにする。取って付けた感じだと、格好悪いからね。あとは、加工不要でボルトオン装着ができるなど、品質の良さも重要だね」。

 日産ディーラーで誰でも購入できるだけに、各パーツの質感や信頼性なども、インパルにとっては重要な要素だ。また、日産車に特化し続けていることや、ホイールの生産はエンケイのみという「義理堅さ」も、インパルのブランド力への大きな下支えになっているという。70歳過ぎでも気力満々の星野一義氏

 星野氏は、取材当時73歳(1947年7月生まれ)。これまでを振り返り「多くのスタッフに支えられてきたおかげ」と語る。現役レーサー時代は、勝ちにこだわり厳しい表情も多かった星野氏だが、ビジネスについてはかなり謙虚だ。

 インパルについても、「これまでの成功にあぐらをかかず、時代のニーズに応じて変化させることが大切」だという。そのためには、インパルらしいデザインや高い品質は守りつつ、例えば軽自動車用のパーツは価格をリーズナブルにするなど、車種に応じた価格設定なども行っていくという。

40周年に新作ホイールを発表

 40周年を迎えたインパルは、久々に新作ホイールを発表した。スカイライン400R用の新作エアロ「インパル537S」などと同時に開発された「インパルRS05RR Supervised by ENKEI」だ。製品名にある通り、生産はエンケイが担当する。

 開発したのは、長男の星野一樹氏。スーパーGTに参戦する現役レーサーでもある一樹氏は、4~5年程前からインパルに入り、取締役として主に外装パーツなどの開発を担当している。インパルRS05RR Supervised by ENKEI

 新作ホイールの主な特徴は、エンケイ独自の「MAT-DURA FLOW FORMING」製法を採用したことで、鋳造ながら鍛造ホイールに匹敵する強度と軽量化を実現していること。また、シャープな15本スポークは、応力分散性をレーシングスペックまで高めつつ、表面のみを切削後にブラッククリア塗装するという、細かい処理も施す。インパルRS05RR は15本スポーク

 光りの当たり具合や昼夜によって、切削していない部分とのグラデーション効果が生まれることで、スポーティなフォルムにラグジュアリーな雰囲気も加味した演出だ。サイズは20インチで、価格(税別)は7万7000円/1本~7万9000円/1本となっている。グラデーション効果を持つホイール

 一樹氏は「日本一速い男と呼ばれた父が築いた伝統を守りつつ、新しい事にもトライしていきたい」と語る。また、父と同様、自らレースで得たノウハウも、当然ながら様々な新製品へフィードバックしていく。

 2002年に惜しまれつつ現役レーサーを引退した星野氏。かつてレースでもそうだったように、インパルでも、着実に新旧交代の時期が近づいているのは確かだろう。星野一義と一樹の親子

 だが、従来からのレース活動(現在はスーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦)とビジネスを両立させるスタイルを守りつつ、クルマが好きな人にカスタマイズすることの楽しさを提供するという姿勢は変わらない。コロナ禍で先が見えない時代だが、それに「負けない」気力と柔軟に対応するインパルの躍進力に、勇気をもらった気がした。

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