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「サーキット内で起こした事故」車両修理や施設の破損にはどう弁償すべき?

自己責任が大前提、リスクを減らすには

 サーキットでも『保険』という言葉は耳にするが、基本的にはケガの治療など「人間」を対象としたモノ。自分のクルマや施設内のガードレールなどを壊したら、保険が使えず自己責任というのが昔からの定説だ。それは2020年代に突入した現在でも不変なのか調べてみた。

 結論から言ってしまうけれども、サーキットに対応する「車両保険」はある。ただし、決して一般的ではないうえ数も少なく、広告などで大々的に宣伝されているワケでもないため、実際に走っていても知らない人が多いだろう。

 現時点でシステムとしてもっとも完成されているのは、あいおいニッセイ同和損保の『ワンメイクレース対応保険』だ。名称から分かるとおり、適用されるのはワンメイクレース、それもTOYOTA GAZOO Racingが主催するレースのナンバー付き車両「86&BRZとヴィッツ」のみと対象はかなり狭い。

 補償対象は主にドライバー(死亡保険金/後遺障害保険金/重度後遺障害特別保険金)だが、クルマとクルマの接触による修理も付帯しているのが特徴だ。ただし、相手への賠償やサーキットの施設は含まれておらず、公式予選および決勝レース以外における事故にも対応していない。

 また、保険会社によってはサーキット走行などを想定した”特約”があるケースも存在する。走行する日時を事前に申請しその期間だけ適用される、通常の保険期間であればいつでも適用されるなど、仕組みや保険料はバラバラなので確認してほしい。

 さらにこの手の特約は非常に珍しいため、保険会社の担当者ですら存在を知らないことがあるとも聞く。まずは自分が加入している保険会社に「サーキットに対応する特約」があるか確認し、費用(事故の可能性が高いため結構な高額になるはず)や補償の範囲を把握したうえで加入しないと、いざ使うときになって「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれない。

 なお、最近はサーキット走行が身近な趣味として認知されつつあるせいか、レースを含むサーキットでのスポーツ走行全般に対応する保険が散見される。もっとも調べた限りでは、カバーするのはあくまで自分のクルマのみ。前述のようにガードレールやクラッシュパッドといった施設、相手のクルマやドライバーに対する補償はほぼ皆無に等しい。

 とはいえかつては「何もかも自己責任」が常識だったサーキット走行に、車両保険という概念が根付き始めただけでも変革といえば変革かもしれない。

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