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ウン百万円の稀少な旧車の車両保険が「年々下がって」二桁万円! 旧車オーナー必須の自動車保険の見直しとは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 藤田竜太/Auto Messe Web編集部

大事な古いクルマだからこそ保険内容にはこだわりたい

 旧車オーナーが一番抱えている「車両保険」問題。今でも根強い人気を誇る、平成初期の国産スポーツカーオーナーにとって悩みはふたつある。

部品の製造廃止と値上げは旧車オーナーにとって深刻な問題

 ひとつは純正補修部品の製造廃止と、その値上げの問題。いつまでも元気に乗り回すには、純正部品の安定供給が欠かせないが、それらのパーツがいつ製廃になるかはドキドキもの。さらにパーツ供給が続いても年数回の価格改定で、ドーンと値上がりすることも多く油断できない。復刻品パーツ

旧いクルマは車両保険に入れない

 そしてもうひとつが車両保険の問題。部品代も毎年値上げしている上に、中古車価格も絶賛高騰中なのに、通常の自動車保険では補償額が低すぎてまったく心許ないからだ。その前に、まず安さが売りの通販型自動車保険では、古いクルマだと基本的に車両保険に入れない。

 大手損保の代理店であれば、引き受けてくれるところも多いが、保険会社にとって20~30年前のクルマは第二世代GT-Rであろうが、NSXだろうが、FD3Sだろうが、減価償却が終わった古いクルマで二束三文の価値しかない。マツダRX-7

 新規で入る場合は、時価額=中古車の場合、購入価格で加入することができる。そのため絶賛価格高騰中のR34GT-Rを1700万円で購入したのなら、1700万円分の車両保険に加入するのは難しくない!? ところが、新車時からワンオーナーで乗っているような人たちは大ピンチ。新車時に500万円で車両保険に入っても、通常は更新のたびに、年々補償額が引き下げられてしまうからだ。スカイラインGT−R

年々下がる車両保険の補償額

 筆者も1992年式の日産スカイラインGT-R(R32)に30年間乗り続けているが、昨年=2021年の車両保険はMAX30万円までだった。オプションで「車両修理費支払い限度額引き上げ特約」を付けても、50万円が限度だった。これは、修理費が車両保険の保険金額以上となる場合で修理を行ったとき、免責金額を差し引いた金額を50万円を限度に保険金として支払うというものだ。さらに、次回の更新では、車両保険の補償額が25万円になると言われ、恐ろしくなってきた。日産スカイラインGT-R

 R32GT-Rだって、現在の中古車平均価格は650万円前後。これで車両保険が25万円しか出なかったら、万が一の事故や盗難のとき、どうにもならない。

保険料の補償額を上げるなら粘り強く交渉をする

 じつは2年前、「車両保険は30万円」と言われたときにも「なんとかならないのか」と交渉したが、代理店からは「なんともならない」と断られていた。しかし、担当者とは30年以上付き合いのある間柄でもあったので、現在の相場や古いクルマでも実情に見合ったカバーをしてもらえる例があることなどを説明。粘り強く交渉しつづけ、また担当者も親身になって動いてくれた結果、最終的になんと補償額を25万円から600万円にアップして更新することに成功した。車両保険の明細

 これだけ補償額が上がったなら、保険料もドーンと高くなったと思うかもしれないが、保険料は年間で1万1480円のプラスで済んでいる! しかも、来年以降も補償額は600万円から下がらないという契約になっている。というわけで、いま加入している車両保険の金額に納得できない、不安がある古いクルマのオーナーは、保険の契約を真剣に見直すことを強くおすすめしたい。車両保険の明細

 いろいろ交渉したり、調べてわかったのは、古いクルマで適正な車両保険に入れるかどうかは、どこの保険会社というよりも、代理店、あるいは担当者次第だということ。探せばきっと、古いクルマでもいい条件で引き受けてくれる代理店が見つかるはずだ。

 走行距離が年間5000km以内なら、旧車やクラシックカーなど、製造から25年以上経過した国産車および輸入車に対し、市場価格を考慮した車両保険を提供する「クラシックカー保険」というのもあるが、普段使いをしているオーナーには条件的に厳しいかもしれない……。参考までに筆者のクルマは東京海上日動火災が引き受けてくれている。

専門ショップが車両保険の見直し相談なども行っている

 そのほかの実例として、R31スカイラインの専門店として有名な「R31HOUSE」(柴田自動車)や、第二世代GT-R専門ショップの「目黒メンテナンスサービス」などでも、古いクルマの車両保険の見直し相談などに力を入れているようだ。

 さらに気になる情報として、損保ジャパンが2019年から始めた故障運搬時車両損害特約も紹介しておこう。これは契約した車両が故障により走行不能となり、レッカーけん引された場合、故障損害に対して協定保険価額または100万円のいずれか低い額を限度に保険金を支払うという特約だ。加入条件はあるにせよ、故障修理も補償してくれる保険があるというのは古いクルマのオーナーにとって非常に心強いはず。日産スカイラインGT-Rがレッカーされている様子

「古いクルマだから」といって車両保険を諦めるのは待ってほしい。大事な古いクルマだからこそ、保険の内容にはこだわらないといけない。

 担当の保険屋さんも言っていたが、古いクルマで事故に遭うと、必ず時価額で揉めることになるそうだ(オーナーの価値観=中古車相場が1000万円だとしても、保険会社は30年前のクルマ=全損でも50万円という価値観だとすれば、揉めないわけがない)。だから二度と新車が手に入らない古いクルマのオーナーこそ、手厚い自動車保険に入っておくのが重要。ここは妥協せず、根気強く情報を集めて、いざというとき頼れる保険を探し当てよう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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