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「社員が整理券を手作り」「強風でテントが飛ぶ」! ファン感謝祭の先駆け「ニスモフェスティバル」誕生秘話

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TEXT: 酒呑童子  PHOTO: NISMO/酒呑童子/Auto Messe Web

10年の時を経て復活したニスモフェスティバル

 そして10年の時を経て、1997年に冒頭の理由でニスモフェスティバルは復活した。開催にあたり、当時の安達二郎社長からのオーダーは社員の手作りでやることだった。そこで中堅社員を中心にコアメンバーというプロジェクトチームが発足。ニスモフェスティバル

 もちろん、第1回ニスモフェスティバルは、GT-RとR390のお披露目が必須項目。ニスモフェスティバル国内のファンはおろか、大半のニスモ社員ですらR390の走りを生で見たことがないのだ。しかし、それだけではイベントとして物足りない。日産にはモータースポーツに関する歴史的資産が数多くあるので、日産のモータースポーツ史も表現することになった。

 とはいえ、当時の座間の記念庫(現ヘリテージコレクション)に保管されていた古いクルマは走れなかった。結局、第1回で走ったマシンは5〜6台。当時、唯一走れたグループA仕様のGT-Rは長谷見昌弘選手の所有するマシンのみ。ハコスカGT-Rもなかったので外部ショップのマシンを走らせてもらった。

 当時、ニスモ社員ですらハコスカGT-Rのレーシングバージョンが全開で走っているシーンは見たことがない。社員自身も見たこともないものを見たい。そんな思いからさまざまな企画が生まれた。その結果、親子3世代のファンが楽しめるイベントとなったわけだ。ニスモフェスティバル

すべてが手探りのなか進められた「手作りイベント」

 一方、社長のオーダーである社員による手作りのイベントの準備は大変だった。案内看板やチケット、駐車券や整理券も社員が作った。社内の印刷機とコピー機を使って印刷して切った。文字通り手作りだった。

 当時の富士にはパドックの図面がなかったので、社員が何回もメジャーで測りに行き、電源の位置なども図面化した。そして当日、社内から机や椅子、立ち入り禁止にするためのバナーやロープも持って行った。それだけでなく、観葉植物やゴミ箱も持って行った。さすがにテントはレンタルしたが、組み立てたのは社員だった。

 開催前日の土曜日、ニスモの全社員が富士スピードウェイのパドックで準備に動き回っていた。しかし、その日は冬の冷たい雨。その中でテントを組み立てたり、手作りの看板を取り付けたりした。ところが、夕方から風雨が強まり、夜、大半の社員が翌日に備えて宿に帰った後、強風によってせっかく立てたテントが飛ばされてしまったのだ。

 最後の準備のため富士に残っていたコアメンバーたちがビショ濡れになりながら立てたテントを畳んで強風対策をした。彼らが宿に戻ったのは12時近かったが、翌朝3時には再び宿を出て富士に戻るとゲート前にはすでにファンのクルマの行列があった。ニスモフェスティバル

 コースイベントをコントロールするのはタワーに入った社員。そのほかのイベントも、すべてそれぞれの持ち場の社員たちだった。ドライバーはもちろん、社員一人ひとりの詳細なタイムスケジュールも全員で共有した、まさに手作りのイベントで代理店やイベント会社も入っていないことは、当時、多くのメディア関係者も驚いていた。ニスモフェスティバル

社内がてんやわんやになるのは変わらないが今も継続

 こうして第1回目のニスモフェスティバルは盛況のうちに幕を閉じ、その後20年以上も続く大きなイベントに成長した。当初は社員ですら20回以上もやるとは思っていなかった。毎年夏ごろに『今年はやるのか?』という議論からはじまり、いざ、やると決まってシーズン最後のレースが終わった翌日から本格的な準備で、社内はてんやわんやの大騒ぎになるのは今もかわらない。

 そして2000年前後ぐらいから外部に借りていたクルマから、記念庫のクルマを直して走らせようという活動に変わった。ニスモフェスティバル日産の内部でもそんな動きが始まった時期と重なり、レストアしたクルマをニスモフェスティバルでお披露目するというパターンが生まれた。ニスモフェスティバル 最近はニスモ社員だけの手に負えないくらいイベント規模が大きくなったが、今も全社員で参加している点は変わらない。さすがに看板やチケットなどは専門業者に委託するようになったが、今でも多くの部分は社員がファンの皆様への感謝の心を込めた手作りのイベントなのだ。

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