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スーパーGTの坂東代表を直撃! 2022年はコロナと環境を考えてそれでも盛り上がるレースを実現する

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TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: 増田貴広/日産自動車/モビリティランド/GTA

  • 坂東代表イメージカット

  • 2022年に復帰する日産フェアレディZ
  • 2022年の開幕前イベントでの走行シーン
  • 2022年仕様のホンダNSX
  • もてぎのピットウォークイベンの様子
  • タイヤ交換などをしているシーン
  • レースクイーンのイメージ
  • レース前のイメージ
  • グリッドウォークのイメージ
  • スーパーGTのイメージ(レースシーン)
  • 2021年を振り返る坂東代表
  • これからのスーパーGTについて坂東代表
  • インタビューに応える坂東代表
  • 環境対策について語る坂東代表
  • 坂東代表イメージカット

日本を代表するレースも新型コロナウイルスに翻弄された

 日本を代表するモータースポーツといえば、なんと言ってもスーパーGTだろう。トヨタ、ホンダ、日産という国産3大メーカーがしのぎを削るGT500クラス。そして、国内外のスポーツカーが勢揃いし激しいバトルが繰り広げられるGT300クラス。市販車をベースにしたレーシングカーが戦うスーパーGTに、日本のみならず多くのファンが魅了されている。

スーパーGTのイメージ(レースシーン)

 2022年シーズンは4月16日(土)に、岡山国際サーキットにて開幕となる。今シーズンはどのようなレースが予想されるのか? そして、いまだに収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの対策などについて、スーパーGTを運営するGTアソシエイション(以下、GTA)の坂東正明代表にお話を伺った。

約2000人のコロナウイルス対策に苦労した2年間

──ウィズコロナのなかで開催された2021年を振り返って、どのようなシーズンだったかをお聞かせください。

 コロナ禍での開催ということで、それらの対策や対応ということが一番大きかったです。2020年から対策は本格的に行っているのですが、スーパーGTとしてガイドラインやロードマップを設定しています。これは、国が決めていることよりも厳しいチェック機能をもたせている内容もあります。

2021年を振り返る坂東代表

 サッカーや野球業界も対策を行っていますが、スーパーGTにおいても、2020年に1度、2021年は全大会でレースに関わるスタッフ約2000人のPCR検査をレース開催2週間前に実施しました。さらに2021年シーズン後半の鈴鹿大会以降は、72時間以内の抗原検査も実施しています。スーパーGTでは、PCR検査と抗原検査の両方を実施する。このような状況下で2021年もやってきました。

 また、2020年シーズンから、サーキット内の動線の管理もさらにきちんと行いました。お客さまに関してはオーガナイザーに任せ、パドック内に入ってくるスタッフに関しては、GTAが管理することになっています。このふたつが交わらないよう、年間できちんと対策を行ってきたのです。検温や手洗い、三密にならないようにして風通しも良くするなど、これは当たり前のことです。レースを開催する以上、クラスターを発生させてはいけない。そういう信念のもと、2020年および2021年シーズンを運営してきました。

 スーパーGTの全8戦以外に、ほかのカテゴリーへ参戦するドライバーやチームスタッフがたくさんいます。スーパーGTの大会に際して徹底して対策したことで、そういった場でも抑止効果を発揮できたのではないでしょうか。有観客レースにおいて、いかに安全に開催するか。イベントをどう展開するか。このようなことをじっくりと考えられた1年でした。そして、まもなく開幕する2022年シーズンですが、今後のことは国の方針などに合わせていくことになると思います。やはり、お客さまにサーキットへ足を運んでいただいて、リアルに見ていただきたいですから。

レース前のイメージ

 2021年はコロナ対策でお客さまはパドックに入ることができませんでした。ですが、今年はもう少し緩和できないかということもGTAとして検討しています。来ていただいたお客さまに、どれだけ満足していただけるか。より安全な環境を作っていかなければならないと強く感じています。

──2022年も厳しい環境で開催されることになりそうですが、昨年までに対して変えていけそうなポイントはありますでしょうか?

 開幕前の岡山や富士のテストでは、検温のみで入場していただけるようになるかと思います。来場者もそれほど多くはないと想定しています。ですが、開幕戦以降は、72時間以内の抗原検査を全員に実施し、クリアされた方はパドック内に入場できるようにしたいですね。パドック内で活動するレース関係者と、パドック内に入ってくる来場者との線引をどうするかが課題になっています。

 5月に開催する富士大会までに、その課題を解決できるように検討していますが、これには国の方針なども関係してきます。スーパーGTは基本的に屋外で開催されています。パドック内にいる人たちが密にならないように対策をきちんと行えば、少しずつ規制を緩やかにすることはできるのではと想定しています。海外では、少しずつ状況が緩和されていますから。

もてぎのピットウォークイベンの様子

──2020年から続いているコロナ対策において、一番苦労された点はどのようなことでしょうか?

 お客さまに来ていただくイベントですから、やるからにはクラスターを発生させずに継続していかなければなりません。まずはイベントをしっかりやれるようにすること。2020年シーズンの最初はイベントすら開催できない、県を超えての移動をしてはいけませんでしたからね。そういうこともありながらやってきて、年間全8戦を行うにはどうしたらいいのか。2020年は関係者が公共交通機関を使わずに大会へ移動することを検討をしました。そうなると鈴鹿、富士、もてぎでの開催に限られてしまい、そのほかのサーキットへは行けないというところからスタートしたのです。

インタビューに応える坂東代表

 それを2021年は全戦公共交通機関でも行けるように改善しました。そうするためには自分たちが何をすればいいのか。コストもかかりますが、やる以上には年間全8戦をきちんとやり切り、それに対する対応を考えないといけません。その段取りに苦労しましたね。GTAとして全8戦を開催できる方法を限られた予算と経費のなかで粛々とやってきました。だから現場は大変です。毎戦アナログで2000人以上をチェックしなければならず、毎戦必ず同じ人が来てくれれば検査も管理も楽ですが、そうはいきません。レースクイーンもスタッフも、大会毎に異なることもあります。その現場でのチェックが大変でしたね。

レースクイーンのイメージ

ニューZ投入やNSXの改良で盛り上がるGT500クラス

──2022年シーズンは、GT500クラスで日産がフェアレディZへマシンをチェンジします。NSXもフロントマスクを改良してきました。マシンの進化にファンは期待していると思いますが、この状況を坂東代表はどう感じていらっしゃいますか?

 個人的にGT-Rは日本のレース界、ツーリングカーレースにおいて大きな役割を果たしてきたと思います。Zもレースに参戦していましたが、やはり50〜60代はGT-R派が多いと思います。ですが日産も販売やマーケティングを考えなければなりませんから、Zで参戦する日産に対してなにかGTAとして寄与できることがあるとすると、会場を盛り上げることで日産に返せるものがあると思っています。新しいZがうまく活躍してくれればいいですね。

2022年に復帰する日産フェアレディZ

 NSXは販売が終わると宣言していながら、なんで今さらフロントマスクを変えて最終モデルを強調するのか、そんなに勝ちたいのか、まだダウンフォースがほしいのか、と個人的には思います(笑)。しかし、それだけ各社がこのレースに賭けているという思いが伝わってきますよね。日本の3大メーカーが本気で勝ちに来ているレースがスーパーGTなんです。だから各社があの手この手を使ってきます。

2022年仕様のホンダNSX

 Zは販促などにもつながるかもしれませんが、NSXのフロントマスク変更は、市販車は買えないのに、これをスーパーGTというレースの場に取り入れてきたんです。このホンダの意気込みですよ。このイベント、スーパーGTというコンテンツをそれだけ意識してもらっているという表明でもあります。それは面白いですよね。

2022年の開幕前イベントでの走行シーン

スーパーGTができる環境対策とは

──2022年シーズンは500kmレースなども視野に入れていると昨年の会見でコメントがありました。

 今シーズンに関しては300kmレースを基本とし、5月と8月の富士2戦と8月の鈴鹿は450kmとしました。レース距離は、環境に対応したモータースポーツ作りをしていく上で、タイヤメーカーに関してはグリップ力ではなく、長距離が走れるタイヤの製作をお願いしました。自動車メーカーに対しては出力ではなく燃費優先のエンジンの開発をお願いしました。そういう将来のためのことを今から固めていくために、今季トライをしていきます。

タイヤ交換などをしているシーン

 今のタイヤの持ち込み本数、生産本数自体も減らしていこうという取り組みも進めていきます。ロングライフにすること、リユースしてリサイクルにもつながること。GTAとしては、そういうことをやっていかないといけないと思います。ル・マン24時間レースなどは新しい素材を使ったタイヤづくりをミシュランもやっているし、ヨコハマタイヤもそういった方針を打ち出しています。各社そういう環境を意識した方向になってくるでしょう。

 燃料に対しては、カーボンニュートラルフューエルにしていきます。現在テストしていますが、まずはこれまでの燃料にも近い、E5燃料を使っていきます。E5のみにして今までの化石燃料は使いません。今までの燃料にE5を混ぜるというのではなく、E5をこれまでの化石燃料の素材を一切使わずに作った燃料で走るということです。エンジンのベンチテストで確認しますが、E5であれば出力低下も抑えられ、従来のノーマル燃料と変わらず使用できるはずなので、マシンへの影響も大丈夫かと。

 これは、ドイツのハルターマン製となり、海外から輸入することになります。ヨーロッパはもちろん、アメリカなどでも製造しています。以前はイギリスのBTCCにもハルターマンは供給していました。ほかにも別会社で、P1レーシングフューエルという燃料もありますが、これは今季からWRCに供給していますね。ちなみにE5は化石燃料を使っていませんので、カーボンニュートラルや脱二酸化炭素に貢献できます。ドラム缶で1万6000リットルくらい、船で輸入します。

 E5燃料はまだまだ高額ですが、ここからがスタート。GT500の国内3メーカーはもちろん、FIA GT3に関しても、各メーカーにスーパーGTはE5燃料を使うということを知らせて燃料を送り、ベンチテストをしてもらうように依頼しています。それ以外は、8月の第5戦・鈴鹿のレース後にマシンへ投入し、走行テストを実施する予定です。

 参戦する全車両に200リットルずつ燃料を供給し、レース翌日に走ってもらってテストとチェックをします。2023年シーズンからは全車E5燃料に切り替えることが目標です。300kmと450kmのレース全戦で、29万リットルくらい使います。それ以外に合同テストがあり、年間で約30万リットルくらい必要だと計算しています。今のところだと、リッター1000円くらいになります。現在は海外生産ですが、最終的には日本で生産できるようにしなければならない。それを生産する過程で、どれくらいカーボンニュートラルを実現できるのかは国が判断することになりますが。輸入したものをテストして効果があれば、国内でも展開できるようにしなければならないですね。

環境対策について語る坂東代表

 これらの先行テスト用燃料の費用は今季はGTAが負担します。まずはそこからスタートして、みんなでやるモータースポーツですから、今後は自動車メーカーもタイヤメーカーもチームも、オーガナイザーも、環境のため未来のため、それを使わないといけないという義務付けとするので、それをみんなで負担して日本のモータースポーツ業界を格上げしたい。環境対策やカーボンニュートラルフューエルに対して、みんなでその方向へ行きましょうという指針を立てないといけない。

 そのためにはみんなに協力してもらいたく、負担というか協賛をしてもらうことになるでしょう。もしかしたらお客さまにも100円負担してくださいってお願いするかもしれません。モータースポーツ業界がこれからも発展していくための方法論、そういったことをいろいろ考えていかねばならないと思っています。その方向に向かって日本のモータースポーツ業界を発展させていかないと、ドメスティックなもので終わってしまう。この先10年、モータースポーツを続けていけるよう、そして新しい環境に合わせる開発の場としてモータースポーツを使ってもらえるようにして、モータースポーツをきちんとたくさんの人に知ってもらえるようなるためのことをやっていかないといけないと思っています。

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