サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

いま人気のディスプレイオーディオでも音を追求できる! プロが教える3ステップのお手軽カスタム

純正ディスプレイオーディオに手を付けずに可能なオーディオグレードアップの選択肢

人気の純正ディスプレイオーディオだがDIN非対応なのがネック

 かつてはクルマのオーディオがDINサイズという規格で統一されていたため、外して市販品に交換するのも容易だった。だが、「ディスプレイオーディオ」が増えた今は、オーディオを外すだけでクルマが動かなくなることもあり、市販品への交換は困難になっている。もちろん専門店では市販品への交換を可能にしているが、DINサイズではない純正部分を加工して市販品を取り付けたりするので、費用面ではお手軽とは言えない。

 では、純正ディスプレイオーディオが装着されているクルマは、オーディオのグレードアップを望めないのか。そんなことはない。お手軽なスピーカー交換をはじめ、いくつか方法はあるので順を追って説明していこう。

ステップ1:まずはスピーカーを交換してみる

 純正ディスプレイオーディオには一切手を加えず、スピーカーを交換してグレードアップを図るのがもっとも手軽な方法だ。「トレードイン」や「カスタムフィット型」というスピーカーなら、お乗りの車種にフィットするモデルを選べば装着は簡単。ドアパネルなどを外すスキルがあれば、D.I.Y.でも交換できる。ただし、最近のクルマは自分でドアパネルを外すと保証外と言われるケースもあるため、量販店でもいいのでお店に任せたほうが無難だろう。

 トレードインタイプのスピーカーは1万円代から5~6万円代のものまで多数あり、予算に応じて選べばいい。高価なものほど、音質や分解能力が高まるのは確実だが、1万円代のモデルでも、純正スピーカーに比べれば格段に音質が向上する。ただし注意したいのは、音の帯域バランス。純正システムは、純正スピーカーで鳴らすようあらかじめイコライザーで補正しているため、スピーカーを交換すると帯域バランスが崩れて、音が変になる可能性がある。

 そのため、スピーカーを交換したら必ず「RTA(リアルタイムアナライザー)」で周波数特性を測って、フラットな特性に近づけることが重要。おそらく純正システムにも何らかのイコライザー的機能があると思うので、これを使えばいい。RTAを測定するには、無料のスマホアプリが多数存在するのでそれを利用すればいいし、測定時に必要なピンクノイズは筆者が昨年末に出した「カーオーディオパーフェクトセオリーブック5」(芸文社)の付属CDにも収録されている。

ステップ2:パワードサブウーファーを追加して低音を増強

 純正オーディオシステムにサブウーファーが組み込まれていないなら、サブウーファーの追加を試したい。フロントドアに付いている16~17cm程度のスピーカーでは人間の可聴限界である20Hzの再生は不可能で、がんばっても50~60Hzまで再生できる程度。ところが音源にはもっと低い周波数の音も入っているので、せっかく音楽を再生しても聴こえていない低音があるというわけ。低音は音楽の土台を支える音で、低音がしっかり出ているかどうかで、音の迫力が違ってくる。もともとサブウーファーがあれば、あとからの追加は不要だが、純正にサブウーファーがないなら迷わず追加したい。

 パワードサブウーファーはパワーアンプを内蔵したタイプで、1万円代のものからある。僕は1万5000円程度の「カロッツェリアTS-WX010A」というモデルを使っているが、コンパクトなので助手席の足元に設置できるため、ラゲッジルームなど後方に置くサブウーファーのような違和感がなく、自然に低音を加えられて重宝している。より高いものほど、低音の再生能力も質も向上するので、予算に応じて選べばいいと思う。

ステップ3:DSPアンプをプラスしてサウンドを本格調整する

 最近のハイエンドカーオーディオでは「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)」でサウンドを調整するのが主流だが、純正ディスプレイオーディオでも手軽にDSPを追加できる方法がある。DSPとパワーアンプを合体したDSPアンプだ。これは純正ヘッドユニットからスピーカーにつながる線の間に割り込ませるもので、接続は比較的簡単。それでいてDSPによる高度なサウンド調整ができるから重宝する。

 DSPのおもな機能はイコライザー、タイムアライメント、クロスオーバーの3つ。イコライザーは細かく分かれた周波数ごとに音のレベルを上下させて、すべての周波数をイコールに近づけることで聴きやすいサウンドに調整できるし、タイムアライメントはすべてのスピーカーから出た音が視聴位置において同時に届くよう調整することで、ホームオーディオのベストポジションで聴いているかのような理想的な音像定位を実現できる。

 クロスオーバーは各スピーカーが再生する周波数帯域を割り振る役目。それぞれのスピーカーに得意とする帯域を割り当てることで、サウンドのクオリティが向上する。これらを駆使することで、純正システムのものとは異なる質に高いサウンドが楽しめるのだ。

 DSPアンプは海外製のものが多く、例えばイタリアのオーディソン(Audison)というメーカーのもっとも安いものだと9ch DSPに70W×4アンプを内蔵した「AP4.9bit」というモデルが8万4700円(税込)。ほかにリモートコントローラーなどが必要となるものの、10万円ちょっとで手に入る。調整が必須だから、専門店に依頼して装着してもらうのが無難だが、先ほど紹介した「カーオーディオパーフェクトセオリーブック5」には、調整のセオリーを紹介しているので、これを読んで自分で調整してみることも可能だ。純正ディスプレイオーディオのサウンドにはけっして満足していないが、取り外しが不可能だから交換を諦めていた人はぜひチャレンジしてもらいたい。

モバイルバージョンを終了