貿易摩擦緩和のため北米生産のアコードを逆輸入
そこでホンダが選んだ手段は、ホンダ・オハイオ工場で生産される3代目アコードに設定される日本で未発売のクーペ、アコード・クーペを日本に輸入することである。
当時はプレリュードがホンダの2ドアクーペの顔であり、アコードにクーペを設定する旨味は少ないと思われた。だが、本革シートによる内装の派手さやBOSEのオーディオシステム、クルーズコントロールや前席のパッシブ・シートベルトなど、アメリカで人気の装備満載で発売されたアコード・クーペはどこかバタ臭いアメリカらしさを感じさせて、アメリカのホンダが開発したクルマとして一定の人気を確保する。
ワゴンモデルも逆輸入
そして短期間ながら目標販売台数をクリアしたホンダは、1989年発売の4代目アコードでも、半年遅れの1990年にクーペモデルを発売。やはりアメリカ製のクーペだが今度は右ハンドル仕様もあり、MT仕様もあるプレリュードとATのみのアコードクーペとしてそれぞれのポジションを確立。そこで手ごたえを確信したのであろう、ホンダは1991年に今回の主役、4ドアセダンがアコードとアスコット、ハードトップがインスパイア&ビガーに切り替わった世代に追加されたアコード初のワゴンに注目する。
USアコード・ワゴンの名でしられるこのモデルは、コンセプトから設計・開発をホンダR&Dノースアメリカ(HRA)、生産設備などをホンダ・エンジニアリング・ノースアメリカ(EGA)が担当して、ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング(HAM)が生産を担当。北米のみならず欧州や日本でも販売されるグローバルカーとなっている。
CB9型アコード・ワゴンの特徴は全長4725×全幅1725×全高1440mmで、4ドアセダンが4680×1695×1390mmなので、ホイールベースは同じ2720mmながら、ひと回りほど大きなボディが与えられていることがわかる。バンパーはアメリカ車でお馴染みの軽い衝撃機能を備えた5マイル・バンパーが備わるから、全長はバンパーと荷室に与えられたものだろう。