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「運転しやすい」ってどういうこと? 本当に安全なクルマが優れる「2つのポイント」

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

ホンダ・フィットに見る「安全性能が高い」クルマのポイント

 誰にとっても運転しやすいクルマとは、視界がよいことである。それは単に見通しがよいだけでなく、車両感覚がつかみやすく、周囲の様子を感じ取りやすい、いわば気配を感じられるクルマであることも大切だ。気配という点では、前後左右いずれの方向も視界が開けていることがカギを握る。

 現在、もっとも視界が開け、安心して運転できるのは、ホンダ・フィットだ。ホンダが独創の車体構造を生み出したことで良好な視界が得られ、なおかつ安全性能の高いクルマとなっている。4代目になったホンダ・フィット

 1990年代以降、ドイツを起点に衝突安全性能向上をより求めるようになった結果、衝撃吸収車体構造が世界に広まり、車体前後で衝撃を吸収しながら客室は堅牢にすることが行われた。その結果、フロントウインドウを支える柱(フロントピラー)が太くなり前方視界が悪化した。以来、世界の自動車メーカーがこの課題を解決できずに来たが、ホンダはフィットでその壁を打ち破った。軽自動車の運転席からの視界

ポイント1:0次安全の要「前方視界」

 フロントウィンドウを支える柱と、衝撃を吸収する支柱との役割を分け、フロントウインドウを支える柱を細くした結果、前方視界が一気に開けた。

 同時にダッシュボードの上面を平らな造形とすることで、左右の端までクッキリ見通しが利くようになり、それによって車幅感覚もつかみやすくなった。それでいて、室内の造形を貧相に思わせることもない。

 この考え方は、車体の側面や後ろにも適用され、全方位で視界がよく、外の光が車内に入りやすく、明るい印象の室内空間となっている。この明るい室内という点も重要で、前を見て運転しているときでも、明るい室内に影が差せば、隣にクルマが居るかもしれないという気配を覚えさせる。

 ルームミラーで後ろを見たとき、明るいはずの室内に左側が暗く映っていれば、クルマの姿が見えなくても横に何かがある可能性があると運転者に警戒心を起こさせる。結果、ドアミラーやあるいは自分の目で直に見るなど、安全確認をすべき状況にあることを促してくれる。ホンダ・フィットのリヤビュー

 フロントウインドウの両端がクッキリ見えたり、ダッシュボード上面の造形を平らにしたりすることは新型ヴェゼルでも採用されている。これによってボンネットフードが見やすいだけでなく、左右の車幅感覚を感じ取りやすくなり、安心して運転できる。ホンダ・ヴェゼルの視界

ポイント2:「気配」が感じられること

 従来、室内空間については、乗員を包み込むような造形といって、フロントピラーやダッシュボードを連続させた湾曲した形を採り入れる車種もあった。しかしそうした造形は、デザイン課程のスケッチでは格好良く見えるかもしれないが、車幅感覚を掴みにくくし気配も殺してしまう。したがって、左折して駐車場に入ろうとした際など、歩道の人や障害物を認識しにくくして不安に思わせてしまう。いわば、デザイナーの自己満足による弊害だ。

 まず直接目で見られることが重要だが、加えて気配も感じられることが大切だ。人間も動物も前を見て歩きながら、自分の体の幅を直接目で見なくても感覚的にわかるので、体をぶつけずに柱の間や隙間を通り抜けることができる。同じことが視界の様子からクルマでも肝要になることを、フィットやヴェゼルは教えてくれる。走行しているホンダ・フィット いくら造形が美しくても、あるいは走行性能が高くても、人は感覚の9割を目に頼っている。なおかつそこからの情報を基に周囲への気配を感じる動物的感覚も併せて運転している。そうした感覚を活用できなくしてしまうようなクルマは適切ではない。開発者の一途な思いに止まらず、使う人の身になって安心や親近感をもたらす新車開発をしてもらいたい。

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