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GT-Rを超える可能性もあった「未完の大器」! 「三菱GTO」が名車になれなかったワケ

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

  • 初代三菱GTOの走り

  • 初代三菱GTOの走り
  • ウェット路面を走る三菱GTO
  • 初代三菱GTOのイメージカット
  • 初代三菱GTOの2+2シーター
  • 初代三菱GTOのリヤスタイル
  • 三菱のコンセプトカーHSRⅡ

バブル期のスポーツカーのなかでGTOだけが相場高騰しないのはなぜ⁉

 R32型スカイラインGT-RにZ32型フェアレディZ、ほかにもA80型スープラ、NA1型NSX、FD3S型RX-7など、バブル期に国産車メーカーから相次いで登場した個性豊かなスポーツカーたち。日本の黄金期ともいえる時代に、三菱からは1990年10月に「GTO」が投入された。日本車離れしたグラマラスなボディ、自主規制いっぱいの280㎰(海外では320㎰)を発揮する強力なパワーユニット、さらに当時の最新テクノロジーを満載したメカニズムなど、ライバルに負けずとも劣らない魅力に溢れていた。初代三菱GTOのイメージカット

 ただ、販売面では苦戦。当時のフラッグシップスポーツでは真っ先に2000年に生産中止した(販売は2001年まで)。現在、国産スポーツカーの中古車価格が軒並み高騰しているなかで、GTOだけが大きく相場アップしてはいない。なぜ、ここまで人気が低迷したのか。その理由をあらためて探ってみたい。

先進技術を駆使して意のままに操れる4WDスポーツを目指したGTO

 バブル期のスポーツカーは潤沢な資金を後ろ盾とし、各メーカーの考えがふんだんに盛り込まれていた。例えば日産は90年代に走りで世界一を目指し、ホンダはNSXでオールアルミボディを採用。今までになかったデイリースーパーカーを志した。対する三菱は「あらゆる道路条件でドライバーの技量に関係なく、安全かつ余裕を持って速く走れる」ことをコンセプトとした。この考え、どこかで聞いたことがあるな、と記憶を辿るとマルチパフォーマンス・スーパーカーを掲げたR35型GT-Rの考え方に近い。ウェット路面を走る三菱GTO

 その実現のためにフルタイム4WD、4WS、4輪ABS、アクティブECS(4輪独立制御ダンパー)などの最新テクノロジーを惜しみなく盛り込み、さらにそれらを統合制御することでクルマの性能をより高次元に引き上げることを目指した。電子デバイスで意のままに操れる操縦性を持つ4WDを具現化する考えは、当時としてはかなり先進的だったといえる。

バブル期のスポーツカーとして潔さとピュアさが足りなかった

 では、GTOはなぜ高評価を得られなかったのか? 端的に言えば「スポーツカーとして割り切れなかった」からだ。言い換えればライバルと比べて、ピュアスポーツ度が足りなかったからだろう。基本の考えやメカニズムは1987年と1989年の東京モーターショーのコンセプトカーであるHSR&HSRⅡをベースとしているが、量産メーカーゆえにCカー(プロトタイプスポーツカー)を彷彿させる流麗なスタイリングまで思い切れなかった。三菱のコンセプトカーHSRⅡ

 キャビンは純粋な2シーターから4人乗れる2+2に、ユーザーの手の届く範囲の価格を実現するために、プラットフォームはディアマンテのものを流用するなど、コスト面にも配慮。メーカーとしては当然の判断だが、時代が悪かった(見誤った⁉)。専用のプラットフォームを採用するライバルが存在していたこともあり、特別感という点で見劣りしていたのは確かだ(ただし、国内の280㎰スポーツカーとしてはもっとも安く、コストパフォーマンスは高かった)。初代三菱GTOの2+2シーター

 3L V6DOHCツインターボも動力性能(後期のターボは280㎰/43.5㎏-m)は国内トップクラスだったが、扱いやすさを重視した結果、官能性や気持ちよさなどハートに訴えかけるものも希薄に。兄弟車としてダッヂにOEM(ステルス)していたことも、国内のスポーツカーファンからは中途半端に映っていたのかもしれない。

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