クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • カーライフ
  • アウトドアの王者「ランクル」! 新型に「EV」や「ハイブリッド」が設定されなかった「もっともな理由」とは 
カーライフ
share:

アウトドアの王者「ランクル」! 新型に「EV」や「ハイブリッド」が設定されなかった「もっともな理由」とは 

投稿日:

TEXT: 矢田部明子  PHOTO: トヨタ自動車/Auto Messe Web編集部

新型ランクルはガソリンとディーゼルエンジンをラインアップ

 世界でゼロエミッション化が進んでいる。EUは、温室効果ガスの大幅削減に向けた包括案の中なかで、ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売を2035年に終了する方針を打ち出した。

 数年前、ランドクルーザーも次のモデルチェンジでEVもラインアップされると噂が流れた。しかしランドクルーザー300が発表されると、EVはおろかハイブリッドの設定もなく従来のガソリン、ディーゼルエンジンのラインアップだった。なぜこの時代に電動車が用意されなかったのか、メーカーに聞けば即答えが返ってくるが、私なりに考察してみることにした。

世界中のユーザーのインフラ事情を考え

 ランドクルーザーは戦後、GHQにより設置された警察予備隊(現・陸上自衛隊)への小型四輪駆動車納入を目指し製作されたトヨタ・ジープが祖となる。警察予備隊へは不採用の結果となったが、優れた走破性と耐久性は戦後復興の市場とマッチしており、1954年に商標権に抵触していた車名をジープからランドクルーザーと改名され民生モデルとして歩みだした。トヨタBJ また国内のみだけではなく、発展途上国を中心にランドクルーザーの性能は認められ、販売台数が伸びていった。つまりどういうことか。ランドクルーザーはデビュー当時から、おもなマーケット市場として発展途上国、辺境の地に繰り出していったのだ。世界には日本にいると想像もできない環境がある。

 隣りの家まで100km、ガソリンスタンドまでは200km。食料の買い出しは、2日間かけて町にでなければならない荒野に住む人、電気を潤沢に使えない国、また電気自体が引かれていない地域もある。世界で活躍するランクル EVのメリットはどうなのか。二酸化炭素(CO2)を排出しない。まずはこれが真っ先にくるだろう。走行音や振動も少なく、動き出しからトルクもあり加速もスムース、同じ距離を走行した場合、ガソリン代よりも電気代のほうが安くランニングコストに優れている。地震や台風など自然災害で停電した際に自動車を非常電源として活用できる。

 いいこと尽くめのようにも見えるがデメリットもある。ガソリン車と比べ、航続距離が短い傾向があり、充電に時間がかかる。ガソリン車は数分で給油を完了するが、電気自動車は数十分から数時間、充電に時間がかかることがある。また、充電スタンドの数も現時点では十分とは言えない。そしてこのデメリットは、発展途上国ではさらに拍車がかかるので、EVの運用に向いているとは思えないのだ。EVには充電設備のインフラが必要だ すれ違うクルマもいない、電波もない荒れた道を航続距離の短いEVで移動するのは無謀だとしか思えない。電池が切れ止まってしまったら命を落としてしまう可能性もある。

 なぜ新型ランドクルーザー300に現時点でEVがないのか、理由はこれだと私は思った。ランドクルーザーは世界のあらゆる環境で安全に運用できないとならないのだ。

12

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS