大きな運転席スライドなどを備えたダイハツ・タント
そうした介助される側、する側にとってうれしい代表格の1台が、スーパーハイト系軽自動車のダイハツ・タントだろう。助手席側Bピラーレスのミラクルオープンドアは、助手席を前出しすることでただのスライドドア車を圧倒する広大な乗降空間、とくに幅方向(間口)のゆとりがあり、要介されるほうもするほうも楽々。

しかも、世界初の運転席最大540mmのロングスライドシート(Pレンジ時のみ機能し解除スイッチ操作の必要あり)を、最大380mmの助手席スライドとともに採用している。スーパーハイト系軽自動車だけに室内の天井が高く、狭い1-2列目席スルー空間を通らずとも、運転席から後席にサッと移動できるのだから、サポートカーとして文句なしと言っていい。

つまり介助者を乗せたあと、車外に出ることなく、車道側回り込むことなく、運転席への移動が可能なのだ。雨の日、交通量の多い道での便利さや安全性も高まるということだ。合わせてクルマに戻った際、スライドドアが自動でオープンする、軽自動車初のウエルカムオープン機能(要予約操作)も、介助する側にとっては便利そうだ。
助手席側が大きなスライドドアになっているトヨタ・ポルテ
タント同様にBピラーレスで、介助のしやすさに優れているスライドドア車として、今では中古車のみとなってしまうもののおすすめなのがトヨタ・ポルテだ。助手席側に大開口ワイヤレス電動スライドドアを持つハイトワゴンであり、スライドドアの大開口(とくに幅方向)、室内天井の高さもたっぷり。介助されるほうも、するほうも、スライドドアからの乗降は楽々そのものだ。

もっと言えば、ポルテのスライドドア部分のフロア地上高は、ノンステップバスの乗降時と同じ300mm。これは世界の乗用車のなかでもっとも低い部類で、乗降時の足運びのしやすさにもメリット絶大だ。

もっとも、ホンダNシリーズの商用版であるN-VANも助手席側Bピラーレスだが、後席のシートは極めて簡易的なものだから、高齢の両親を快適に乗せてあげるような使い方には不向きと言っていい。Bピラーレス車ならなんでもいいというわけではないのである。