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シャコタンは「低いほど速い」ではない? スポーツ走行における「ローダウン」の弱点とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭/写真AC

バランスを見極めて車高を決めることが大切

 サーキット走行に向けたチューニング。その第一歩として誰もが挙げるのは、足まわりの交換によるローダウンだろう。しかし単に車高を低くすれば速く走れるわけではなく、下げたことによるデメリットも存在するのだ。

 レーシングカーからナンバー付きの車両まで、サーキットを走るならローダウンするのがお約束だ。重心を低くすることでコーナリング性能が向上し、見た目だってグッとスタイリッシュに引き締まる。公道では最低地上高が9cmという縛りがあるものの、サーキットならどんなに下げても取り締まりの対象にはならない。ローダウンのメリットとデメリット

 では低くすればするほどいい、と考えてしまう人もいるだろう。しかし「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、クルマの車高に関しても低くし過ぎるのは禁物なのだ。過度なローダウンはどんな弊害があるのか説明したい。

過度なローダウンはデメリットしかない

 街乗りなら段差や路面の轍で下まわりを擦る、また乗り心地の悪化などが挙げられるけど、サーキットならあまりシビアに考えなくてもいい。

 もっともコーナーの縁石をまたぐような走り方をしたときや、コースアウトしたときオイルパンやアーム類をヒットしやすいのは確か。乗り心地も長時間の耐久レースでは、疲労が蓄積されミスを招く可能性もあるため、あながち無関係とはいえないかもしれない。ローダウンのメリットとデメリット

 それより大きいのは走りに関するデメリットだ。ローダウンすることでクルマの動きがダイレクトになったり、重心が低くなってコーナリング性能が向上する。いっぽうで犠牲になるのはサスペンションの可動領域、つまりストローク量であることも忘れてはいけない。

 とくにダンパーは路面からの入力(衝撃)を緩和するためのパーツであり、ストローク量が足りず『底付き』といわれる症状を起こすと、コントロール性が著しく悪化したり車体がダメージを負うこともある。ブレーキング時にリヤの伸び側ストロークが不足していれば、後輪の荷重が抜けて挙動が不安定になりスピンしやすく、フロントの縮み側ストロークが足りなければバンプタッチを起こし、ブレーキがロックしスピンやコースアウトの危険性が高まる。

 車種によってはローダウンで極端にアライメントが変化したり、アーム類に角度が付き過ぎて動きが規制されてしまうこともあり、過度なローダウンはタイムどころか安全性も下がる場合があると心得たい。メリットとデメリットを正確に把握したうえで、バランスを見極めて車高を決めることが大切なのだ。

ストローク量はノウハウがあるプロショップに相談

 では次に最大の弊害であるストローク不足の解消についても触れていこう。もっとも知られているのは車高とダンパーのストローク量を別々に調整できる、一般に「全長調整式」と呼ばれている車高調を使うことだ。オーソドックスなネジ式の車高調はローダウンするほど上記で挙げた弊害が大きくなるのに対し、全長調整式はストローク量が確保されているためローダウンのメリットだけを享受できる。ローダウンのメリットとデメリット

 もっと手軽に解消するなら、バンプラバーをカットしてもいい。ショックの底付きやアーム類の干渉を防ぐためのパーツで、純正はある程度の余裕を持った長さになっているので、切れば切った分だけストローク量が増えるというわけだ。

 ただし切り過ぎるとタイヤがフェンダーの上側に干渉するなど、ほかの重大なデメリットを生み出す場合もあるのでくれぐれも注意してほしい。

 短絡的に「ストローク量を稼ぎたいから切っちゃえ!」ではなく、ノウハウがあるプロショップに相談したほうが絶対に後悔しないはず。スポーツ走行に必須のローダウンもメリットだけじゃない。トレードオフになる要素もあると理解したうえで、ベストな車高のセッティングを追求するべし。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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