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3億5000万円でランボルギーニ「ミウラ」が落札! 復刻「カウンタック」と同じプライスだった理由は「SV」の称号にあり

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Sotheby's

欧米では有名なP400SVのオーナー遍歴とは

 今回オークションに出品されたミウラP400SVは、北米市場向けに特別に製作された21台のSVのひとつ。ちなみに北米仕様の最初の8台は、時速190マイルのスピードメーターとエンジン/トランスミッションが分割潤滑となった後期の13台とは異なり、200mphの速度計と一体潤滑式オイルシステムを備えている。つまり1971年型のこの個体、シャシーナンバー#4884は初期型のP400SV。じつは、アメリカに正規輸入されたP400SVの第1号という。

 北米仕様のP400SVは、反射式サイドマーカーやスピンナーのない八角形のセンターホイールナットなど、連邦規制を満たすため本国仕様のSVとは微妙な相違点があるほか、インテリアには3点式シートベルトが装備されていた。

 このミウラSV、シャシーナンバー#4884は、北米仕様車の型式認定を得るためのホモロゲート車両としても供用されたのち、1971年6月にアメリカの地を正式に踏んでいる。そして1971年のボストン・モーターショーに展示された直後に、カンザス州在住のファーストオーナーに引き渡された。

 その6年後には、ジョージア州に住む2代目オーナーのもとに譲渡され、以後28年間にわたって、その地に留まることになる。

 ところがこの2代目オーナーが2005年に逝去。P400SVは高名なミウラ愛好家にして研究家としても知られるジョー・サッキー氏が入手し、同じく有名なミウラ・スペシャリストのゲイリー・ボビレフ氏にフルレストアを依頼する。

 この時の修復は、ベルトーネ社から純正シート素材の供給まで受ける徹底したもので、完成後の2006年には、イタリア車だけのコンクール・デレガンス「コンコルソ・イタリアーノ」でクラス1位を獲得した。

 また、サッキー氏は自著として2008年に出版した「ランボルギーニ・ミウラ・バイブル」の表紙にも、このシャシーナンバー#4884を登用。ピーター・コルトリン氏とジャン=フランソワ・マルシェ氏による、有名なランボルギーニ・ミウラ本の表紙も飾っている。

 そして2015年にはイギリス経由でドイツに輸入され、今回のオークション出品者である現オーナーが入手。ここでも2017年に、17万ユーロ(当時の邦貨換算で約2000万円)を投じて、ディテールのリフレッシュとエンジン、エアコンディショナーなどのフルオーバーホールが施された。

最終落札価格は、安定の3億円オーバー

 来歴、コンディションともに申し分ないこのミウラP400SVだが、2022年5月14日に行われた競売では大方の予想どおり200万ユーロを大きく超える248万ユーロ、日本円に換算すれば約3億4800万円で落札されることになった。

 200万ユーロといえば思い出されるのは、つい先ごろ日本にも初上陸して話題を呼んだ、復活版カウンタック(クンタッチ)LPI800-4の販売価格である。もしかしたら「ミウラP400SVとLPI800-4のどちらにしよう?」などと悩まれるような幸福なエンスージアストもいらっしゃるかもしれない。

 でも、世界限定112台というLPI800-4のオーダーリストに名を連ねることを許されるような真正のランボルギーニ愛好家ならば、すでにオリジナル版カウンタックとともに、ミウラもガレージに侍らせている可能性も高いに違いあるまい。

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  • 3億4800万円で落札されたランボルギーニ「ミウラP400SV」
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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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