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F1でもときどき「蛇行してる」のは何故? サーキットで実は重要だった「タイヤの温め方」

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

  • アウトラップから速く走ることでタイヤを温めやすくなる

アウトラップからできるだけ速く走ること

 タイヤの性能を引き出すには、そのタイヤが一番グリップを発揮する温度、いわゆる作動温度領域に入れることが重要だ。ラジアルタイヤの場合、スリックタイヤほどゴムの温度はシビアではないが、それでもサーキットでコースインしたときの一周目はまだタイヤが冷えていて、グリップを今ひとつと感じることも多いはず。こうしたときに、できるだけ早くタイヤを適温まで発熱させるにはどうすればいいのか。

 レースでは、フォーメーション・ラップやセーフティカー導入中などに、クルマを左右に振ってタイヤを温めるウィービングを行なっているクルマをよく見かける。セーフティカーが先導で走り、タイヤを温めるF1マシン ウィービング(weaving)とは、「縫う」「縫うようにして進む」という意味で、広いコース幅を使って、直線的ではなく蛇行することで走行距離を稼ぎタイヤを温める方法。タイヤをこじるようにして路面との摩擦熱でタイヤを温めるためるという説もあるが、タイヤの表面が冷えているときにこじるような運転をすると、タイヤも痛みやすいしスピンするなどのリスクもある。

加速と減速を繰り返しタイヤを温めるという方法もある

 またラインを外すことでマーブル(タイヤカス)をピックアップしてしまう可能性もある(冷えているときは付着しにくいが)。それ以上に走行会などでは他のクルマも走っているので、基本的にアウトラップにウィービングしながら走るのは難しい……。レコードライン以外はタイヤカスが散らかっていることもある

 余談だが、「振る、波打つ」という意味の「ウェービング(waving)」と呼んでいる人もいるが、正しくは「ウィービング」。

 もうひとつ、加速と減速を繰り返し、縦方向にタイヤを使ってタイヤを温める方法もある。この場合、ブレーキングでブレーキローターの温度を上昇させて、ホイール側からもタイヤを温め、と同時にブレーキも適正温度に上げられるというメリットがある。コース内で加速と減速を繰り返すことで、ブレーキも温められる

 しかしこれも全車が一斉にコースインするようなときには使えるが、他のクルマが全開で走っている中にコースインしていくときには使えない方法。ではどうすればいいのか。

ポイントはアウトラップからできるだけ速く走る

 それはアウトラップからできるだけ速く走ること。

 もちろんタイヤがまだ温まりきっていないので無理は禁物だが、発熱不足でグリップしないならしないなりに速く走る。それがタイヤに一番仕事をさせることになり、結果として一番ウォームアップが進むというわけ。アウトラップから速く走ることでタイヤを温めやすくなる

 タイヤを感じて、そのときどきのコンディションに応じてグリップ力を使い切るトレーニングにもなる。アウトラップだからとダラダラ走らず、アウトラップから集中して、安全な範囲でできるだけ速く走ってみる。これが一番実用的な走行会でのタイヤの温め方だと覚えておこう。

  • アウトラップから速く走ることでタイヤを温めやすくなる
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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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