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三菱FTOはまるでイタ車のようなデザインに先進技術を搭載! 今見てもオシャレなコンパクトスポーツの意欲作だった

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

先進性のあるスタイルとメカニズムだった

 1994年にデビューし、当時NA2リッター最速を誇った三菱のFTOを覚えているだろうか。

「カナリキテール、カンジテール……」という歌詞のフライングキッズの“セクシーフレンド・69″がCM曲で、第15回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞していたこともあり、注目度が高かった一台。注目度だけでなく、実力的にも優れたクルマで、とくに下記に述べる3つの点でエポックメイキングな車種だった。

イタリアチックなスタイリング

 FTOはGTOの弟分として登場したクルマだが、GTOがプアマンズ フェラーリと陰口を叩かれてしまったとおり、当時の三菱車はイタ車のデザインをインスパイアする傾向があった。FTOがモチーフにしたのはクーペ・フィアットで、それを丸パクリしたわけではなく、きちんと三菱流に消化しているところは評価したい。いま見ても面白いフォルムで、日伊混血の比類ない2ドアスポーツクーペといえるだろう。

2リッターV6の「6A12型」MIVECを搭載

 マルチシリンダーの方が豪華で贅沢というイメージがあったが、2リッターエンジンは直4で十分だったはずだ。にもかかわらず、あえてFTOにはV6横置きエンジンを投入してきた。FFのスポーツクーペに、横置きのV6なんて積んだら、フロントヘビーで曲がらなくなるのでは? と思いきや、じつはFTOこそ曲がるFFのパイオニアだった。

 ホイールベース:トレッド比も1.68といい数字で、サスペンションはフロント:ストラット、リヤ:マルチリンクを採用し、当時としては非常に接地性がよかった。おかげでワインディングでもアンダーステア知らずで、1年後にインテグラ タイプR(DC2)が登場するまで、もっともコーナリングが得意なFFスポーツだった。

 しかもMIVECエンジンはクラス最強の200psを誇り、パワーウエイトレシオは5.85。サーキットを走らせると、コーナーも速いがストレートも速い、見た目以上(?)の実力派スポーツクーペだった。

国産初のマニュアルモードAT、INVECS-IIを採用

 FTOのトピックは、セミATともいえるINVECS-IIを採用したこと。原理はポルシェのティプトロニックとほぼ同じだが、ポルシェのティプトロニックは6000rpmぐらいでシフトアップする容量しかなかったが、三菱のINVECS-IIは7000rpmまできっちり回すことができたことが大きい。

 初期のモデルは4速ATだったのでギヤ比が苦しかったが、マイナーチェンジで5速ATになったのは大きなプラス。モータースポーツではジムカーナやダートラにも出場し、レースでは全日本GT選手権に2シーズン出場している(エンジンは直4の4G63に換装)。

 あまり知られていないかもしれないが、ジャッキー・チェン主演の映画『デッドヒート(1995年)』では、ジャッキー・チェンがFTOをドライブし、R32GT-Rを追い回すシーンもあった(いまは閉鎖されてしまった仙台ハイランドでのバトルも収録)。

 ちなみにFTOの車名の由来は、Fresh Touring Origination。若々しいツーリングカーの創造という意味からだった。新車価格が200万円で、この先進性のあるスタイルとメカニズム、パフォーマンスでいえばかなりお買い得な車種だったが、総販売台数は3万8028台で、2000年9月に生産終了……。

 大手中古車情報サイトを見ても、7~8台しか掲載されていない(平均価格150万円)。いいクルマだったのに、いつの間にか稀少モデルとなってしまった。いま考えると、少しだけ時代を先取りしすぎた名車だったのかもしれない。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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