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レースで使うぐらいだから安全度はハンパない! なのに4点式シートベルトが公道で違反なワケ

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

4点式以上のベルトは3点式シートベルトを併用すれば問題ない

 自動車用のシートベルトは1922年に登場。競技用車両から装備が始まり、一般車両では1955年にフォードが腰部のみの2点式シートベルトをオプションで販売したのが最初と言われている。その後、1959年にボルボが3点式シートベルトを開発し、これが今のシートベルトの原型になっている。ボルボの3点式シートベルト

 さて、市販車は3点式シートベルトでいいとして、JAFの国内競技車両規則の「レース競技における安全ベルトに関する細則」を見ると、『フルハーネス式の4点式以上を装備し、競技中は常に装着すること』とある。

 さらに「衝突時の“サブマリン現象”防止の観点から1本または2本の『脚部ストラップ』を追加した5点式もしくは6点式の装備、装着を強く推奨する」とも書かれている。ちなみにサブマリン現象とは、シートベルトを正しく装着していても、衝突時に腰部ストラップ(Lap strap)が骨盤上を滑りあがり、腹部を圧迫する現象のこと。6点式シートベルト

シートベルトは本数が多ければ多いほど安全

 つまり、シートベルトは2点式より3点式、3点式よりは4点式、4点式よりは、5点、6点、8点式と点数が増えた方がより安全だということだ。しかし、公道で純正の3点式シートベルトをせずに、4点式以上のフルハーネスだけで運転をしていると、シートベルト装着義務違反に問われて減点の対象となる(違反点数は一般道路、高速道路を問わず1点。反則金はなし)。これは一体なぜだろうか。4点式シートベルト

 じつは簡単明瞭で、保安基準に次のように書かれているからだ。

・道路運送車両の保安基準 第22条の2

「運転席と助手席の第二種座席ベルトおよび運転席の第一種座席ベルトは通常の運行時に腰部と上半身を容易に動かせる構造(ELR)でなければならない」ELRリトラクター(自動巻き取り装置)のない4点式シートベルトは、このルールを満たしていないので、公道用のシートベルトの要件をクリアしているとは言えないわけだ。4点式シートベルト

公道で使用するならある程度の自由度が必要

 公道を走る場合、見通しの悪い交差点などで、前かがみになって安全を確認する必要があったり、バックのときに身体を後ろに捻ったり、インパネ部を操作したりする機会がある。そのため、ある程度上半身の自由度がないと支障があるという考えから、ELR付きのシートベルトが必須となったのだろう。3点式シートベルト

 ただ、一部公道を利用するラリー競技では、4点式以上のベルト+3点式シートベルトを併用するルールになっているので、3点式を締めていれば、4点式以上を併用しても違反にはならないことになっている。ちょっと納得いかないかもしれないが、ルールはルールなのでここは規則に従うこと。またルールといえば、モータースポーツの競技用シートベルトには有効期限があるので要注意。4点式+3点式シートベルトを採用した例

「FIA公認シートの使用期限は、シートのラベルに示される製造年月から5年とする」という規則があるので、JAF公認競技に出場する人は、使用期限のチェックも忘れずに行いたい。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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