キープコンセプトで3分の1世紀・4世代を数える「ロードスター」
ここのところものすごい勢いで価格が上昇している往年の国産スポーツカーたち。価格上昇の一因としては、現在では同じようなスポーツカーが販売されていないため、需要と供給のバランスが大きく崩れた結果、価格が上昇しているということも言えるだろう。
その一方で、現在も同じコンセプトで作られた現行型が存在するにもかかわらず、価格が上昇している車種もある。その代表格がマツダ・ロードスターではないだろうか。
初代が現行の新車より高くなるという逆転現象
決してハイパワーではないものの、「人馬一体」の軽快な走りとFRレイアウトを持ったオープン2シーターという根幹はブレておらず、現行ND型の260万円台~という価格も、決して手の届かない価格というわけではない。
しかし今、初代ロードスター(所謂ユーノス・ロードスター/NA型)の中古車をチェックしてみると、それなりの状態の物件でも100万円超、低走行であったりセミレストア済のものであったりすれば200万円台というものも珍しくなく、なかには400万円オーバーというプライスタグをつけているものも存在するほど。
つまり、極上のユーノス・ロードスターを買おうとすると、新車の現行型よりも多くの予算を用意しなければならないという状況になっているのである。
年月とともに熟成されたクラシックカーとしての魅力
筆者も初代ロードスターを所有しており、年単位をかけて気になる部分をコツコツ補修、修理しながら乗っているのだが、これも購入時はほぼ底値の状態で、格安でベース車を購入できたからこそなせた技。ではなぜ今、当時の新車価格よりも高い金額を払ってもユーノス・ロードスターに乗りたいという人がいるのだろうか?
まずもっとも大きな要因と言えるのが、その絶妙にクラシカルなルックスだろう。個性的なリトラクタブル・ヘッドライトや、ロールバーが備わらないためオープン時にはスッキリとしたサイドラインとなることなど、現在では法規制によって実現することが難しいスタイルを実現しているという点が挙げられる。
そして乗り味も電子制御などがほとんど備わらないシンプルなもので、現行型に比べると明らかに牧歌的で旧車らしいものを味わうことができるのだ。
それでいてアフターパーツも豊富であり、ノーマルの旧車的な乗り味から、レーシングカー的な乗り味まで、ユーザー好みに味付けをすることが可能という点も魅力のひとつ。
さらにメーカーがレストアプロジェクトを立ち上げたことで、製造廃止となっていた部品も続々復刻されており、旧車らしさを味わいながらも部品で苦労することが少ないのも美点と言えるだろう。