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ダンパーは硬いだけではダメ!走行中も減衰力が変更する「EDFCアクティブプロ」

アクティブサスのように走行状況に応じて
ダンパーの減衰力を4輪独立で変更できる

車高調整式サスペンションの減衰力を車内からコントロールできるのが「テイン」の電動減衰力コントローラー『EDFC』だ。その最上位モデル『EDFCアクティブプロ』は、旋回G感応自動調整をはじめ、車速パルスによる車速感応調整等を搭載することで、4輪独立した減衰力調整が可能とする。
つまり、高級車の純正アクティブサスペンションのように、乗り心地を確保しつつ、速度域の変化や速い速度でカーブを曲がったとき、ダンパーの減衰力を瞬時に変化させ走行安定性を確保することができるわけだ。
この『EDFCアクティブプロ』を装着したトヨタ・ヴェルファイア、スズキ・スイフト、トヨタ86の3台を試乗。その実力をチェックする。

減衰力のセッティング次第で
乗り心地や走安性が変化する

サスペンションの重要なパーツがダンパー(ショックアブソーバー)だ。その役割は、スプリングの伸縮を減衰させ、ボディを安定させることである。
「減衰力」という言葉をよく耳にするが、これはスプリングを最適に動かすためのダンパーの伸び縮み具合、抵抗力によってコントロール。減衰力は、クルマのハンドリングと乗り心地を大きく左右する。

ダンパーの減衰力を低い方向にセットすると乗り心地はソフトになる。しかし、カーブを曲がるときクルマの挙動は不安定になりやすい。逆に減衰力を高い方向にセットするとロールスピードが抑えられ、スタビリティを高めることができる。が、乗り心地はハードになりがちだ。
この難問を、高い次元で解決できるのが減衰力調整機構付きのダンパーである。減衰力が一定だと、路面状況や速度によってはサスペンションがうまく追従できない。

ところが、路面や運転状況に応じて減衰力を切り替える減衰力調整式のダンパーは、一般的な走行域では減衰力を低く(柔らかく)して乗り心地を確保することができる。
減衰力を高めにセットすれば、速いコーナリングなどでも内輪が大きくリバウンドすることがなく、ハンドリングは軽やかに。スタビリティ能力も高くなる。

減衰力調整式ダンパーの多くは減衰力の調整を手動で行なう。ダンパーの先端などにあるクリック(矢印の部分)を回し、適切な減衰力を設定するのである。
だが、減衰力の調整は意外に面倒だ。4輪すべてを変更しようと思えば、4本のダンパーを一つずつ調整しなければならない。
この面倒な調整を運転席からラクにコントロールできるようにしたのが「テイン」の電動減衰力コントローラー『EDFC』だ。『EDFC』は、テイン製サスペンションの減衰力調整用のクリックに小型モーターをセットし、室内に設置したコントローラーから遠隔制御する。コントローラーのダイヤルひとつで自分好みの乗り心地や走りにアレンジできる手軽さが受け、2002年に発売以来、シリーズ累計10万台を超えるクルマに装着され、ファンが増え続けている。

下の写真の『EDFC II』はシンプルかつ手軽なベーシックモデル。3通りのメモリー設定を備える。価格は¥37,260〜。

「テイン」は、この『EDFC』を発展させ、さらに魅力を広げた『EDFCアクティブ』を2013年に商品化。最大の魅力は、車速や、加減速Gなどの変化にレスポンス鋭く応じ、瞬時に最適な減衰力に自動調整してくれることだ。

コントローラーには加減速Gを検知する3軸のGセンサーを内蔵。また、オプションのGPSキットを装着することで、車速と連動した自動調整も可能となる。また、無線通信の採用で室内への配線作業も不要になるなど、着実な進化を遂げている。価格は¥51,300〜。

ひとつのサスペンションキットで
さまざまな走行シーンに対応!

ミニバンやファミリー向けのクルマは挙動変化が大きく、ブレーキング時はノーズダイブも気になる。スポーツモデルも、ノーマルダンパーだと路面によっては追従性に甘さが出るし、ステア特性が変わることも多い。これらの弱点を消し、操る楽しさに磨きをかけたのが『EDFCアクティブプロ』だ。

『EDFCアクティブプロ』では、前後独立・左右同調制御の従来モデルとは異なり、4輪独立制御に進化させていることと、旋回Gに応じた制御が実現されている。また、車速を車速信号から検出できるようにしている。そのためGPSの電波状況が悪いトンネル内や山間部でも正確に車速を感知することができるので、より最適な減衰力調整が可能となった。さらにドライバーの意志によって制御機能を追加できるのも魅力だ。
また、無線通信の採用で室内への配線作業も不要になるなど着実な進化を遂げている。価格は¥72,900〜。

ライントレース性能がアップ!乗り心地も良好

ホットハッチのスズキ・スイフトスポーツは軽快なハンドリングが自慢だ。そこで、操る楽しさに一段と磨きをかけるために単筒式の『モノスポーツダンパー(¥183,600)』と『EDFCアクティブプロ』を組み合わせた。試乗車は伸び側も縮み側も16段減衰力調整式で、車高は30mmほどダウン。タイヤは215/40R17サイズのダンロップ・ディレッツァZ IIIだ。

ワインディングロードでテストしたが、実際にはサーキット走行もこなす上級キットである。
つづら折りのコーナーでキレのいい動きを見せ、ロールも上手に抑え込んでいた。路面に吸いついたかのような一体感あるコーナリングを披露し、意のままに狙ったラインに乗せることができる。
ハンドリングは驚くほど正確で、狙ったラインに乗せやすいからコーナーの出口では早めにアクセルを踏んで立ち上がれた。ブレーキングしたときの挙動の乱れも小さい。乗り心地はちょっと引き締まった印象だが、気持ちいい走りを存分に楽しめる。

姿勢変化が安定して一体感のある走りを披露

トヨタ・ヴェルファイアに装着しているのは、『EDFCアクティブプロ』と車高調整式ダンパーキット『フレックスA(¥162,000)』の組み合わせ。ストリートユースで絶大な威力を発揮した。試乗車のタイヤは245/40R20サイズのブリヂストン・レグノで、車高も40mm程度下げている。

タイヤをインチアップしているが、驚くほど乗り心地がよかったのが第一印象だ。
ラリー由来の技術「ハイドロバンプストッパー」採用により衝撃吸収が早いから、段差を乗り越えたときでも衝撃は小さく抑えられていた。ミニバンはどうしてもロールが大きく、乗員がクルマ酔いをやすい傾向がある。多人数乗車だとブレーキの利きも今一歩のクルマが多い。
だが、試乗車は一体感のある走りも手に入れ、接地フィールもよかった。路面に吸いついたかのような一体感のあるコーナリングを見せ、コントロール性も大きく向上している。スタビリティ能力は大幅に高められ、ギクシャクした動きも消えた。

ブレーキング時やコーナリング時の姿勢変化も小さくなっている。しかも2列目、3列目でも乗り心地に粗さがない。試乗車はマイナーチェンジ前のモデルだったが、剛性不足をダンパーが上手にカバーしていた。後期モデルなら、さらに奥の深い走りを楽しむことができることだろう。

素直な操舵フィールに高いスタビリティを実現

FR(後輪駆動)スポーツクーペとして人気の高いトヨタ86。デビューから6年を経て後期モデルとなり、初期モデルと比べるとジャジャ馬感は減りリラックスしてドライブできるようになったが、まだまだ粗が見られる。
この弱点を車高調整式ダンパーキット『モノスポーツダンパー(¥194,400)』と『EDFCアクティブプロ』が解消してくれた。試乗車は最低地上高を110mmに下げ、タイヤは225/40R18サイズのダンロップ・ディレッツァZII STAR SPECを履く。

走り出してみると、路面からのインフォメーションが伝わりやすくなっていることが分かる。操舵したときのナーバスな動きや操舵レスポンスに過敏なところがなくなった。
舵の入りは素直で、狙ったラインに、スッと気持ちよくクルマが向きを変える。路面とのコンタクトがよく、無駄な動きが減っているから一体感が増し、リヤの追従性も向上した印象だ。唐突な動きがなくなり、ブレーキング時の沈み込みも穏やかになっている。ノーマル車と比べると、VSC(車両安定制御システム)の介入も少ない。

FRならではの操る楽しさと優れたグリップ感、意のままのコントロール性には磨きがかけられている。トヨタ86は、路面にかかわらず狙い通りに動く、気持ちいい走りを存分に味わえる、足のいいヤツに変身した。

テイン TEL045-810-5501 http://www.tein.co.jp

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