もちろんフェンダーインシュレーターなども特別装備することで静粛性なども考慮した大人のスポーツセダンといったコンセプトであった。しかしトランスミッションは6速MTのみという設定で、ベースモデルの硬派な印象も残っていた。
5速ATとの相性抜群の全域でトルクフルな2.5L水平対向4気筒ターボを搭載
翌年にフルモデルチェンジを行った3代目WRX STIの最初の年次改良で再びA-Lineのネーミングが復活した。先代のプレミアムスポーツというコンセプトは変わらず、専用のパワートレインを採用。先に発売されていたWRX STIがEJ20型2.0L水平対向4気筒DOHCターボに6速MTという組み合わせだったが、A-Lineでは輸出仕様のWRX STIに搭載されるEJ25型2.5L水平対向4気筒DOHCターボに、マニュアルモード付5速ATを組み合わせた完全な2ペダル専用グレードとして登場した。
この2.5Lターボエンジンは、ATモデルに搭載されるユニットとしてはかなりの高出力ユニットで最高出力300ps/6200rpm、最大トルク35.7kg-m/2800~6000rpmを発生。MTモデルの308ps/6400rpm、最大トルク43.0kg-m/4400rpmと比較しても、十分過ぎるほどのパワーとトルクを備える。
また排気量拡大にともない、エンジン出力特性を変更するSIドライブを最もスポーティな「S#」モードにすれば、過激といえるほどの加速をしてくれる。通常走行で使用する「I」モードにセットした場合でも、トルクバンドが太く幅広い回転領域で湧き出すトルクは500ccのアドバンテージといえる。もちろんATとのマッチングは良く、街乗りからワインディングまで実に快適に走ることができるのが特徴だ。
マニュアルモード付き5速AT&電子制御センターデフの採用でGT性能を発揮
搭載されるTG5D型5速ATは、マニュアルモード時にダウンシフトブリッピング機能を採用。ステアリングコラムに装着されたパドル、またはセレクターレバーのマニュアルゲートでも変速を可能としている。
センターデフもMTモデル用のDCCD(ドライバーコントロールセンターデフ)こそ採用されなかったものの、レガシィでも定評のあるVTD(不等・可変トルク配分電子制御)式センターデフを採用。前後45:55のトルク配分が状況に応じて自在に変化。DCCDの通常時と同じく、後輪寄りのトルク配分であることからもコーナリングの気持ちよさは抜群であった。
その他、MTモデルに標準装備されるブレンボ製フロント4POT対向、リヤ2POT対向キャリパーもメーカーオプションとして設定されており、2ペダルでスポーツドライブを存分に楽しむオーナーには嬉しいオプションも用意されていた。