RRじゃなくてもやっぱりポルシェ! じつは名車揃いだったFRモデルを振り返る (1/2ページ)

RRじゃなくてもやっぱりポルシェ! じつは名車揃いだったFRモデルを振り返る

新時代を感じさせた「トランスアクスル・ポルシェ」の系譜

 ポルシェと言えば初作の「356」からその後継の「911」へと、リヤに水平対向エンジンをマウントするパッケージを踏襲。なだらかなシルエットは、今やスポーツカーのアイコンにもなっています。しかしその一方で、一般的なフロントエンジンの後輪駆動もリリースしてきました。今回はフロントエンジンのポルシェを振り返ります。

914の後継車として企画された924はポルシェ初のフロントエンジンを採用

 ポルシェの主力モデルだった「356」が、後継車となる「911」にその座を譲ったとき、価格が高くなり過ぎたことから911に356のエンジンを搭載した「912」が登場。その後継車として1969年のフランクフルトで発表されたモデルが「914」。リヤエンジンにこだわってきたポルシェとしては、初のミッドエンジン車でした。ポルシェとフォルクスワーゲン(VW)が共同で開発したことから、前後に十分なラゲッジスペースを確保するなど、使い勝手にもよく配慮されたクルマでしたが、やはり2シーターというのは厳しかったようです。

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ポルシェ初のミッドシップ車「914」画像はこちら

 そこで914の後継モデル「924」を開発するうえでは、4シーター(2+2シーター)であることが絶対条件となり、フロントエンジンの後輪駆動で、2+2シーターの2ドアクーペというパッケージングが採用されました。ポルシェとしては初のフロントエンジン車でしたが、やはりポルシェ、ミッションをリヤに置いてデフと一体化し、エンジンからの動力をトルクチューブで伝える「トランスアクスル」を採用。前後の重量配分を改善しようと心掛けていました。

 エンジンもVWの空冷フラット4ではなく、VWの系列下にあったアウディの車輌リストから、「アウディ100」に搭載されていた2L直4 OHVエンジンのブロックを使用し、新たにOHCヘッドを開発して組み合わせた「XF型」を搭載。1984ccから125psを引き出していて、1.1t強のボディにも十分なパフォーマンスを与えていました。

ポルシェ924のカタログに描かれたメカニズム画像はこちら

 914のサスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リヤはセミトレーリングアームをトーションバー・スプリングで吊ったものが組み込まれていました。911や914でデータが十分に蓄積されているサスペンション形式でしたが、やはりコストを抑えるためでしょうか、VWの「ビートル」や「ゴルフ」のパーツが使用されていました。

 ちなみに、ポルシェとVWの共同開発で始まったプロジェクトですが、開発途上の段階でVWの経営陣が交代。共同開発のプロジェクトからVWが抜けることになり、以後はポルシェ単独でのプロジェクトとして開発が進められました。それでもビートルやゴルフのパーツを使うことにしたのはやはりコストの問題から、だったのでしょう。

ポルシェとして初めてのFRレイアウトだった924画像はこちら

 先にも触れたようにボディはリヤにガラス製のハッチゲートを持った2ドアクーペで、デザインを担当したのは社内デザイナーで若手のハーム・ラガーイでした。ロングノーズと短いキャビンとショートテール。ガラスのハッチゲートを設けたことでスポーツカーの定番だったシルエットが、ずいぶんモダンなものに生まれ変わっていました。そして今度はこれが新たなスポーツカーの定番となっていきます。

ガラスのハッチゲートが特徴的だった画像はこちら

924の後継発展モデルでは、さまざまな手法で性能を向上

 シングルカムの2L直4で1975年に発売された924でしたが、やはりスポーツカーを手に入れたいというユーザーやその予備軍からは「もっとパワーを!」との声が寄せられていたのでしょうか、1980年には2L直4にターボを装着して170psまで最高出力を高めた「924ターボ」が登場。

1980年式の924ターボGT画像はこちら

 さらに翌81年には、まったく新しい2.5L直4エンジンを搭載する「944」が登場しています。これは、後述する上級モデル、「928」が搭載していたポルシェ自身が開発したV8エンジン(の片バンク)をベースに開発した「M44/02型」エンジンで、2479ccから155psを発生していました。85年にはM44/02型を「KKK」製の水冷式インタークラー付きのターボで武装した「M44/51型」エンジンを搭載する「944ターボ」が登場。こちらの最高出力は220psで、最高速も245km/hに達していました。

1981年登場の「944」画像はこちら

 さらに87年には944と944ターボの中間モデルとして「944S」が登場しています。944との最大の違いは、エンジンのヘッドがシングルカムからツインカム16バルブに変更されたことです。このヘッドも、後述する928系の「928S4」から転用されたものでした。89年には排気量を2990ccまで拡大した「944S2」が登場。最高出力は211psに達していました。ただエクステリアに関しては、944以降ではオーバーフェンダーを装着していましたが、ここまでは924オリジナルのボディは基本的に共通。89年にはカブリオレも誕生しています。

ツインカム16Vとなった944S画像はこちら

 91年のフランクフルトでは、944の後継モデルとして「968」が登場しています。エンジンに関しては944S2の2990ccの直4ツインカム16バルブをベースに、「ヴァリオカム」(ポルシェが特許を取得していた可変バルブタイミング機構)を組み込んでいて、最高出力は240psに達していました。エクステリアではヘッドライトが一般的なリトラクタブル式からランプユニットが起き上がるタイプに変更されていたのが最大の相違点。ボディの基本シルエットは924/944と共通でしたが、ドアパネルなど多くのパーツが専用に開発されたものとなっていました。

「968」の最終型、1995年式のカブリオレ画像はこちら